本項の情報にはネタバレが含まれております。原作未読の方はご注意ください。
プロフィール
号 | 夷陵老祖(いりょうのろうそ/Yiling Patriarch) |
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名前 | 魏嬰(ウェイ・イン/Wei Ying/ぎえい) |
道具 | 剣:随便 笛:陳情 宝具:陰虎符・邪風盤 |
身長 | 186cm(前世)→180cm(現世・莫玄羽の肉体) |
誕生日 | 10月31日 |
声優 | 中国語:張傑(アニメ版)、路知行(ラジオドラマ・ドラマ陳情令) 日本語:木村良平(アニメ・ドラマ)、鈴木達央(ラジオドラマ) |
俳優 | 肖戦 |
アニメ・ドラマ等様々なメディアミックスが展開されているが、中国の検閲などの事情で媒体ごとに多少性格や設定が異なっている。ドラマ『陳情令』では特にそれが顕著。
概要
墨香銅臭の小説『魔道祖师』の主人公。簡体字表記は「魏无羡」。
中国語読みはウェイ・ウーシエン。
幼い頃に両親を失い浮浪孤児として生活していたが、雲夢江氏の当主・江楓眠によって蓮花塢に連れ帰られ、江澄・江厭離とは実の兄弟のように育てられた。幼い頃に犬に襲われたことから、犬が大の苦手。酒豪。
礼儀に拘らない自由奔放で天真爛漫な性格。修行に励まぬ不真面目だが優秀な成績を修める天才肌。仙師としては天才的で多彩な術を駆使し様々な法具を発明した。ただし、そのせいで自信過剰な面がある。
15歳の時に座学を受けに雲深不知処へ留学し、藍忘機と出会う。
不撓不屈の精神であらゆる手を使って藍忘機にちょっかいを出していた。
温家との戦い『射日の征戦』を経て、笛音で怨念と屍を操る邪道の術「鬼道」を修得し「夷陵老祖」と呼ばれるようになる。
その後、ある事件を機に仙門百家を敵に回すことになってしまい、仙門百家の討伐を受け世を去る。
その13年後、禁術「献舎」によって莫玄羽の肉体を得て転生し現世に還ってくる。
人物
生前は六芸(礼儀・音楽・弓術・馬術・書道・算術)に秀でた風雅な名士だった。
自由奔放な性格故に忘れられがちだが、一応礼儀は備わっている為、藍曦臣など目上の存在には敬語で話している(しかし現代編で宗主となっている金光瑤や、その他敵対している相手には敬語で話さない)。
弓の腕前はかなりのもので、百家清談会の弓比べでは成績上位四位以内に入ったことがある(アニメでは一位となっている)。
「無常邪尊」や「魔道祖師」などとも呼ばれ、呪術陣の類に関して彼の右に出る者はなかった。
もし「残酷な死に方千種」という本を書くとするなら、彼以上の適任者はいないと自負している。
心の中ではずっと『成せぬと知りても、成さねばならぬ』という江家の家訓を忘れるなと言い聞かせてきたが、どんなに自分の心が磐石のように揺るがないと強がったところで、結局人間は草木のように無感情にはなれないということを過去の経験から知ってしまっている。
現世に戻ってきた後は、『何を言おうと信じる者は誰もいない。無理矢理罪をなすりつけられ、事実を捻じ曲げられる』と考えており、積極的に世家と関わろうとは思っていない。
- 性格
遊びを見つけることが得意で、どんなに辛く苦しい状況でも楽しめる。
昔から喉元過ぎれば熱さを忘れるところがあり、座学時代には「あとで起こるかもしれないことなんて知らないよ。今遊べることが一番大事」と言っている。
巳の刻起床、丑の刻に就寝する生活で、蓮花塢では剣の修行も瞑想もしないで、ただ気まぐれに舟を漕いで蓮の実を取ったり、山に登って雉を捕まえたりするばかりだった。
生前は殴られたら絶対に殴り返さなければ気が済まない質だと言っている。
自分自身の身分が微妙な立場であるからか、温寧や金光瑤など、生まれに関係なく人を評価する傾向がある。
初めて出会った頃の温寧の弓の腕を高く評価し、金光瑤のことは過去には金子軒と比較して『あいつはだいぶ感じが良い』と言っている。これに対して江澄は、いくら愛想がよくて利口でも結局は家臣止まりと返している。
誰かが涙を流すところを見ていられない。女の涙はもちろん、見れば思わず近付いて宥めたり笑わせたりして、相手が泣き止んで本当に笑い出すまでやり続けてしまう。
(特に普段強気な)男の涙は、純潔を守り続けてきた女の入浴場面に遭遇するよりも恐ろしいと思っている。近付いてそばで慰めてやることなどできようもない。作中では涙を流す藍忘機にどう声を掛けたら良いのか戸惑っている様子だった。
他者を守る為ならば、自分の身が犠牲になっても構わないと自己犠牲的な所がある。
作中では
- 綿綿を庇い、胸に烙印を押されて胸元を火傷。
- 藍忘機が足を怪我していた為、貴重な薬草は全て彼の為に使い、自分の胸の火傷には使わなかった(その結果、悪化して熱を出してしまう)。
- 蓮花塢の皆が無事でいられるなら、自分の右手が犠牲になっても仕方がないと考える。
- 目隠しをして無防備な状態でいる際に力の強い恥ずかしがりな仙子に襲われるも、相手が震えていることに気付くと抵抗することをやめる。
など、他にも数多くある。
江厭離に好きな人ができたの? と聞かれた際には、「俺は誰も好きにならない。少なくとも誰かを好きになりすぎたりはしない。それって自分で自分に首輪と手綱をつけるようなものだろう?」と発言しており、恋愛に対しては非常に疎い上、自分に対する好意にも気付かない。
- 好物
非常に酒に強く、飲み始めると止まらなくなる。特に姑蘇の酒『天子笑』が気に入っている。
更に途轍もなく辛党である。彼の料理は、辛いものが好きな雲夢育ちの江澄でも辛すぎて我慢ができない。
江厭離の作った『蓮根と骨つき肉の汁物』が特に好物。
- 癖
紐状のものを掴むとつい手が動き、無意識のうちに引っ張ってしまう癖がある。作中では藍忘機の抹額がその犠牲となっている。
- 苦手
向かうところ敵無しと言われた夷陵老祖だが、過去のトラウマが原因で犬が大嫌い。
だが、それを仮に言ったところで信じる人はほとんどいない為、噂はあまり広まらなかったという。
幼少期は既に両親がおらず路頭に迷っていたが、魏無羨自身はその時期のことをほとんど覚えていない。
唯一記憶に残っているのは、犬に追い回された時の戦慄と、鋭い牙と爪が肉に食い込む耐え難い痛み。ずっと心の奥底に根を張った強い恐怖は、どれだけ時間が経っても薄れることはなく、どうあがいても克服することはできなかった。
犬だけでなく人からも噛まれることは苦手のようだが、終盤で藍忘機と両想いとなってからは彼から噛まれることに対しては嫌がる素振りは見せなくなっている。
基本的には藍忘機からされることは拒まないが、尻を叩かれることだけは嫌なようだ。
- 女好き?
女性と遊ぶのを好んでいた為、あらぬ噂が流れてしまうことが多い。
本人は人助け以外で女性の手に触れたことすらない遊び人とは真逆の性格だった為、そういった噂に関してはとても嫌だったと発言している。
あらゆる春宮図(いわゆるエロ本)を読んでおり、散々生真面目な藍忘機をからかってきたが、実は男同士のもの(BL本)はほとんど読んだことがなかった為、いざ自分が藍忘機とそのような行為をするとなった時には戸惑いを隠せずにいた。
- 死に関して
魏無羨は死後に体をバラバラにされてしまったが、幸い魂魄は無事だったので現世に戻ってくることができた。
もし生前に二度とこの世に戻りたくないと思って絶命したのであれば、魂魄は粉々に砕けてしまったことだろう。
人称
一人称は「俺」。
魔道祖師は翻訳の関係で媒体によって一人称が異なる場合があるが、魏無羨は全てのメディアミックス共通である。
よく喋る為か二人称のバリエーションが豊富である。
特に藍忘機へは 藍湛、お前、含光君、こいつ、あいつ、藍公子、藍忘機、藍兄ちゃん、彼、忘機さん、真面目ちゃん、兄ちゃん、万年喪主などと様々である。
心の中ではいつも「藍湛」と呼んでいるらしい。
魏無羨が「含光君」と呼ぶ時は真面目半分、冗談半分である。
容姿
原作は魏無羨視点の物語である為、彼の容姿についての記載は少なめである。
- 生前
『世家公子の風格容貌格づけ』第四位。
順位としては藍曦臣・藍忘機・金子軒の次であるので、顔立ちは非常に整っていることがわかる。
原作一巻には
『豊神俊郎(顔は美しく、朗らかで生き生きとしている)』
『蜜蜂と蝶々を引き寄せる一輪の桃の花のよう』
三巻には
『抜きん出て明るく意気揚々とした人好きのする紅顔の美少年』
などと表現されており、人目を引く美しい容貌であることが窺える。
江厭離は『顔立ちは生まれつき朗らかな笑い顔』だと言っていた。
- 復活後
肉体は莫玄羽のものである為、容姿は生前とは異なっている。
こちらも容姿についての記載は少ないが、
『秀麗な顔立ちに垢抜けた雰囲気をした青年』
『まるで月光に洗練されたように清らかで、輝く瞳とすっきりとした眉間、口の端は自然と微笑んでいるかのように上がっている』
と表現されている。
魏無羨が初めてこの顔を見た際には『若々しい、見知らぬ顔』だと感じている。
世間からの評判
雲夢江氏を離反する前は美男子として広く知られていた。
遊び人と名高く、多くの仙子(仙術を修行する女性の敬称)が泣かされたとの噂がある。
男が好きだという話は今まで誰も聞いたことがないことから、莫玄羽のような断袖を己の肉体に選ぶはずがないと思われていた。
かつての笛の音は天上人が奏でる音のように美しかったと言われている。
蘇ってすぐの魏無羨の笛があまりにも酷い音で、また奪舎を疑われた人物が断袖やその他にも悪い噂が並ぶ莫玄羽の体であった為、修士たちは『この者が蘇った魏無羨だと思い込むのはさすがにひどい。あまりにも人を侮辱しすぎだ』などと考えていた。悪虐非道と罵りながらも、いまだその能力に対する評価は高い。
道具
- 随便
霊力の宿る高級仙剣で主は魏無羨。剣芒(刃から放たれる光)は赤色である。
軽くて素早く操れるところが長所だが、力の面では不足している。
随便はなんでもいい、ご自由にという意味の言葉である。
江楓眠から剣を賜った際、二十以上の名前が思い浮かんだが、どれも気に入らず、結局江楓眠につけてもらおうと思い『随便!』と言った。いざ剣が鋳造されてみたら、そのままその二文字が刻まれていた。
魏無羨の手から離れて以降は封剣しており、魏無羨でなければ鞘から抜く事が出来ないとされている。
- 陳情
端に赤い房を結んだ漆黒の横笛。鬼道を使う際に使用するため、鬼笛とも呼ばれている。
能力
当初は仙剣や正道の術(仙術)を使用していたが、夷陵老祖と呼ばれるようになって以降は鬼道(屍を操る仙術)を使用することが多くなった。乱葬崗では鬼道だけでなく様々な法具も開発している。
▼仙術
- 共情
自分の体を媒介に霊の記憶に侵入することで、その霊が生前に見たことや聞いたことを疑似体験することが出来る術。
霊に問う術はどの世家でも使用されている(藍家ならば問霊)が、共情は各家の門外不出の秘術などとは関係ない。魏無羨はこれを得意としているが、霊の意識に引きずられて戻って来られなくなったり、奪舎される可能性があるため危険が伴う。
- 点睛召将術(てんせいしょうしょうじゅつ)
邪術の一種。人形に血で瞳を描いて魂を宿らせ、それを使役する術。
薛洋曰く、点睛召将は低級の術で、魏無羨ほどの威力を出せる者は他にいないとのこと。
- 剪紙化身(せんしけしん)
邪術の一種。紙を切り抜いて作った形代(かたしろ)を依代にする。
紙なので狭い場所を通り抜けられ、警備が厳重な場所の調査に役立つ。
制限が非常に多く、厳格な時間制限はもちろんのこと、形代は必ず無傷で元通りのまま術者の本体に戻る必要がある。形代が破損すると、中の魂魄も損傷を負う。損傷が少ない場合でも半年から一年の間意識を失い、ひどい場合には一生正気を取り戻せなくなる。
また、術の発動中は術者本体も無防備である。
▼発明品
- 陰虎符
魏無羨が生前に生み出したすべての中でも最も恐ろしく、同時にすべての人間が最も手に入れたいと願う法器。
虎符とは号令を下すためのもので、その名の通り、持っているだけで悪鬼凶霊に命令し、従わせることができる。
元々は魏無羨の力を補助する為に使おうとしていたが、その威力は彼の力をも超える勢いだった。
しかも主人を選ばないため、誰にでも扱えてしまい、脅威となる。
魏無羨は「過ち」を作り上げてしまったことに気付いたが、壊すことは困難だった。その代わり、半分に断ち割り、両方揃わないと使えないようにした。
陰虎符に操られている傀儡は魏無羨には従わない。逆に魏無羨に服従している傀儡は陰虎符では操れない。
- 召陰旗
特定の範囲内にいる霊などの邪悪な存在を引き寄せる旗。
生身の人間に持たせれば、一定範囲内の怨霊、悪霊、凶屍、邪祟がすべて引き寄せられ、旗を持っている人間だけを攻撃する。人間が生きた的になるので「的旗」とも呼ばれる。
家の屋根にも立てられるが、家の中には生きた人間がいる必要がある。その場合、家にいるすべての人間が攻撃対象となる。立てられた旗の周りに邪気がまとわりつき、黒い風が回っているように見えるので「黒風旗」とも呼ばれる。
- 風邪盤
凶屍や邪祟、妖魔、殺鬼がいる方向を指す法具。
現在使われているのは第一版で、精度に欠けている不完全なものである。
生前の魏無羨は改良版に着手していたが、完成させることはできなかった。
▼その他
- 鎖霊嚢
霊的なものを収納することが出来る布製の小さな袋。
現代編の魏無羨はありあわせの布切れを繋ぎ合わせて作った。
- 竹笛
大梵山で温寧の暴走を止める為、即席で作った竹の笛。
後に藍忘機が一心に彫り直し、雑だった音孔などの細かい部分が綺麗になっている。
観音廟で壊れてしまうまでずっと使用していた。
▼鬼道の開祖として
『鬼』とは死者が化けたものである。
中国では人が死んだ後の魂を指し、人が死ねば鬼になると考えられている。
夷陵『老祖』と言われるだけあり、その力は絶大である。
- 屍を操る際、複雑な呪文も召喚の言葉も一切必要ない。ただ普通に直接命令すれば良い。
- より残虐で凶暴であるほど操りやすい。(ただし、魏無羨が調教していない場合、命令が強すぎて屍の方が耐えられない)
- 舌笛を吹けば屍の更なる残虐さと凶暴さを呼び起こせる。
例外として、先に陰虎符に支配されている凶屍や悪霊は、魏無羨であっても操ることができない。
過去
- 幼少期
魏無羨は雲夢江氏の家僕だった魏長沢と、雲遊道人(各地を遊歴する道士)であった蔵色散人の間に生まれた。
両親は魏無羨が幼い頃に夜狩で命を落とした。
浮浪孤児となり路頭に迷い、いつも野良犬と食べ物を奪い合っていた。追いかけられたり噛まれたり、怖い思いを沢山したせいで、犬全般が死ぬほど怖くなってしまった。
その当時は現在の性格とは異なり性格は非常に大人しく、食べ物を与えられるとにこにこと微笑んでいた。
とても拐いやすく、江楓眠は彼に西瓜を与えて蓮花塢へと連れ帰った。
詳細は中国版のラジオドラマ(猫耳FM)第3季『吃瓜』で描かれている。
アニメ版のみ幼少期の藍忘機と接触しており、でんでん太鼓を手渡されている。
それがきっかけかアニメ版の魏無羨はでんでん太鼓を好む設定が追加されている。
魏無羨は九歳の時に江楓眠に引き取られた。
その頃の記憶はかなり朧げだったが、江厭離がよく覚えていて魏無羨に教えてくれていた。
蓮花塢に来た当初、江澄は遊び相手として子犬を何匹も飼っていた。魏無羨がそれにとても怖がることを知ると、江楓眠は犬たちを他家に譲るよう優しく諭したのだった。江澄はひどく嫌がって癇癪を起こしたが、結局犬は譲ることになった。
その経緯があって長い間江澄は魏無羨に対して敵意を抱いていたが、一緒に遊ぶようになり打ち解けてからというもの、二人はいつでもともに出かけてはあちこちでいたずらをするほど仲良くなった。犬から魏無羨を守る役目はいつも江澄だった。
- 座学時代(15歳)
藍家の家規をいくつも破り、禁酒の雲深不知処で酒を飲む・夜に騒ぐなどの素行が悪かった為、一ヶ月藍忘機に見張られながら謹慎することになる。
水鬼駆除の際「例えば、何か釣り餌のようなもので水鬼をおびき寄せて、自分から集まってくるように仕向けるとか、あるいは奴らの方位を示してくれる羅針盤のようなものがあればいいですね」と提案しており、これが後の「召陰旗」と「風邪盤」となるのだが、当時は江澄から「現実離れした考えはもうやめろ」と言われている。
自分が購入した品は、すべて他の公子たちに分け与えて皆で楽しもうとする性分である。
藍啓仁の授業がない間は、朝から晩まで遊び惚けていて、皆で魏無羨と江澄の部屋に入り浸り、夜な夜な酒を飲んでは腕相撲をしたり、サイコロを振ったり、春宮図を見たりして過ごしていた。その後藍忘機に見つかり、二人で懲罰を受ける事になる。
金子軒が江厭離への不満を口にした上、江澄を貶すような発言をした為、魏無羨は彼に殴りかかった。
普段の魏無羨はいつもへらへらしていて、たとえ叱られても、ひどく処罰されたとしても、本気で怒ることはなかった。その為、蘭室の皆は非常に驚いていた。
その事件が原因で、魏無羨は座学期間の途中で蓮花塢へと戻ることになる。
- 温氏百家清談会・弓比べ(16歳頃)
魏無羨は雲夢江氏の一員として試合に参加していた。そこで藍忘機と再会する。
魏無羨は座学以降、姑蘇での見聞を周囲の人々へ一通り話していた。その中には藍忘機の事も含まれていたが、しばらくすると姑蘇での日々を忘れてしまっていた。久々の再会ということもあるが、藍忘機の飾り気のない校服姿しか見たことがなかったので、鮮やかで目が眩むような装束姿にすぐに彼だとは認識できなかったのだ。
座学時と同様、彼に構って欲しくて話しかけるが、藍忘機は「通していただきたい」と鋭く一言だけ告げるのみだった。そんな彼に対して「藍湛、お前の抹額ずれてるぞ!」と冗談を言う。藍家の抹額の意味を知らない魏無羨はただただ揶揄うだけのつもりだったが、藍忘機は至極真面目に抹額を確認する。魏無羨の言葉が嘘だとわかると、鋭い視線で彼を見たのだった。
試合の最中、再び魏無羨が「お前の抹額、ずれてるよ」と言った。二度目ともなると藍忘機はその言葉を信用しなかったが、今度は本当に抹額が緩んでいたのだった。「信じないなら俺が直してやる」魏無羨がそう言って手を伸ばすと、彼の抹額は額からずり落ちてしまった。
- 暮渓山(17歳頃)
温家の教化として集められた各世家の門弟たち。江家の中からは江澄や魏無羨、その他数名の門弟が参加する。藍家からは藍忘機ももちろん含まれていた。魏無羨は藍忘機の様子がどこかおかしいことに気付いてはいたが、面倒を起こすなと江澄に止められてしまう。
集められた全員は夜狩の為に暮渓山へと向かわされた。途中で藍忘機の脚が折れていることを知り、背負おうとするも拒まれてしまう。
洞窟の内部で巨大な亀と遭遇する。世家の弟子たちは皆、矢を拾っては弓につがえ、一心不乱に妖獣の相手をしていた。そんな最中、温晁の愛人である王霊嬌が綿綿に鉄の焼印を押さえつけようとしているところだった。
魏無羨は綿綿を庇い、自分の左胸でその焼印を受け止めた。
他の皆を逃し、洞窟内に残った魏無羨と藍忘機。
二人は協力して巨大な亀の妖獣・屠戮玄武を倒すことになる。
- 平穏の終わり
温氏に攻め込まれ、魏無羨と江澄は虞紫鳶の手によって紫電で縛られ、船で蓮花塢から逃される。
魏無羨は、虞紫鳶から「しっかり江澄を守るのよ。命を懸けてでも守りなさい」と、江楓眠からは「阿嬰、阿澄のことを……くれぐれも頼んだぞ」と言われて別れることとなった。
ようやく紫電が解けた頃、二人は蓮花塢へと戻る。温氏が囲む中、二人は修練場に人の死体が山積みとなっているのを見てしまった。その中にはよく知っている姿が数多くあり、そこには変わり果てた江楓眠と虞紫鳶の亡骸もあった。
二人はよろめきながら駆け出し、蓮花塢を離れた。一気に数里も走ったところで唐突に江澄が立ち止まり、引き返そうとする。「仇を討つのは今じゃない」と言う魏無羨に対し、江澄は「今じゃないならいつだ? もうお前にはうんざりだ、さっさと失せろ」と返した。
「なんであの時、藍忘機なんか助けたんだ?!」「藍忘機と金子軒なんか、死んだら死んだで良いだろう! 奴らが勝手に死んだって、俺たちに何の関係がある?!どうしてこうなった?!」
江澄は深い悲しみと怒りのあまり、完全に理性を失っていた。父さんと母さんを返せと震える声で訴える江澄に、魏無羨も涙を流しながら何も言い返せずにいたのだった。
二人は江厭離のいる眉山虞氏へ向かう。彼らは慌てて逃げてたせいで手持ちの食料がなかった。食料調達の為、小さな町に足を踏み入れる。
「何か食べ物を買ってくるから、お前は座ってろ」
幸い魏無羨は普段から服のあちこちに小銭をいれる習慣があった。すぐに腹を満たせる食べ物と日持ちする食料を大量に買い込み、江澄の元へ戻ったが、そこに彼の姿はなかった。
魏無羨は江澄が蓮花塢へと戻ったと考え、無我夢中で駆け出した。どうして江澄に追いつけないのか、本当に蓮花塢に戻ったんだろうか? 俺を置いて眉山に行ったとか? 不安と疑問は尽きないが、魏無羨はひとまず蓮花塢に行くことを決めた。
皆を失い、今は一人ぼっちで、魏無羨は初めて自分の力がこれほど取るに足らないものであることに気づいたのだった。
蓮花塢へと戻ると、魏無羨は温寧と遭遇する。彼とは過去に岐山の清談会で会ったことがあるのだが、魏無羨はすっかり忘れてしまっていた。少し会話しているうちに、確かに弓比べの際にこんな奴がいたと思い出したが、それでも驚きと猜疑心が拭えなかった。
「わ……私、代わりに彼を助け出すことができます」
魏無羨は彼をまだ信用することはできず、警戒すべきだと考えたが、その言葉に九死に一生を得たかのような尋常ではない喜びが湧き上がっていた。魏無羨が恐ろしいのは己の死ではない。怖いのは、江澄を助け出せず、江楓眠と虞紫鳶に託された思いを裏切ってしまうことだった。
望みを託せるのは今は温寧しかいなかった。
温寧は本当に江澄を背負い、紫電まで持って戻ってきた。江澄は少なくとも肋骨が三本は折れ、戒鞭による傷もあった。早急に薬と安静が必要な状況だ。魏無羨は温寧を頼り、夷陵の「監察寮」に匿われることになった。
そこで目覚めた江澄は、自分の「金丹」が化丹手に消されてしまったのだと茫然自失の状態で呟いた。
「金丹」は一度消滅したら二度と再生できない。ただの一般人に成り下がる。そうなれば、仙門の者はもはや廃人も同然。江澄はひとしきり半狂乱の笑い声を上げてから、寝台に倒れ込み「なんで俺を助けた?」と自暴自棄な様子で言った。
そこへ現れた温寧を見て、江澄は「温狗を見てなんで殺さねぇんだ!?」と興奮状態に陥った。彼の大声が響く中、突然紅の影が一筋、扉を蹴破って中に入ってきた。温寧の姉・温情が江澄の頭に一本の針を刺したのだ。その針によって江澄は寝床へと倒れ込む。
温情は、温寧を叱りつけながら、彼らの利害関係を明確に言葉にした上で『長居はしてほしくないけど、数日ならば残っても良い』という旨を遠回しに話したのだった。
江澄は骨と外傷はすべて完治したが、目を覚ましてもぴくりともしない。水も食事も抜き、まるでひたすら死を願っているようだった。
「江澄、起きろ。飯を食おう」「お前が体力を回復しなけりゃ、どうやって金丹を取り戻すんだ?」
魏無羨のその言葉に、江澄は目を瞬かせる。
『抱山散人』……死者を生き返らせ、骨に血肉を再生させられるという世外の傑人。かの人に助けを求めれば、金丹を取り戻せる。期待から江澄の目に正気が宿った。
今すぐにでも会いに行きたいと言う江澄に、「抱山散人の山にはたくさんの禁忌がある。ゆっくりお前に教え込まないといけない」と魏無羨は宥めた。
「もし禁忌を犯して師祖を怒らせてしまったら終わりだぞ。お前も俺も、終わりだ」
江澄は魏無羨の教え通りに山を登っていった。魏無羨は一緒に登ることはできない。
さっきの町でお前を待っているからなと言って見送った後、身を翻して違う山道へと進んだ。
魏無羨は道端にしゃがみ込んであの山の方向を眺めていたが、まだ江澄の姿はなかった。
両膝に手をついて立ち上がると、目眩でふらつくが、町にある唯一の茶屋に向かって歩いた。
店に入るとそこの雇人の反応はおかしかった。ここ数日駆け回っていたせいで、魏無羨の身なりは薄汚れている。普通ならば一瞬で忌々しげに睨みつけてくるものだが、ここの雇人は笑顔で出迎えたのだ。
魏無羨は即座に店を出ようとするが、正面から男に一撃を胸に打たれてしまった。
そこにいたのは温晁達だった。一撃を食らわせてきたのは化丹手だ。
彼らは魏無羨を捕らえ、御剣すると、生きている人間が足を踏み入れれば永遠に出て来られないとされる『乱葬崗』へと落としたのだった。
その後 → 夷陵老祖
林檎(ロバ)
魏無羨が乗るロバ。魏無羨の言うことは一切聞かないが、本能的に強者だと感じているのか藍忘機には大人しく従っている。魏無羨曰く「林檎が好物だから林檎ちゃん。わかりやすくてぴったり」とのこと。
出会い
莫家荘から逃げる為に、移動手段となる馬がいないか探したところ、とある庭の中にある石臼にむしゃむしゃと何かを咀嚼するロバを発見する。魏無羨はロバと目が合った時、その瞳の中に見える微かな軽蔑の感情に興味を持ち、手綱を引っ張って連れ出した。
そのロバはとても手間がかかり、露を帯びた新鮮で柔らかな草しか食べない。鳴き声も非常に耳障りである。
魏無羨はすぐに『乗り物としても、愛玩用としても、全然役に立たない』と思ったのだった。
ロバが林檎を好むことに気付いてから、魏無羨はロバの鼻面の前に林檎をぶら下げて走らせた。
その勢いは魏無羨が今まで見たどの駿馬とも比べ物にならないほどだった。
家族の記憶
幼い頃の記憶はほとんどないが、ある場面だけはずっとおぼろげな記憶の中に焼き付いていた。
一本の小道、一頭のロバ、そして三人の影。
黒ずくめの男が白ずくめの女を軽々と持ち上げると、抱き抱えてロバの背中に乗せ、そして今度は小さな子供を高く持ち上げて、自分の肩に乗せた。
幼い頃の魏無羨は、父の肩に乗り、髪を引っ張ったり顔を揉んだりして、両足をずっとバタバタとさせながら適当に口ずさんでいた。母は二人を眺めながら微笑んでいる。父は始終無口だったが、魏無羨をもっと高く、もっとしっかり座れるように支えてくれながら、もう一方の手でロバの手綱を引いていた。
藍忘機との関係
原作はBL小説の為、ここにカップリングを記載する。
藍忘機×魏無羨(忘羨)
最終的に道侶の契りを結んだ公式カップリングである。
原作・ラジオドラマ版では肉体関係がある。
なお藍忘機×魏無羨は固定(リバ・総受け・攻/受違い等はのぞましくない(出典参照))の為、ご注意ください。
出典:墨香铜臭MXTX(Weibo)2018-3-17 23:06の投稿にて
以降、二人に関するネタバレがあります。 |
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軽率な言葉
魏無羨は藍忘機を揶揄う為に、つい冗談や口から出まかせを言ってしまいがちだった。
以下は「つい言ってしまったせいで予想外の方向に進展してしまった」一部の例である。
- 大梵山にて
「含光君みたいな男が好きだ」
大梵山で逃げるために放った台詞。
藍忘機・江澄両名を同時に嫌がらせができて喜んでいたが、目論見は外れ、藍忘機に連れて帰られることになる。
「言ったな」
「え?」
「この人は私が藍家に連れて帰る」
- 清河にて
「だったらおんぶでもしてくれるのか?」
魏無羨が金凌の身代わりに「悪詛痕」を受けた際、心配をする藍忘機に対して言った言葉。
その後魏無羨が「言ってみただけ」「おんぶは嫌だ」と言った後、藍忘機は確かめるように聞いた。
「本当に背負われるのは嫌か?」
「嫌だ」
藍忘機は片手を魏無羨の背中に回し少し腰を屈め、もう片方の手で膝裏をさっと掬い上げて、その腕に抱きかかえたのだった。
- 金鱗台にて
「俺はもうあいつから離れられないんだ。含光君以外は誰もいらない」
金凌から莫玄羽が金光瑤に付き纏っていた旨を聞き、それを否定する意味も込めた冗談。
その言葉の後に逃げた金凌に対し、魏無羨は得意げな笑みを浮かべていた。満足して振り返ると、後ろ三丈足らずの場所に『月光の下で霜でも降りたかのような白い袍を纏った雪のように色白な男』が立っていた。
藍忘機は感情の読み取れない表情で彼を見ており、魏無羨は言葉を失う。
彼に見つめられると、信じ難いことに前世でも今生でもただの一度も感じたことのない微妙な羞恥心が芽生えたのだった。
藍忘機への想いの変遷
最初は少し気になる程度だった藍忘機のことが、次第に離れられなくなる程大切な存在へと変わっていく。以下、その過程の一部である。
▼現代編:冷泉
最初に冷泉で藍忘機の背中を見た時には『いくら美しくても男を好きになるはずもない』と考えている。生前の魏無羨は女性と遊ぶのが好きであった為、断袖の可能性は全くなかった。
蘇った当初は『前世において、藍忘機との間に、何か心に強く刻み込まれるような出来事はなかったはず』『相容れるところがどこにもない。お互いの関係を悪いとまでは思っていなかったが、仲が良かったとは言わせてもらえないだろう』と考えている。
▽過去編:座学
蔵書閣では『確かに綺麗だな。容姿も風格も何一つ欠点がない。 【中略】 毎日敵でも見ているようなこの冷ややかな視線で、まるで両親を亡くしたみたいな暗い顔をしているんだから、いくら綺麗でも全部台無しだ』と考えている。容姿は褒め称えているが、彼のつれない態度は気に入らないようだった。
座学時代の冷泉では『本当、俺はお前みたいに真面目で有言実行な奴、初めて会ったよ。俺には絶対無理だ。お前はすごいな』と本心から感嘆している。
江澄から「お前、あいつのこと面白くない、つまらないとか言って嫌ってなかったっけ?」と聞かれると「あいつみたいにあり得ないくらいつまらない奴って、いっそすごく気になるし、面白いと思わないか?」と返している。
▼現代編:清河
江澄に正体が暴かれた際、霊犬・仙子を連れてこられると魏無羨はいつも通り怯えていた。無意識に助けを求めて呼ぶ名は書かれていなかったが、後の江澄の反応から考えると「藍湛」だったのであろう。
金凌から「悪詛痕」を引き受け、更には江澄の紫電をも受けており、うまく歩けなくなっている魏無羨は藍忘機に横抱きで抱えられてしまった。まさかこうなるとは夢にも思わず、前世でも今生でも、誰かにこんなことをされたのは初めてで、全身の毛が逆立つような気さえした。
しかし、魏無羨はもともと照れ性ではなかったため、すぐに体裁などどうでも良くなってしまった。悠々と運ばれながらも藍忘機の服の帯を触り、きっちりと閉じていた胸元をはだけさせていたずらをする余裕まで出たのだった。
足の状態を確認する為、藍忘機が再度魏無羨の前に跪こうとした。
その際には、どうにも居たたまれず、その様子を正視することができなかった。
(中国では『男子の膝下には黄金がある』とまで考えられており、それほど大事なものだから軽々しく跪くことはできない)
▼現代編:櫟陽
「射日の征戦」を真似て遊ぶ子供たちを見つける魏無羨。しばらく笑みを浮かべながら様子を窺っていたが、江澄役の少年の言葉を聞いてその表情が消えた。まるで防ぎようのない小さな毒針に刺されたかのように痛みが走る気持ちだった。
しかし、藍忘機役の姿を見るなり、苛んでいた毒針が誰かの手で抜かれたかのように痛みが跡形もなくなくなった。
「本当に不思議だよな。あんなに無愛想な奴なのに、なんでいつも俺をこんなにも楽しくさせられるんだろう?」
魏無羨の口角は再び上がっていた。
▼現代編:義城
藍思追らと合流し、魏無羨は激辛の粥を振る舞った。子供たちはあまりの辛さに音を上げるが、魏無羨は皆の様子見ては「含光君は結構辛いもの平気なのに」と言う。しかし、藍忘機は淡白な味付けを好み、辛いものは食べないことを藍思追が答えた。魏無羨は過去を振り返り、彼が山椒まみれの辛い物ばかりを注文していたことを思い出すが、彼の箸の進みまではどうだったか覚えていなかった。なぜだかふいに、魏無羨はとても、とても藍忘機の顔が見たくてたまらなくなった。
▼現代編:義城後の町
魏無羨は酔っ払った藍忘機に抹額で手首を縛られる。七、八個もの連なったこま結びは、自分で解くのは困難だった。魏無羨が「解いてくれ」と言うと、彼は抹額ではなく服の帯に触ろうとした。
『藍忘機に手首を縛られたまま服を脱がされる光景なんて、想像するだけでも血の気が引く!』
そう考えるも、藍忘機は自分の都合の良い言葉しか聞き入れず、そのまま抹額を解くことはなかった。
その後、藍思追から藍家の抹額の意味を聞き、魏無羨は過去に何度か藍忘機の抹額に触れてしまっていたことを思い出す。彼は動揺から全身の半分以上の血が脳天に吹き上がってくるような感覚に襲われていた。
▼現代編:金鱗台
随便を抜いたことで、魏無羨の正体が暴かれてしまった。魏無羨が密室を飛び出すと、藍忘機はその後ろから追いかけてきていた。それに気付いた魏無羨は「お前はついてくるな!」「お前の名声は地に落ちるぞ!」と言うが、藍忘機は無言で魏無羨の腕をぐっと掴んだのだった。
二人の前に現れたのは金凌だった。彼は苦しみながら魏無羨の脇腹を刺す。
その後の記憶はおぼろげだったが、気付くと藍忘機に背負われ、避塵で飛んでいる最中だった。繰り返し戦ったことで彼の息遣いは少し荒かったが、その口調は変わらずに安定していた。
「うん」「ここにいる」その言葉を耳にすると、魏無羨の胸の中に未だかつて感じたことのない気持ちが込み上げてきた。
▼現代編:雲深不知処
手を伸ばし、そっと藍忘機の袖を掴む。ずっとそばで見守っていた藍忘機は、すぐに身を屈めて囁いた。
「ここにいる」
魏無羨は夢を見ていた。眠ったまま小声でぼそぼそと何かを訴えている。
「……お前……お前は、怒らないで……」
藍忘機は「怒っていない」と優しい声で答えた。藍忘機がそばを離れようとすると、魏無羨ははまたぎゅっと袖を掴み腕に抱きついたまま叫んだ。
「お前についていくから、早く、俺をお前の家に連れて帰ってくれ!」
自分の声で目を覚ました魏無羨は、自分が藍忘機にしがみついていることに気づくと、もはや転がって離れたいほどに動揺して慌てて手を離した。
▼現代編:夷陵
魏無羨はロバに揺られながら、藍忘機に「隠居したあと何をするか、考えたことはあるか?」と問う。藍忘機はまだ考えていないと答えたので、魏無羨は自分の考える隠居生活について思いを巡らせた。
- 人気がなく、風光明媚な場所に、大きな家を建てる。その隣に藍忘機の家も建てる。
- 毎日のおかずは二品に汁物一品。藍忘機が食事を作る。家計簿も藍忘機に任せる。
- 魏無羨が畑を耕し、藍忘機には布を織らせる。
- 昼間は魚を釣って畑を耕し、夜は夜狩に出かける。
- もし飽きてきたら隠居などなかったことにして、再び俗世に戻ってもいい。
▼現代編:物語終盤
藍忘機への好意を自覚し、『一人で自由気ままに旅をすることは「できない」』と考えている。
藍忘機から離れたらもう駄目になる。いつの間にか彼は生きる意味となっていた。
詳細は原作小説にて。
『忘羨』
暴走する温寧を落ち着かせる為、魏無羨が吹いた曲。
穏やかで静謐な旋律は、自然と魏無羨の心の中に浮かび上がってきた。
最初は暮渓山の洞窟内で二人きりにいる時に、藍忘機が魏無羨に聴かせた曲だった。
これ以降藍忘機は他の誰にもこの曲を聴かせたことがない。
その為、この曲を吹くことができた莫玄羽の姿を見て、中身は魏無羨本人だと確信することができたのだった。
名前が露骨なせいで言い出せなかったのか、それとも本人に思い出させたかっただけなのか、藍忘機は終盤までその曲名を魏無羨には教えなかった。曲名があるのかを知らない魏無羨は、熟考して八十以上の名前をあげたが、それらを全て藍忘機に却下されている。