今十勇士
いまじゅうゆうし
PSソフト「るろうに剣心 十勇士陰謀編」に登場する敵役。
真田十勇士を名乗って暗躍しているが、過去の亡霊が蘇ったと言うわけではなく、実際は明治の世に適応できなかった者達が蘇った十勇士として「今十勇士」を名乗っているだけの集まりである。元武士、忍者、幻術使いなど様々な分野の達人がいる。
明治政府への憎しみと、真田幸村を君主として奉ることで結束力を得、活動している。
その殆どが憎しみに囚われ暴走しており、「自分達は時代の被害者」と言う主張を動機に明治の世を壊すためと掲げているが、その実、一部のメンバーを除いて明確に復讐する個人という対象がいない=何を倒せばいいのか曖昧と言うジレンマがあり、活動を始めれば邪魔となるだろうと滅ぼした「神爪の里」も今十勇士とは因縁がない様に、ただ明治の世を安寧に暮らしている人々を虐げ、世を乱して明治政府を打倒するためだけに、今十勇士がもたらす被害を棚上げしているだけの状態に陥っている。
一応、大義を掲げて行動しているため、それを汚される時には仲間の処刑も辞さない。
なお、以下に記す名前は全て自称(本名は不詳)。
首領
真田(さなだ):声 - 郷田ほづみ
明治政府転覆を狙う今十勇士の首領。
『ファー襟のついた外套を羽織った屈強そうな長身ボディの上に細面のイケメンフェイスが乗っかってる』という、何処と無く比古清十郎を彷彿とさせるルックスをしている。
長刀と幅広な野太刀の二刀流による尋常ではない戦闘力と圧倒的なカリスマ性を持っているが、自身は特にこれといって行動を起こすことはなかった。これは真田が明治という時代を生きられなかった今十勇士を哀れに思ったからで、あくまで象徴的な存在、神輿でしかなかったからである。しかし自分を頼ってくれた今十勇士のために、計画の阻害となる聖or輝や剣心組と刃を交えた。
石岡の洞窟での最終決戦の後、瓦礫に埋もれる。エンディングでは今十勇士の遺体が見つかったにもかかわらず、彼の姿だけは発見されなかったことから、もしかすると本物の真田幸村(の亡霊?)だったのかもしれない。今十勇士たちからは実力を頼られているだけでなく本当に慕われており、最期は彼らの遺体を並べて看取るなど、決して悪人ではなかったが、主人公に対して完全に善意でやっと取り戻した記憶を消すなど、どうにも善意が空回りしている感もある。
十勇士
根津(ねづ)
聖(輝)たちが最初に戦う十勇士。着流しと仕込杖装備のやさぐれヤンキー的な若者。
幕末の動乱で両親を失っている。志士・兵士の類いではない、ただ巻き込まれただけの平民だった両親の死は「不幸な事」と出来ようが、新しい時代がその犠牲に見合うものとは思えなかった事が今十勇士に加わった動機。
催眠術で人々を十勇士の配下としていた。
今十勇士勢でも若輩者なせいか何処と無く拗ねた未熟さを隠し切れておらず、結果的にこれが祟ってラストにて今十勇士の破滅への最後の一押しとなる行動をとってしまう。
穴山(あなやま)
背が高く豊かな髭をたくわえた、槍を使う十勇士。鬼婆騒ぎを起こした。
幕末期はある討幕派の藩主の護衛をしていたが、戦乱が終わり無用の長物とされてしまった事による空虚感のあまり今十勇士に加入。
自身の留守中に部下が犯した失態を(帰るのが遅くなった自分のせいにして)責めずに笑い飛ばしたり、その部下からは敗色濃くなったラストまで変わらず慕われ付き従われたりと、何気に『いい上司』っぷりがハンパじゃない。
清海(せいかい)
最も背の低い(子どもの弥彦より小さい)十勇士。誠真(せいしん)という部下に命じて霊山で幻覚作用をもたらす花を栽培していた。自分の背丈ほどの数珠を武器とする。
海野(うんの)
着流しに下駄姿の、小柄で痩せたギョロ目な老人の十勇士。
筧と同様、幕末期は草という忍びであった(当人評価でも「優秀だった」と言えてしまうほど有能だったらしい)が、多くのことを知りすぎたため命を狙われるようになった。そのため、戦いに参加せず命を懸けたことがない市井の一般人を見下している節があり、一際被害者意識が強い。
忍び時代の反動なのか作中での戦い方は、隠し持っている爆弾やピストル等をご丁寧に「秘密兵器だ!」と宣言しながら必殺技として使って来たりと中々にファンキー。
筧(かけい)
高下駄に扇子を武器にする曲芸師のような十勇士。
海野と同様、幕末期は草でありそのため命を狙われ始め、追っ手から逃れる時に右目をも失う羽目になる等の経験を経て今十勇士となった。
…とは言ってもそんな来歴をもってしても擁護し切れない程に、作中での彼の行動は今十勇士内でも随一の卑劣・ゲスっぷりを誇る。
『催眠術で罪も無い無力な子供達を操る』『子供相手に手出し出来ない剣心達を嘲笑』『男児の一人を人質に逃走』『更に追走してきた薫をも拐った上で催眠術をかけて操る』『尚も薫と少年相手に手出し出来ない剣心達の眼前で二人を殺し合わせようとする』『自力で術中から抜け出した薫からの説得を受けて「殺せ」という命令にもがきながらも抗い始めた少年を、遂に直接手に掛けようとする』『秘蔵の隠し武器の爆弾を部下を巻き添えに使用』という鬼畜行為のオンパレード。結果、堪忍袋の緒が切れた剣心の抜刀斎の片鱗を呼び起こしてしまい、敗走しようとする。
が、やはりというか彼の所業は今十勇士側としても目に余るモノだったらしく、直後その場に出現した望月によって「我らの大義を汚す者」として、味方によって始末されるという、哀れにして胸スカ極まりない死に様を晒して終わる。
由利(ゆり)
十勇士の紅一点。多節鞭を使い、部下の松風と千鳥と共に主人公の兄の龍也を殺し、聖(輝)にとっては兄の仇に当たる人物(記憶を失っている上にその場に居合わせていなかったため、それを自覚しているかは疑問だが)。
父が土地を騙し取られ、自殺に追い込まれ路頭に迷った過去を持つ。側近の部下は大切に思い、彼等が敗北した際は仇討ちを誓うほど怒りを露わにするが、それ故に十勇士では良心が残っている方である。
敗北後、主人公達に説得され、今十勇士を抜けようとするが……。
幸吉(青年忍者)(こうきち)
巨大な剣を使う十勇士で、猿飛佐助にあたる。忍者屋敷で剣心たちと戦う。老人と青年の2つの顔を持つが、どっちが正体かは不明。政府転覆を狙っているわけではなく、同じように「滅ぼされた者」である主人公とは全く同じ境遇。自分と同じく復讐に走るべき主人公が新しい時代で生きようとしていることを知り、選択肢次第では主人公の恨みを聞かされ、今十勇士は被害者ではなく加害者だと思い知らされ、自分達は間違っていたと悟り、仲間とともに姿を消す。
十勇士で唯一、神爪の里の襲撃(憎む相手でもなく、目的の障害となり得ると言うだけの無縁の存在から叩くと言う考えには乗れなかった模様)には参加しておらず、剣心たちに理解を示して戦いから手を引いたため、今十勇士の中で唯一生き残ったと思われる。
才蔵(さいぞう)
一見優男だが凄まじい幻術を使う十勇士。幼少のころより高度な幻術を操るが世間から評価されなかったため、自分の実力を発揮する場所を求めて伯父である政吉の元から失踪する。
望月(もちづき)
真田の影である十勇士で、実力は十勇士最強。忍者のような姿で正体は終始不明。
仲間内の連絡や補助、時に制裁役を司り、十勇士の掟を破る者はたとえ仲間であろうとも許さない男。最後に一度だけ剣心と戦闘するが、究極必殺技まで使う強敵。
尚、彼が真田と共に最奥で待つダンジョンでは決まって彼が使役しているものと思われる大型のカラスが敵として襲ってくる。どれくらい「大きい」かと言うと、人間の頭蓋骨を両の脚にすっぽりと収め啄んで砕いてしまえる程。どうやって育てたのだろうか?
今十勇士配下及び戦闘する者
茜(あかね)・藍(あい)・碧(みどり)
根津配下の少女三人組。それぞれ名前の通りの赤・青・緑の服を着ている。根津と共に催眠術による悪事を行っていた。
三者三様の武器を使い戦闘力もそれなりに持ってはいるのだが、幼さ全開な言動を見てもお察しの通り元々大して真剣な動機で今十勇士に加担していたのではなかった様で竹林で根津が倒されると怖じ気づきアッサリと根津を裏切り逃亡。
そのまま退場したかと思いきや、ストーリー後半にて塩原村に現れ本作随一のメタパートを発生させる暴挙をしでかした上、その始末を剣心達に丸投げして再び失踪してしまう事に。
小糸(こいと)
穴山の配下。どのような来歴があるのか、巫女の様な出で立ちをしている。
鬼婆の谷で鬼婆に扮しており、新座村の住民を恐がらせていた。
戦闘開始毎に穴山の名を呟いたりラストの石山の洞窟でも彼の配下として登場したりと、穴山に対する信頼は本物だった様子。
誠真(せいしん)
清海&伊三の配下。霊山で幻覚を引き起こす花を栽培していた。
明らかにヘンなテンションでバトル開始したかと思いきや戦い方は堂々真っ当、そんで負ければベソかいて泣く等、目に見えて精神が不安定。
栽培している花の幻覚作用を(知らぬ内なのか自主的になのかは兎も角)受け続けた結果だったりするのだろうか?
左近児(さこんじ)
海野の部下である少年。野生児のような風貌をしている。敗北後に襲い掛かり、斎藤もしくは蒼紫に取り押さえられるが、結城によって相手諸共爆弾を喰らい、以後小国診療所に入院するが最後まで寝込んだままであった。
松風(まつかぜ)
由利の部下。カタールの様な握り武器を両手に装備している。回想場面では龍也と戦闘した。剣心達との戦闘後、自害した。
彼の放つ必殺技「旋輪斬」は弥彦が食らって尚且つ勝利すれば習得する事が可能なのだが、そもそも武器のタイプからして違うコレを何故竹刀でやろうと思ったのか疑問でしかない。
雪代縁:るろうに剣心本編に登場する復讐者。今十勇士と同じく、「自分は哀れな被害者」と主張する一方で、そのために被害に遭う人々を省みない敵役という点が共通している。そんな彼らが、今十勇士に家族を殺され、心身ともに傷つけられた被害者代表でありながらも自分を保護してくれた親切な一家を逆恨みする事もなく、兄の仇に対してすら復讐を選ばなかった、縁が善良に生きたifとも言える聖/輝に結果的に滅ぼされたのはある意味必然だったのかもしれない。