概要
自治体により建設・運営されている賃貸住宅。多くはアパートや長屋の形態をとる集合住宅であるが、地方の農村部を中心に一戸建ての公営住宅もある(東日本大震災の災害復興住宅など)。形態により「市営住宅」「県営住宅」などとも呼ぶ。また、公営住宅や密集地帯を指して「団地」と呼ぶことも多い。
「国民のほとんどが公営住宅に住む」という国(例・シンガポール)や「国民の6割以上が旧・公営住宅に住む」団地文化圏の国もある(例・ロシア)のだが、「持ち家」を奨励する政策が敷かれた日本では、公営住宅は主に低所得者向けに供給されている。そのため家賃は一般的な賃貸住宅より安いが、入居には所得制限(上限)があったり、単身(高齢者を除く)では入れなかったり、入居前の内部見学が出来ない事が多いなど特殊な制約がある。この事情から、特に大都市部の公営住宅は年金生活の老人や母子家庭、生活保護受給者などの貧困層が集まりやすいというイメージで見られがちで、子育て世帯には居住を同一学区に公営住宅がないか確認するというのはよくある話である。
都市機構(旧住宅公団)のUR賃貸住宅(公団住宅)は公営住宅と混同されがちだが、本来は中所得層向けの住宅であり、自治体の公営住宅とは全く位置付けが異なる。UR賃貸住宅にも所得制限が設定されているが、「一定の基準以上の収入があること」(物件により異なる)が条件であり、新しい物件は貧困層や年金暮らしの高齢者は入れなかったりする。とはいえ、古い団地などでは高齢者や母子家庭が多く福祉住宅に近い役割を果たしているUR賃貸住宅も少なくはない。