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宇宙の暗殺者

うちゅうのあんさつしゃ

ゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第12弾。著者はアンドリュー・チャップマン。
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「宇宙の暗殺者」とは、イギリスの出版社「ペンギン・ブックス」から出版されていたゲームブック「ファイティングファンタジー」シリーズの第12弾「SPACE ASSASSIN」の日本語版タイトルである。出版社は社会思想社。


作品解説編集

 オド星域。それは、君の住む星域であり、そこは悪魔の科学者、サイラスが暴れまわっていた。

 彼はロボットや、自身で作り出したミュータントの怪物を引き連れ、自身の知的好奇心を満たすためだけに、あらゆる犯罪を犯している。特に得意なのが、惑星に降下し、罪もない人々を誘拐する、というもの。噂では誘拐した者たちを実験台にして、残酷な実験や手術をしているらしい。そして、その噂を別にしても、誘拐された者たちは、二度と戻っては来ない。

 そして、君の母星である惑星に対しても、サイラスからの通知が届いた。惑星全体を用いて、恐ろしい生物学的実験を行うが、その際には惑星の地表全体に放射性同位元素を撒き散らし、同時にウイルスをも散布する、というのだ。

 かくして当局は、惑星暗殺者ギルドに、サイラスの逮捕を依頼する。

 サイラスの巨大宇宙船「ヴァンダーベッケン」に潜入し、彼を逮捕し、裁きの場に引き出す。

 この任務に選ばれたのが、君……暗殺者ギルドが選び出したエージェントだ。

 こうして君は、サイラスの船を探索。かくして、母星から何光年も離れた星系の惑星、その軌道上にて「ヴァンダーベッケン」を発見した。

 船は現在、燃料補給と消耗品の補充中らしい。君は補給艇に潜み、「ヴァンダーベッケン」に潜入した……。


 シリーズ12弾。

 今回のジャンルはSFであるが、4巻「さまよえる宇宙船」と異なり、単体で巨大宇宙船に乗り込み、マッドサイエンティストを探し出して捕まえる……という、「ファンタジーにおける、ダンジョンものをSF世界に置き換えた」ような作風になっている。

 今回の主人公=君は、暗殺者……というより、エージェントに近く、「さまよえる宇宙船」の戦闘とは異なる、銃撃戦や格闘戦などが設定されている。戦闘自体も、タイタンのファンタジージャンルのそれに近い、若干派手めでヒロイックなものになっている。

 戦闘は、格闘戦の他、銃器を使用する銃撃戦が必要。そして主人公は、装甲板を施した戦闘用宇宙服を装着しており、敵からの銃撃が当たっても即死はしない。更には、手榴弾や重力爆弾(ブラックホールを内蔵した爆弾)などの特殊な武器もあり、パラグラフにおける選択次第で用いる事が可能。

 そのため、SFといってもスペースオペラ、もしくはSF的なパルプヒーロー的な雰囲気の方がやや強く、「さまよえる宇宙船」とは完全に作風、雰囲気や魅力が異なっている。

 また、登場する敵もファンタジーには無い魅力……各種宇宙人やロボット、ミュータントや惑星原住の宇宙生物など、「さまよえる宇宙船」とも異なり、そして「タイタン」を舞台にしたシリーズには無い魅力もあり、バラエティに富んでいる。

 加えて、作中各所でもファンタジーのそれのようなパズルや謎かけ、展開次第でプレイできる対戦車シミュレーションゲームなどもあり、飽きさせない。また、難易度もそう高くはなく、サイラスを逮捕しゲームクリアする際の条件も、厳しくはない。

 ストーリー自体も、そつなくまとまっており、やや目立たないものの、隠れた佳作とも呼ぶべき作品である。


 著者のアンドリュー・チャップマンは、本作が「ファイティングファンタジー」シリーズのデビュー作。以後、新人作家は「SFジャンルで最初に作品を出して、その後に『タイタン』を舞台とした作品を出す」といった事が行われるように。

 SFジャンルには共通する世界観が存在しないため、同一世界観ゆえに「縛り」が出てしまう「タイタン」を最初に書かせるより、「一から完全に自由で制約のない状態で、一作作ってみる」「そのうえで好評なら、タイタンを舞台にしたものを作る」という理由から、慣例化されたらしい。


主な登場人物編集

主人公=君編集

 惑星暗殺者ギルドに属する、凄腕の暗殺者。

 最新最強の武器を携え、特殊な宇宙装甲服に身を包み、人類を含めた27種族の格闘技をマスターしている。

 惑星暗殺者ギルドは、様々な戦闘能力を極めた暗殺者を擁した宇宙的組織で、主人公も属している。その目的は、手強い犯罪者や危険人物を探し出し、法の裁きを受けさせるため逮捕する事。故に本作における「暗殺者」は、「特殊工作員」または「エージェント」と呼ぶ方が正しいかもしれない。


サイラス編集

 今回、主人公=君が逮捕する目標。

 いわゆるマッドサイエンティストで、人々を誘拐し、数々の実験台にしたり、改造手術を施したりして、己の知的好奇心を満たしている。

 巨大宇宙船「ヴァンダーベッケン」の居住区に住み、私室はアンティーク趣味で装飾しており、ゆったりした椅子、絵画、異世界の絨毯、革装飾された本棚などがある。

 裁判を受けても、死刑になるに十分な行為を過去に行っていたらしく、仮に死刑を免れても懲役99年にはなるだろう、との事。

 外観は、こけた頬に落ちくぼんだ両目と、不健康そうな顔をしている。


ヴァンダーベッケン・パイロットロボット編集

「ヴァンダーベッケン」のブリッジに常駐している、宇宙船のパイロットを努めるロボット。

 操縦装置の側に、へその緒のようなコードを接続した、驚くほど精巧な人間型ロボット。

(行動次第で出会う事のある)技師が言うには、「あのロボットは生きている」。人間同様に思考し、自らが存在する事を認知しているというのだ。そのため技師は、解体処分を命じられても「それは殺人だ」と命令の遂行ができなかった。

 戦闘能力は皆無で、主人公の銃撃一発で簡単に破壊される(その際、戸惑ったような態度と言葉を発す)。

 しかし、脅威にならないわけでなく、会話を無理に止めて情報を得ようと迫ると、船の機能を駆使して超停滞場発生装置を展開させ、主人公を捕えてしまう事も可能。

 会話を試みると、非常に難解な哲学的な話題を振ってくる。この話題になんとかついていき、相応の返答をすると、選択次第では感心し友情を覚え、味方をしてくれる。


登場する武器、装置編集

電撃銃編集

 電撃を発射する小型ハンドガン。

熱線銃編集

 威力の大きい軍用銃。

※電撃銃は二点、熱線銃はサイコロ一個分(1~6点)のダメージを与える。キャラメイク時には、必ずこれらのどちらかを装備せねばならない。

 本編中には、消費したり無くしたりすることもあるが、敵から奪ったりして入手も可能。

手榴弾編集

 広域殺傷兵器。敵が複数いる場合、掃討が可能。ただし使用できるのは、文中に使用しても良いという指示がある時のみ。

重力爆弾編集

 時間停滞場で超小型ブラックホールを包み込んだもの。使用すると、爆弾が爆発し、ブラックホールが半径3m以内のあらゆる物体を吸い込み、超空間に消滅する。

 扉を吹き飛ばしたり(正確には空間ごと穴を開ける)、動かしようのない物体をどかすのに用いる。

戦闘用装甲宇宙服編集

 主人公が着ている宇宙服。宇宙空間でもそのまま使用が可能。装甲版にて覆われており、銃撃戦で相手からの銃撃を受けても、防御してくれる。ただし装甲版は消耗品なので、破損したら予備で補充する必要がある。

異次元転送装置編集

 劇中進めていくうち、行動次第で入手し使用可能になる。使用すれば、戦う相手をそのまま異次元に飛ばしてしまい、戦わずして先に進める。しかしその代わりに、「使用代金」をそのつど払わなければならない。代金は銃や装甲版、重力爆弾や赤外線ゴーグルのような技術製品などで、支払いができない場合は自身も同じ異次元に飛ばされる。

分解砲編集

 強力な銃器。一発当たっただけで、目標を完全に消失させてしまう威力を有する。敵方で使用する者が登場するが、これを主人公が奪って使用する事はできない(爆発するか、異星人用で扱えないなどの理由で)。

異星生物事典編集

 プラスティックケースに入れられた、電子ブック。

 見慣れない異星生物に対してかざせば、音声にてそれがどんな生物かを説明してくれる。


舞台、異星人編集

ヴァンダーベッケン編集

 本作の舞台である巨大宇宙船。

 惑星軌道上に停泊しており、燃料と食料や消耗品などを補充している。

 内部はダンジョンのように通路が縦横に伸びており、数多くの科学者や技師、技術者がサイラスの研究や実験を補佐。同じく多くのロボットやミュータントが衛兵として侵入者を警戒している。

 惑星と特殊な通路で接続しており、行動次第では惑星上にそのまま降り立ち、歩き回る事もある。

惑星編集

 ヴァンダーベッケンが軌道上に停泊している惑星。

 行動の選択次第では、この惑星上に主人公が降り立ち探検する事もある。惑星上には食人植物や翼のあるサソリ、洞窟に潜む怪物などが出没し、原始的な生活をしている異星人たちもいる。

異星人、宇宙生物など。編集

 本作には、色々な異星人が登場する。

惑星上のタマゴ型異星人編集

 タマゴに顔と手足、逆立った髪を付けたような体型の異星人。原始的な生活をしており、槍で武装。村にはトーテムを建てて崇拝している。

フェニクス人編集

 ネズミのような姿をした異星人。眼鏡をかけた学者たちで、戦闘能力は高くない。

清掃係三人組編集

 ヴァンダーベッケン船内にて、廊下を清掃していた三人組。

 頭と耳と鼻がニンジンそっくりと、背の高い照明清掃係と、デブ猫そっくりの床清掃係二人の三人。

 背の高い方は、蒸気噴霧器で通路の天井の照明を清掃、でぶ猫二人は真空掃除機で床を掃除していたが、主人公の姿を見て侵入者だと悟り、そのまま襲ってきた。

ザルグ人編集

 知能が高いが、排他的な異星人。

 種族の特徴として、「毛皮で覆われた小動物を箱に押し込め、自分たちがそいつらよりずっと賢く面白い存在だと認知させる」という、わけのわからない事を好む(そしてその小動物が、ザルグ人に反論したら、たちまち八つ裂きにされる)。

 これは他の種族にも向けられる事があるようで、劇中では保安扉の前に立つ衛兵として登場し、主人公に対して問題を出し、それに答えられたら通って良し、答えられなかったら銃撃するという存在として登場する。

セファロ・リス編集

 リスに似た小動物。六本足と飛び出した目を持ち、ふさふさした黒い毛皮で覆われている。

 実験用に用いる予定だったのか、とある部屋にてガラスの檻に入れられていた(そのうち何匹かは毛が剃られたものも)。

 紫色の柑橘類に似た果物を好み、それを与えられたら喜んでかぶりついた。

 ザルグ人と遭遇した時には会話していたが、選択次第ではセファロ・リスの方から問題を出し、その定義を述べている間に主人公はそのまま戦闘を避けて先に進む事が出来る。

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