「勧酒」は中国・唐の時代に存在した詩人、于武陵の作品の一つ。
5字4行で構成される五言絶句に属する。
作品解説
「別れ」をテーマとし、人生及び人の世におけるそれを「花に吹く嵐」と喩えた。
後述の井伏鱒二による意訳でも有名。
白文
勧 君 金 屈 卮
満 酌 不 須 辞
花 発 多 風 雨
人 生 足 別 離
(読み方は左から右)
書き下し文
君に勧む金屈卮
(きみにすすむきんくつし)
満酌辞するを須いず
(まんしゃくじするをもちいず)
花発けば風雨多し
(はなひらけばふううおおし)
人生別離足る
(じんせいべつりたる)
現代語訳(直訳)
君へこの金の杯を
このなみなみと注がれた酒を遠慮する必要などないんだ
花は開くと雨風にさらされるように
人生には別れがつきものだ
井伏鱒二による現代語訳
この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
「さよなら」だけが人生だ
直訳による現代語訳と比較するとわかるが、井伏鱒二による言い回しの増えた意訳となっている。
第3句、第4句の部分が特に有名であり、「花に嵐」は「良い物事にはとかく邪魔が入りやすい様」を意味する慣用句となった。
また、「「さよなら」だけが人生だ」の部分についても、歌人で劇作家の故 寺山修司氏が「さよならだけが人生ならば」,「だいせんじがけだらなよさ」の二つの作品書いたことからでも有名になった。
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