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ユニバース25

ゆにばーすとぅえんてぃーふぁいぶ

UNIVERSE25(ユニバース25)とは、1960年代にジョン・B・カルホーンによって行われた実験の名称。楽園実験と呼ばれることもある。(メイン画像はイメージ)
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概要編集

1960~1972年にかけて動物行動学者のジョン・B・カルフーンによって行われた、ネズミを用いた実験のこと。

楽園実験と呼ばれることもある。25というのは25回目の実験という意味。

研究の目的は、都市計画におけるシミュレーションであり、「もしも楽園のような生活環境があった場合、どのような社会が形成されるのか」という点に注目している。


この「楽園」とは、「無限の食糧と水」「病気や天敵からの保護」「安全な住居」が与えられる環境のことであり、実際の実験ではネズミたちにはタワーマンションのような施設が与えられ、餌と水は常に補給され、ごみや汚物は常に除去され、温度や湿度の管理も徹底された環境が与えられた。


つまり、いわゆるユートピア的な楽園ではなく、その実態を正確に形容しようとすれば純粋培養のような語が適切であったと思われるが、カルフーンがあえて楽園という語を使ったのには実験を大衆により広く知ってほしかったという思惑があった。

実際、実験結果は学術雑誌ではなく通俗科学雑誌、いわゆるニュートンのような雑誌に掲載され、同じような研究を行っている学者からの査読や学界からの批評を受けることが無く、逆に内容を深く理解せず楽園で人類が滅亡するという理論の著しい飛躍を生んでしまう結果となった。

本実験はあくまでネズミの動物実験であり、そのまま人間社会に当てはめることが出来るようなものではないことはよく理解しておくべきである。


実験の流れ編集

フェーズA編集

適応期ともいう。解き放たれた8匹のネズミが各々縄張りを決め、巣作りを始め、繁殖を行うまでの段階。


フェーズB編集

社会形成期ともいう。楽園に順応したネズミたちは順調に個体を増やし続け、遂には600匹を超えた。

なお、ネズミたちは広大な居住空間があるにもかかわらず特定のエリアに集中する傾向が見られた。これは自然に発生した「群れ」によるものであり、この群れが社会を形成するきっかけとなった。


フェーズC編集

停滞期ともいう。繁殖のスピードがじょじょに落ち始め、メスに興味を示さないオスや、子育てを放棄したり子殺しを行うメスが見られるようになった。


フェーズD編集

終末期ともいう。この時点で実験開始から約2年が経過している。

新生児の死亡率が100%となり、新たにメスが子供を産むこともなくなった。それゆえ高齢化社会となり、社会は崩壊。

かくして、楽園は滅びたのである。


「楽園」におけるネズミの分類編集

フェーズBの社会形成期では、ネズミたちの行動パターンによってタイプ分けがなされている。

オスは5種類、メスは2種類のタイプが見られた。


オス編集

  • タイプA…ボスタイプのオス。一定の縄張りを得て、メスを容易に手に入れられるカースト上位タイプである。そのぶん争いも多く入れ替わりも激しい。
  • タイプB…ノーマルなオス。ボスほど地位が安定しておらず、その座を狙って攻撃を仕掛けることもあった。
  • タイプC…浮気者のオス。オスメス問わず多くのネズミに求愛した。性格はタイプBに比べると温厚で、争いには参加しない。
  • タイプD…ストーカーのオス。タイプCよりもより執拗に求愛を続け、メスに付きまとう。
  • タイプE…ニートのオス。基本的に引きこもっており、他の個体が寝静まった時間に餌を食べる姿が見られた。他個体に全く興味を示さない。

メス編集

  • タイプA…家庭持ちのメス。オスのタイプAやBなど、比較的社会的地位の高いオスと結ばれた勝ち組。巣作りや子育てに積極的に参加する。
  • タイプB…スラムのメス。社会的地位の高いオスに選ばれず、仕方なくタイプCやDのオスと交尾する。ただしタイプCやDのオスは縄張りを持たないため、メスが子供を守るために戦わなければならなくなる。このストレスで攻撃的になり、子供を虐待するメスが増加した。

考察編集

この実験から、仮に十分な物資や安全な居住環境が得られたとしても、健全な社会を持続させるためにはそれだけでは不十分であるといえる。


そしてこの実験はしばしば人類の未来を示唆しているという文脈で語られる。

特に近年になって「若者の異性への興味の希薄化」「女性の社会進出による晩婚化」「少子高齢化」「ニート・引きこもりの増加」「児童虐待」等のニュースと関連付けて話題になることが多い。

あくまで当実験はネズミの社会における一例であるが、近い将来にはこの実験と同じような滅びが待っているのではないか…という警鐘を鳴らしているのかもしれない。
















というのは跳躍しすぎた考えである。繰り返しになるがそもそもこの実験はあくまでネズミの実験でありそれがそのまま人間に当てはまることはない。

そもそも、カルフーン自身は過密状態が動物にどう影響するのかを明らかにしたいと思ってこの実験を始めた。実験により個体数が過密になってくるとネズミたちの行動に変化が見られることを確認しそれをBehavioral Sinkと名付けた。彼は個体数の増加で社会的な役割の奪い合いが起きた結果、役割を得ることが出来なかったネズミたちにBehavioral Sinkが見られるのではないかという仮説を立て、この実験とは別に2匹で協力しないと水が飲めない装置を設置してネズミを観察すると協力して水を飲む様子が観察でき、Behavioral Sinkも減少したという。

カルフーンがより広く知って欲しかったのはむしろ後者の実験であり、楽観的にBehavioral Sinkは回避できるという立場であったが、センセーショナルにユートピアで人類が滅亡するという話の方が大衆受けし消費するのにはメディアを含め一般大衆には都合が良かったためほとんど知られることはなかった。


関連タグ編集

実験 楽園 社会 ネズミ


ラットパーク実験…同じくネズミを特殊な居住環境に配置した実験だが、こちらは薬物依存についての実験である。

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