本項の情報にはネタバレが含まれる場合があります。原作未読の方はご注意ください。
概要
姑蘇に拠点を置いている。現宗主は藍曦臣。
四千にものぼる家訓が全て石壁に刻まれている、掟に厳しい一族。
藍家と聶家には代々付き合いがある。
金の心配とは無縁な大世家。
美男子揃いと有名で、むしろ普通の顔をした奴がいるなら探してこいとまで言われている。
姑蘇藍氏には高潔な人格者と謳われる先達・藍啓仁がおり、彼には多くの優秀な門弟を育て上げてきた実績がある。その評判を聞き、彼の行う座学に自らの子供を留学させたがる世家の者が多い。
十五、六頃の年齢の公子が集まり、魏無羨・藍忘機・江澄・金子軒・聶懐桑は同期である。
所属
- 藍曦臣:現宗主。沢蕪君と呼ばれる。藍忘機の兄。
- 藍忘機:含光君と呼ばれている。藍曦臣の弟。
- 藍啓仁:藍曦臣・藍忘機の叔父。青蘅君の弟。
- 藍思追:門弟の一人。藍忘機が育ての親。
- 藍景儀:門弟の一人。藍思追と仲が良い。
- 青蘅君:藍曦臣・藍忘機の父。藍啓仁の兄。
- 藍夫人:青蘅君の妻。藍曦臣・藍忘機の母。
- 蘇渉:門弟の一人だった。
詳細
開祖は「藍安」。寺の出身で幼少期から既に高僧として広く名が知れ渡っていた。
成人を迎え、「伽藍」の「藍」を姓として還俗し、楽師となった。
姑蘇で運命の人に出会い、道侶となって藍家の基盤を作り上げた。
- 家紋
巻雲紋。
一部の者には抹額にもその家紋が描かれている。
- 家訓
「雅正」
- 仙府
雲深不知処。
姑蘇の町外れにある山奥に位置している。
時折高楼から鐘の音が響く程度で、常に静けさに満ちている清澄な場所である。
入り組んだ水閣が巧みに配置された趣ある庭園の中、長く連なる白い塀と黒い屋根瓦には年中霧がかかっている。
塀には七歩ごとに美しい透かし彫りされた窓が嵌め込まれており、姑蘇藍氏の先祖の足跡を描いたものになっている。最も古く有名な窓は「伽藍」「習楽」「道侶」「円寂」の名が付いている。
周囲には結界があり、見張りも巡回している為、「通行玉令」がなければ自由に出入りできない。
雲深不知処は「射日の征戦」の前に一度焼き払われたが、再建され昔とまったく変わらない造りになっている。
- 家規
一族が定めた行動規範。
かつては三千条だったが、現在では四千条以上になっている。
内容は規訓石に彫られている。
雲深不知処での殺生禁止・無断で手合わせ禁止・淫奔禁止・夜遊び禁止・騒ぐの禁止・走るの禁止・むやみに笑うの禁止・だらしなく座るの禁止・ご飯は三杯以上禁止など。
「雲深不知処での殺生を禁ずる」は規訓石の第三条にある。
卯の刻に起床し、亥の刻に就寝することも決められている。
- 雅正集
藍家の家訓集。
あまりにも長くなった家訓を、藍啓仁が全て改訂し、一冊の非常に分厚い本にまとめた。
上義編と礼則編だけで全体の八割を占めている。
- 校服
白。襟袖がふわりとして風雅で、少し近寄り難い雰囲気がして非常に美しい。
外衣の内側には細い糸でびっしりと呪術と真言が刺繍されており、守護の効力がある。
- 抹額
藍家の血筋で本家の弟子は巻雲紋の抹額を結んでいる。
素材は校服と同じ素材から仕立てられており、軽やかで薄手に見えるがしっかりとした作りになっている。
抹額には自らを律するという意味がある。
開祖である藍安の言葉で、天が定めし者(心から愛する人)の前でだけは何も律する必要がないとされている。
藍家の抹額はとても私的で取り扱いに慎重を期すべき大切なもので、自分と両親、伴侶以外に触らせてはいけないことになっている。
- 通行玉令
雲深不知処は結界がある為、「通行玉令」がなければ自由に出入りできない。
藍忘機が所持しているものは階級が非常に高く、部外者が侵入すれば異常を知らせてくれる。
- 冷泉
雲深不知処に広く湧いている。
浸かると心が静まって清められ、邪気を払ってくれる。
淤血を解消し傷を癒す効能がある。
本家の公子がよく修行で使っている。
水温が非常に冷たく、藍家以外の者が短時間でこの冷泉に慣れるのは難しい。
周囲には蘭草が生い茂っている。
- 静室
藍忘機の書斎兼寝室。元は彼の母親・藍夫人の住居である。
調度品は非常に少なく、余計なものは一切置かれていない。
屏風の前に琴を弾くための卓が据えられている。
三足の香机の上には透かし彫りされた白い玉の香炉がある。
室内には檀香が立ち込めている。
床板の下には姑蘇の酒「天子笑」が七、八甕隠されている。
雲深不知処は禁酒であるが、室内で焚かれた檀香によって酒の香りには気付かない。万が一室内に入られたとしても酒を隠し持っていることはわからないだろう。無遠慮で好奇心旺盛な者でない限りは。
- 寒室
歴代宗主の居所。
- 蔵書閣
一つの竹製の敷物に対して文机が一つ置かれている。
座学時代の藍忘機は謹慎中の魏無羨と共に、一つの文机に向かい合って座っていた。魏無羨が礼則編の書き写しをしている間、藍忘機は門外不出の年代物の古書を新しく書き写す作業をしていた。
側には白木蓮が咲いている。
- 冥室
招魂の儀式を行うための建物。
壁は特殊な材料で作られ、呪文が彫られている。
扉は漆黒の木で造られていて、扉に掛けられた鍵は中からしか開けられない。
角櫓の上の鐘がひとりでに鳴り響く時は、中で儀式を行っている人の身に何かが起きたことを示している。
- 祠堂
座学時代に、魏無羨と藍忘機がここで懲罰を受けた。
- その他
藍忘機は座学時代には懲罰担当だった。
藍景儀が「含光君に死ぬほどお仕置きされる」と言っていることから、現在でもその手の役割は担っているようだ。
敷地内ではたくさんの子兎が飼われており、弟子たちと藍忘機が主に世話をしている。