ヤマぬえが俺の正体不明の病
やまぬえがおれのしょうたふめいのやまい
東方Projectに登場する黒谷ヤマメ(『東方地霊殿』)と封獣ぬえ(『東方星蓮船』他)のカップリングの一つ。
ヤマメは「病気(主に感染症)を操る程度の能力」を持ち、『東方求聞口授』によればその病は詳細は分からず「正体不明」であるという。
ぬえは本人からして元々「正体不明」であり、出自や対象物の「正体」をかく乱する能力も相まって本来はひたすらに謎な存在である。
そんな二人が描かれる作品からは、閲覧者を魅了させる「何か」が溢れだしている。
目には見えない、閲覧者の理性を幸せにかき乱すなにか。
それは「正体不明の病」としか形容し得ないものである。
そして、作者諸氏もまたその「正体不明の病」に罹患している。
この病の特徴として、同志となる他者を最大多数へと昇華させたいという素晴らしい欲求に突き動かされるようになることが確認されている。
各種生物がその有るがままの自然に従って自分とその仲間を懸命に増やしていくように、この病もまた「ヤマぬえ」という幸せを懸命に世に伝えたいと切望するようになるのである。
病であるが、死に至ることはない。
むしろその先には「ヤマぬえ」という至福が待っていてくれるのである。
恋の病に似るが、しかしその正体をはっきり知ることはできないだろう。
ただただ焦がれ愛おしみ、二人を祝福するごとに、「何か」によって幸せが広がるという現実がひたすらに喜びなのだ。
「ヤマぬえ流行れ!」という叫びは、二重の意味で正確な表現である。
この病は、感染することをなんら恐れることはない。
むしろそれは感染することで生命力を高める、生命に対して親和のものなのだ。
その流行は「ヤマぬえ」が流行ることを意味するとともに、誰かを幸せにできる「正体不明の病」が流行することも意味する。
「ヤマぬえが俺の正体不明の病」からは、こちらも言葉では適切には言い表せないながらも、発信者と受信者双方への愛によく似たものもまた溢れだしているのである。