概要
2020年2月から10月にかけて小説家になろうで連載されていたファンタジー小説。事実上の続編となる外伝も連載されていた。本編、外伝共に完結済み。また、習作として執筆された前日譚も存在する。
憶病で人間が苦手な若き天才魔術師の少女が王命を受けて学園に潜入し、正体を隠しながら王子の護衛を務めるうち、自身の過去にも関わる巨大な陰謀と直面するというストーリー。魔法の存在する中世ヨーロッパ風のファンタジー異世界を舞台としているが、転生・転移等の要素は存在しない。
基本的には陽性のドタバタコメディをベースにしたギャグ強めの少女主人公の成長譚だが、極めてシリアスな背景や真面目なシーン、魔法を駆使した戦闘描写もあり、また謎と伏線を駆使したミステリー的な仕掛け等、様々な要素を含んでいる。また女性向けらしい恋愛要素はあるが物語の中心ではなく、濃厚な恋愛描写を求めていない読者であっても問題なく楽しめるようなバランスの取れた内容となっている。
商業展開
カドカワBOOKSから「サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと」というタイトルで書籍化がなされ、2024年9月現在、1~8巻及び書下ろしの4巻afterが刊行されている。また、スピンオフの「サイレント・ウィッチ-another-結界の魔術師の成り上がり」上下巻が刊行されている。
このライトノベルがすごい!2022年では単行本・ノベルス部門の2位を受賞した。
コミカライズ版はB's-LOG COMICにおいて桟とびによる作画で連載中。単行本は4巻まで発売中。
2024年8月にアニメ化が発表された。
あらすじ
〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。無詠唱魔術を使える世界唯一の魔術師で、伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄。
だがその本性は――超がつく人見知り!?
無詠唱魔術を練習したのも 人前で喋らなくて良いようにするためだった。
才能に無自覚なまま“七賢人”に選ばれてしまったモニカは、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられ……?
気弱で臆病だけど最強。
引きこもり天才魔女が正体を隠し、
王子に迫る悪をこっそり裁く痛快ファンタジー!
(カドカワBOOKSより)
登場人物
モニカ・エヴァレット
最年少の七賢人〈沈黙の魔女〉無詠唱魔術の使い手。
ネロ
モニカの使い魔の猫。人間に変身できたりする。かなりちょろい。
ある小説家の小説にハマっており、人の姿の時はその小説の登場人物の名前を借りて「バーソロミュー・アレクサンダー」と名乗っている。
生徒会役員
フェリクス・アーク・リディル
リディル王国第二王子。セレンディア学園生徒会長。完璧な王子様。母方の祖父がクロックフォード公爵。歓楽街では「アイク」と名乗っていたが、その理由は・・・?
シリル・アシュリー
ハイオーン侯爵家長男(養子)。生徒会副会長。魔力を溜め込みやすい体質。
ブリジット・グレイアム
シェイルベリー侯爵令嬢。生徒会書記。語学に堪能な美貌の令嬢。
エリオット・ハワード
ダーズヴィー伯爵家長男。生徒会書記。自称階級至上主義者。フェリクスの幼馴染。
ニール・クレイ・メイウッド
メイウッド男爵家長男。生徒会総務。控えめな性格の小柄な少年。チビは禁句。とっても気が利く、本作の良心。
高等科三年生
ヒューバード・ディー
子爵家の次男。ミネルヴァからセレンディア学園に編入した。かなりの問題児な為ミネルヴァ時代に留年しており、現在20歳。〈砲弾の魔術師〉の甥だが、年に数回顔を合わせるだけで師弟関係はない。基本的にドSだが、ドM気質もしっかり持ち合わせている。強い。
ベンジャミン・モールディング
宮中音楽家の息子。音楽以外に聴く耳を持たない。
高等科二年生
ラナ・コレット
男爵令嬢。父親が豪商で流行に詳しい。モニカのクラスメイト。卒業後はサザンドールで商会を設立する予定。
クローディア・アシュリー
ハイオーン侯爵令嬢。シリルの義妹。ニールの婚約者。超毒舌。
グレン・ダドリー
モニカと同時期に編入した編入生。〈結界の魔術師〉ルイス・ミラーの弟子。陽気なお馬鹿さん。
七賢人に匹敵する魔力量を持つが、制御しきれていない。
ケイシー・グローヴ
ブライト伯爵令嬢。明るく元気な少女で馬術や裁縫が得意。
高等科一年生
イザベル・ノートン
ケルベック伯爵令嬢。モニカの協力者の演技派令嬢。家族揃って〈沈黙の魔女〉のファン。
エリアーヌ・ハイアット
レーンブルグ公爵家令嬢。フェリクスとは、はとこにあたる。あらあら、まぁまぁ、と同じ言葉を繰り返すのは母譲りの癖。
ロベルト・ヴィンケル
ランドール王国からの留学生。モニカとチェスをするためだけに「院」から編入した。モニカを含む殆どの人に「チェスの人」ではなく「二の腕の人」と認知されている。
中等科二年生
アルバート・フラウ・ロベリア・リディル
リディル王国第三王子。ミネルヴァからセレンディア学園に編入した。魔術の才能はあるが、運動神経はモニカと良い勝負。
パトリック・アンドリュース
アルバートの従者。子爵家の三男。兄が既に爵位を継いでおり、のろまなパトリックを馬鹿にしていた。ある日、晩餐会でパトリックが兄に馬鹿にされ、見かねたアルバートが割って入り、自分の従者に指名したという経緯がある。
七賢人
メアリー・ハーヴェイ
七賢人の最年長の〈星詠みの魔女〉。星を詠んで国の行く末を占う。美少年好き。侍らせている少年たちには半ズボンを履かせている。
エマニュエル・ダーウィン
七賢人の一人〈宝玉の魔術師〉、付帯魔術の使い手。古き良き小悪党。
ブラッドフォード・ファイアストン
七賢人の一人〈砲弾の魔術師〉、六重強化術式の使い手。国内最強の火力を持つ戦闘狂。
ルイス・ミラー
七賢人の一人〈結界の魔術師〉、結界術の使い手。
かなりの毒舌家であり、超の付く愛妻家でもある。七賢人になった理由も、妻の父に「娘が欲しくば七賢人にでもなって見せろ」と言われたため。ただし妻以外には鬼畜の極み。
また、北の極寒の地の生まれであるが故にかなりの酒豪で、何にでもジャムをかけるやべーレベルの甘党で、文字通りの殴りメイジで、中性的な見た目でありながら元ヤンなので「なんだ男か」は禁句で、強い者いじめが好きとぶっちゃけキャラがモニカ以上に濃い。
番外編anotherにおける主人公。
レイ・オルブライト
七賢人の一人〈深淵の呪術師〉、呪術の使い手。病的な愛されたがり。陰気で性格はモニカとやや似ている。
体に刻み込まれた多数の呪術により、髪は紫、瞳はピンクになっている。
ラウル・ローズバーグ
七賢人の一人〈茨の魔女〉、植物に魔力を付与する研究をしている。行動力の化身。魔術に関しては天才だが、それ以外は割とポンコツで、空気が読めない。友達募集中。作中でも一二を争う美貌の持ち主だが体はムキムキ。標準装備は野良着と麦わら帽子。
その他の人々
ライオネル・ブレム・エドゥアルト・リディル
リディル王国第一王子。脳筋ゴリラと言われているが、とても優しい目をしているゴリラ。ルイスとはミネルヴァ時代の同級生。
ロザリー・ミラー
ルイスの嫁。元軍医で、父は元七賢人〈治水の魔術師〉。旦那の過保護っぷりに頭が痛い。
前日譚にあたる「記憶喪失軍医ロザリー・ヴェルデの考察」の主人公でもある。
リィンズベルフィード
ある理由からルイスと契約している風の上位精霊。なおルイスを敬う気は一ミリも無い。
ルイスの命でモニカの任務をサポートする。
ダライアス・ナイトレイ
クロックフォード公爵。国内で最も権力のある貴族であり、フェリクスの母方の祖父。
ウィルディアヌ
フェリクスの侍従。蜥蜴の姿にもなれる水の上位精霊。フェリクスのポケットの懐中時計の中にあるアクアマリンが契約石。
ウィリアム・マクレガン
〈水咬の魔術師〉。セレンディア学園実践魔術の教師。長年ミネルヴァで指導をしていた。目が悪い。
バーニー・ジョーンズ
アンバード伯爵家次期当主。モニカのミネルヴァ時代の学友で、親友だった。
ヴェネディクト・レイン
モニカの実の父親であり、天才科学者。とある事件により、故人となっている。
ヒルダ・エヴァレット
モニカの養母。モニカの父ヴェネディクト・レインの元助手。研究者としては優秀だが、ズボラで家事能力が壊滅的。
ギディオン・ラザフォード
〈紫煙の魔術師〉。ミネルヴァの教授。モニカの恩師でカーラとルイスの師匠。
ボサボサ眉毛と煙管がトレードマーク。
カーラ・マクスウェル
ルイスの姉弟子。元七賢人〈星槍の魔女〉。同時に七つの魔術を維持できる大天才。
グレアム・サンダーズ
元七賢人〈雷鳴の魔術師〉。かつて、国の存続を賭けた大戦で戦場を駆け、国の危機を救った大英雄。教本に名前が載り、各地に石像が建てられるぐらいすごい人なのだが、現在はその面影もないおとぼけじいちゃんとなってしまった。ちなみに引退の理由は、もう硬い椅子に長時間座りたくない、とのこと。
アイザック・ウォーカー
???(リンク先ネタバレ注意)
動画
Web版
小説投稿サイト小説家になろうでは連載時のまま全編が無料公開されている。
また、前日譚と本編以上にボリュームのある外伝も同様に公開されている。
現在は同じ世界観の作品である「白翼のハルピュイア」が連載されている。
(前日譚)
・記憶喪失軍医ロザリー・ヴェルデの考察:外部リンク
(本編)
・サイレント・ウィッチ:外部リンク
(外伝)
・サイレント・ウィッチ(外伝):外部リンク
(同じ世界観の作品)
・白翼のハルピュイア:外部リンク
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