概要
東方Projectに登場する八雲紫、八雲藍、橙の、主にその「過去」を描くアプローチであり、原作に描かれた内容を表現するものと二次創作的な様々な想像を展開するもの、両者の性質を含むものなどがある。
「八雲家」とはファンの間で紫と、紫の式神である藍、藍の式神である橙の三者を一つのまとまりとして見出すものであり、「八雲一家」などの呼称もある。
「八雲」の歴史の想像
八雲の面々についてはそれぞれがどのように出会ったのかなど原作では語られていない部分も多い。
例えば紫が式神として藍を得た経緯や同様に藍が橙を式神として使役するに至る経緯など、東方Project作中においてそれぞれが『東方妖々夢』初登場に至る以前の三名の様子について二次創作でも多様に想像されている。
個別の存在性については紫と出会う以前の藍、藍と出会う以前の橙や、そもそも藍や橙はどのような存在だったのか、などについても多様な想像が展開されている。
例えば紫と藍の関係性では、紫が幼い藍を何らかの形で引き取る様子や紫が藍にその圧倒的な力を示して支配下に収めるなど多様なアプローチがある。
また出会いに限らずそれぞれが経てきた歴史、例えば紫を軸に考える場合の大きな出来事としての後の幻想郷展開に至る「 大結界騒動 」の頃、あるいはさらに遡る「 幻想月面戦争騒動 」(月面戦争。『東方求聞史紀』)の頃に、既に紫と他二者それぞれの出会いがあったかどうかという点も含めてファンの間では様々な可能性が想像されている。
例えば大結界騒動の際に紫が提案者として表の顔を示す一方で、同問題を契機に発生した妖怪間の闘争を藍が密かに監視したり、といった様子である。
このケースは「大結界騒動」と「妖怪間の闘争」という原作で語られた歴史と「当時紫がすでに藍を使役しており、藍を通して闘争にも介入した」という二次創作的想像(2017年2月時点では)がともに織り合わさった創作アプローチとなっている。
大きなイベントだけではなく八雲の面々の過去の日常などを想像するものもあり、紫が藍の成長を見守ったり、紫や藍が幼い橙をその胸に抱いていたりする様子といった心を通わせ合う様や、紫の大妖怪としての姿と雑事にやる気のない普段の姿のギャップに触れた藍が新鮮な驚きを得た思い出や今日以上に自由志向だった橙に藍が奮闘するなど様々な場面が想像されている。
紫固有のアプローチを通した「八雲家の過去」
八雲の面々のうち、紫についてはその存在性の根幹にまつわる特殊な二次創作アプローチがある。
それが「紫=メリー説」である。
これは紫のパーソナリティ・存在性が同じく上海アリス幻樂団の作品である「ZUN's Music Collection」に登場するマエリベリー・ハーン(メリー)と同一である(もしくは同一になる)と想像する二次創作の在り方であり、この立場をとる場合、創作アプローチとしても上記のような「八雲家」の在り方とはまた異なるものとなる場合もある。
紫本人の根幹部分の前提が異なるため、三者の出会いをはじめ、出会って以後の関係性、あるいは関わり方などについてのアプローチもまた変わり得るのである。
そもそもの「紫がメリーと同一である」というアプローチ自体でも、紫とメリーの時間的差異や種族的差をはじめ多数の考察ポイントがあり、「八雲家の過去」などでは時間も遡ってさらに八雲の面々が関連するともあって、両者が絡み合う場合の創作においては取り組むこととなる想像のテーマもまた幅広い。
三者の出会いという観点を例にとるとき、先述のケースでは主に藍や橙を軸に紫との出会いが想像されたが、本アプローチでは紫の存在性を含め紫を主体に藍や橙との出会いの想像が展開されるなどのアプローチも見られる。すなわちこの場合は紫と藍や橙の出会いにして「メリー」と藍や橙の出会いでもある。
同立場を含めた作品によっては、まず「紫と藍、橙」の出会いを描いた後、紫(メリー)視点に切り替わって同じシーンが再度展開され、ただしこちらでは今度は「メリーと藍、橙」の出会いとしても再表現される、という展開の仕方もあるなど、そのパーソナリティの軸の部分にも想像が寄せられる紫ならではのアプローチの在り方もある。
「過去」という観点では、なぜ「メリー」が「紫」になったのかという、そもそもの八雲一家の起点から歴史をたどるように藍と橙の姿が交錯する想像もあるなど、ファンの間で想像されている「八雲家の歴史」の可能性は多様にして深い。