概要
1987年に製作された台湾映画。
『幽幻道士』と『幽幻道士2』の間に制作されており、幽幻道士シリーズの主要なスタッフやキャストが多数参加している。吹替でも同じ声優が起用されている。
『桃太郎』を映像化した作品で、『来来!キョンシーズ』のようなコメディ調のストーリーになっている。
シリーズ化されており、『新・桃太郎2』『新・桃太郎3聖魔大戦』と3作目まで出ているが、2作目は桃太郎の祖母が敵に殺されたり、3作目では金色童子の父が殺されるなど、主人公サイドの大事な人たちが殺される描写がある過酷でシビアなストーリーになっている。
VHS発売はされていたが、DVD化はされておらず、現在は幻の作品になっている。
登場人物
桃太郎
演:林小樓(リン・シャオロウ)
吹替:羽村京子
本編の主人公。本作では原典と異なり、仙人の夫婦の間に生まれ、両親が赤鬼大魔王に殺される直前に巨大な桃の中に入れられて下界へと逃されたというものにアレンジされている。
正義感が強く、自分を育ててくれたおじいさんとおばあさんを大切に想う心優しい性格。人並み外れた怪力と肺活量を持ち、剣術も得意。赤鬼大魔王と戦うため、マーヤの術によって赤ん坊から一気に10代半ば程度に成長させられた。
マーヤ(小仙女)
演:劉致妤・リュウー・ジーユウ(シャドウ・リュウ)
吹替:高田由美
桃太郎を守る妖精。数々の術を使って桃太郎たちをサポートする。おじいさんとおばあさんに桃太郎を託す。桃太郎が迷ったときは姿を現して、仲間たちと協力しないとだめだと諭した。桃太郎を一気に成長させたり、すいか太郎とりんご姫を愛の力で結び付けたり、様々な能力を披露したチート要員。
キジ丸(雞童)
演:楊如球
吹替:折笠愛
赤い服の少年。イヌ丸とサル丸と一緒に桃太郎の元に参じて仲間になる。落ち着いた性格をしていて、仲間内では参謀的役割を務める。
背中からミサイル状の光弾を発射する能力を持つ。
イヌ丸(猴童)
演:チャールズ・チェン(陳子強)
吹替:坂本千夏
黄色い服に茶色がかった髪の少年。やんちゃな性格。
棍棒を武器に戦う。
サル丸(猴童)
演:徐育達
吹替:滝沢ロコ
銀髪に黒い服の少年。身のこなしが軽く、鉄の棒を武器に戦う。
すいか太郎(西瓜太郎)
演:胖三(パン・サン)
吹替:内海賢二
ワントン軍の若君。腕力が強く雑魚鬼程度なら蹴散らせる実力を持つが、性格はお調子者で間抜けな面もあるコメディ要員。
しかしながら、仲間想いで情に厚い一面や鬼相手にも屈しない男気も持ち合わせている。
赤鬼大魔王征伐のため軍を率いるも、ボラボラ率いる鬼の一団に奇襲を受けて壊滅させられ、自らも処刑される寸前に桃太郎に助けられる。桃太郎に命を救われたことに感謝して、桃太郎の仲間になる。りんご姫救出時に怪力の鬼にやられかけるが、マーヤの術(キューピットの矢)でりんご姫と相思相愛になり愛の力でパワーアップして敵を一蹴し、りんご姫を難なく助け出した。
桃の神様
桃太郎を守る大きな桃。自在に空を飛ぶことができる。また、桃太郎たちと合体することで桃の魔人に変身する。
おじいさん(阿公)
演:キン・トー(金塗)
吹替:宮内幸平
おばあさんと共に子供を授かる事を毎日神様の像に祈願している老人。マーヤから桃太郎を託された。桃太郎を可愛がっているため、鬼退治に行くことを反対するが、結局認めて、自分の小刀を渡して送り出した。
おばあさん(阿婆)
演:ユー・メイファン
吹替:森ひろ子
おじいさんの妻。おじいさんとは毎日喧嘩をするものの、夫婦仲は良好。川に洗濯に出たところで桃太郎の入った桃を見つけて、なんとしても持ち帰ろうとするなど、老齢ながら元気な女性。おじいさんと同じく桃太郎を可愛がり育てた。
モモノシン(男仙侶)
演:張復健
吹替:不明
桃太郎の実父で桃の国の主。太陽の剣を奪いに来た赤鬼大魔王と戦うも敗れてしまう。
モモコ(女仙侶)
演:尹寶蓮
吹替:不明
桃太郎の実母。マーヤに桃太郎を託す。
りんご姫(蘋果公主)
演:陳思萍
吹替:松井菜桜子
すいか太郎の国の姫。赤鬼大魔王らの襲撃を受け誘拐され、悪魔島に幽閉されている。美人だが高飛車な性格。姫を助けた者は結婚を許すとりんご姫の父が御触れを出し、助けに来たすいか太郎からそれを聞かされたときは、デブは嫌いなりんご姫は内心すごく嫌がる。そのため、すいか太郎の背後に敵が迫っているのを黙って見殺しにしようとしたが、すいか太郎が攻撃を受けて倒れたときは心配するなど、良識は持ち合わせている。すいか太郎がピンチに陥ったとき、マーヤの術(キューピットの矢)ですいか太郎と相思相愛になり、それ以降はすいか太郎のことを『ダーリン』と呼んで『ダーリンみたいに強くて太い人大好き』といちゃつきカップルぶりを披露した。
赤鬼大魔王(鬼王)
演:ウォン・チュウユウ(黄仲裕)
吹替:笹岡繁蔵
鬼たちの総大将。桃の国から太陽の剣を奪い、桃太郎の両親を殺害した。さらに太陽の剣の力で鬼たちを復活させて、人間に対して攻撃を始め、国を混乱に陥れた。鬼たちの頂点に君臨するその強さは本物で、一度は桃太郎も命を奪われかけた。
ボラボラ(鬼婆婆)
演:林光榮(リン・グァンロン)
吹替:滝沢久美子
数々の術を使う鬼の魔女。封印されすっかり意気消沈していたが、復活してからは常にハイテンションになっている。息子たちのケサラン・パサランを溺愛していて、さらってきたりんご姫を息子たちの嫁にしようとする。
すいか太郎が好みのタイプらしく、奇襲で彼を捕らえた際は「自分のものになるなら命は助けてやる」と誘惑するが、これを拒否したすいか太郎から唾を吐かれる。
最終決戦ではイヌ丸達の連携に押されて逃亡を図るがキジ丸の放った光弾に撃墜されて爆死した。
ケサラン
ボラボラの息子。鬼としては未熟で、人間を脅かそうとするも逆に飯を施されてしまい、情けないとボラボラは嘆いていた。
パサラン
ボラボラの息子。ケサランと同じく未熟な鬼で頼りない。
水の鬼(水鬼王)
演:朱克榮
鬼。青白い皮膚にサメのような背びれと河童のような皿を頭に持つ。
風の鬼(風鬼)
演:小高山
ボラボラの手下の鬼。青装束に風神のような強風を操る大きな袋を持っている。
最終決戦ではサル丸から借りた鉄の棒を筒代わりにした桃太郎の超人的な肺活量によって頭部に大量の空気を吹き込まれて爆散するという壮絶な最期を迎えた。
怪力の鬼(大力鬼)
演:黃根梶
ボラボラの手下の鬼。その名の通り怪力自慢で、投石器から放たれた石を金棒で打ち返してしまうなど、その腕力はすいか太郎以上。最初はすいか太郎を圧倒したが、愛の力でパワーアップしたすいか太郎にあっさり倒された。
北海道士(北海道人)
演:陳松勇
吹替:城山知馨夫
祈祷師の一団を率いる道士。妖怪退治は得意と豪語しており、鬼と交戦した際は雑魚鬼を蹴散らし、燃える剣を振るう実力を見せた。
しかし、風の鬼には全く通用せずに圧倒され、戦意喪失。死んだふりをして戦いから逃亡した。
新・桃太郎2
シリーズ2作目で前作で登場した主要キャラクターが引き続き登場するが、マーヤやすいか太郎は登場しない。
前作のエンディングで桃太郎が「おじいちゃんとおばあちゃんに老後を桃の国で過ごしてもらう」と話していたが、今も桃太郎とおばあさんは山奥の家で暮らしていて、おじいさんは亡くなり故人になっている。
コメディタッチだった前作とは違って、今作では大勢の子供たちが捕まって殺され(殺される直接描写はないが)、その血が池に注ぎ込まれる残酷描写があったり、おばあさんが敵に殺されるなど、前作とは打って変わって重たいシリアスなストーリーになっていて、前作の明るいストーリーを期待して見た大勢の視聴者にショックを与えた。
登場人物
桃太郎
演:林小樓(リン・シャオロウ)
吹替:羽村京子
主人公。今作では悪霊たちに襲撃されておばあさんを殺され、自らも重傷を負うなど数多くの苦難を受ける。大魔王の力に圧倒されるが、人参王の力を得てパワーアップして大魔王を倒し、キジ丸たちを助けた。戦いが終わった後、仲間たちと桃源郷に旅立った。
おばあさん
演:ユー・メイファン
吹替:森ひろ子
おじいさんの妻。桃太郎と暮らしている。だが桃太郎は人助けのために家を不在がちにするために寂しく思っている。おじいさんはすでに死んでいて、『朝起きたってあたしの喧嘩相手がいなくてつまらない』とおじいさんの位牌に語りかけていた。元気で勝気な性格は健在で、攻め込んできた悪霊たちをこん棒で殴ったり、食器を投げたりして応戦していたが、背後から槍で刺されてしまう。瀕死の状態でも桃太郎のことを気遣い心配しながら亡くなった。
ショウサ
吹替:大滝進矢
旅の青年。頼りない性格でコメディ要員。桃太郎を師匠と呼び、家来にしてくれと押しかける。好きな相手にはとことん尽くす性格で、桃太郎やおばあさんの世話を焼き、その人柄を見込んでか、おばあさんからは桃太郎のことを頼むとまで言われていた。おばあさんが殺された後は、桃太郎に従って悪霊退治の旅に同行する。
終盤の戦いの最中、偶然血の湯に入ったためにパワーアップして悪霊化して、大魔王を『父ちゃん』と呼んで追っかけまわすなど、大魔王を困惑させた(それが結果的に桃太郎がパワーアップする時間稼ぎになった)。最終的に大魔王によって、取り込んだ血の湯の力を体内から出されたことで元の人間に戻った。
桃の神様
桃太郎を守る大きな桃。桃太郎が悪霊に襲撃されたときに現れて、悪霊を追い払って危機を救った。
キジ丸(雞童)
演:楊如球
吹替:折笠愛
おばあさんの死後に桃太郎の元に参じる。桃太郎と一緒におばあさんを葬った後、桃太郎と共に悪霊退治の旅に旅立つ。前作と同じく桃太郎を支えて、敵と果敢に戦いを繰り広げる。戦いの最中、血の湯に落とされて大魔王に食われるが、人参王の力を得た桃太郎に大魔王が倒されたことで助かった。
イヌ丸(猴童)
演:チャールズ・チェン(陳子強)
吹替:坂本千夏
おばあさんの死後に桃太郎の元に参じる。桃太郎と一緒におばあさんを葬った後、桃太郎と共に悪霊退治の旅に旅立つ。戦いの最中に大魔王に食われるが、人参王の力を得た桃太郎に大魔王が倒されたことで助かった。
サル丸(猴童)
演:徐育達
吹替:滝沢ロコ
おばあさんの死後に桃太郎の元に参じる。桃太郎と一緒におばあさんを葬った後、桃太郎と共に悪霊退治の旅に旅立つ。戦いの最中、大魔王に食われるが、人参王の力を得た桃太郎に大魔王が倒されたことで助かった。
人参王
少年の姿をした精霊。千年生きてきた不老長寿の薬であり、食べた者をパワーアップさせることができる。ちなみに両親は人間に捕まって薬にされてしまったとのこと。人参王自身も常に人間や悪霊等大勢の者から狙われている。自分を助けてくれた桃太郎を慕い、自ら桃太郎の口から体内に入って食われることで彼をパワーアップさせた。桃太郎に食べられた後も意識は残っていて、桃太郎の体内から声だけで会話に参加していた。
菩薩像
悪霊に追いつめられた人参王を助けて、悪霊たちを退けた。
ヤブ医者
吹替:二又一成
大魔王の配下の悪霊。黒ずくめの男性。冷酷な性格。桃太郎の家を襲撃して、彼に瀕死の重傷を負わせた。最終戦では、ショウサに偶然ぶつかられた勢いで血の池に落ち、そのまま大魔王に薬として食われた。
大魔王
演:ツァン・サン
吹替:大木民夫
悪霊の一族の王。白髪の老人の姿をしている。配下の悪霊たちに桃太郎殺害を命じる。若返りの血の湯のために、街を襲撃して大勢の子供たちを捕らえて殺させる。年老いた状態でも絶大な力を誇り、血の湯の力で若返ってさらにパワーアップするが、人参王の力を得た桃太郎に圧倒されて倒されて消滅した。
新・桃太郎3聖魔大戦
シリーズ3作目。2作目まで出ていた手下たち(キジ丸、イヌ丸、サル丸)は出てこない。また吹替の声優も変わっている。
登場人物
桃太郎
吹替:林原めぐみ
前作の戦いの後、地上で人助けをしていた。武蔵たちと知り合ったことで、仙界と魔界の争いに巻き込まれる。
シュラシ
吹替:不明
仙界の戦士。武蔵の兄。伏魔槍(ふくまそう)の使い手。魔界との戦いで傷を負い、姿を隠して古井戸の中で修行していた。武蔵曰く「変わっているが悪い人ではない」。豪胆でただ働きをしないなど抜け目のない性格。
武蔵
吹替:松本保典
仙界の戦士。だが仙界の掟を破り、魔界の姫・妖鬼姫と結婚して、金色童子をもうけた。そのことで妖鬼魔王から恨まれている。妖鬼姫が病気の金色童子を助けるために人をさらったことで桃太郎と知り合うが、魔界に居場所を知られて妻ともども捕まり、血の池に入れられて殺されてしまう。
妖鬼姫(ようきひ)
吹替:水谷優子
魔界の姫。武蔵の妻で金色童子の母。武蔵とは相思相愛。自分のせいで病気になった金色童子のために生きた人間の気を借りて治そうと女性たちをさらったことで桃太郎と知り合うきっかけを作った。だが、住まいを魔界と仙界に知られてしまい、夫ともども魔界に拉致されてしまう。
金色童子
吹替:折笠愛
武蔵と妖鬼姫の一人息子。タイトルで表示される副題の『鳳凰王子』とは彼のことを示す。魔界に捕まった両親を助けるために、桃太郎と旅立つ。魔界人や仙人たちをうまく言いくるめたり、騙したりして、出し抜こうとするなど、利口な少年。子供だがかなりの酒豪。いったんは仙界に連れていかれるが、仙界の宮殿でいたずらして暴れまくったために、「仙界の平和のために帰ってこないでくれ」と帰された。
大魔王
吹替:藤本譲
魔界の王で妖鬼魔王と妖鬼姫の父親。戦いで受けた傷が元でふせっている。攻め込んできた桃太郎たちに息子の妖鬼魔王が追いつめられたとき、人型の姿を現して、激しい戦いを繰り広げる。
妖鬼魔王
吹替:鈴置洋孝
魔界の王で妖鬼姫の兄。ふせっている父に代わって魔界の軍勢を指揮している。妹を溺愛していて、それゆえに武蔵のことを激しく怒っている。
豪牙
吹替:山口健
魔界人。
赤毛暗鬼
吹替:梅津秀行
魔界人。
闇老婆
吹替:竹口安芸子
魔界人。
妖蛇
吹替:緒方賢一
魔界人。
きのこ仙人
吹替:西村知道
仙人。金色童子を仙界に連れ戻そうとする。
木の仙人
吹替:中村大樹
仙人。金色童子を仙界に連れ戻そうとする。
青の仙人
吹替:子安武人
福徳正神
吹替:松岡文雄
街の館の主人
吹替:石森達幸
酒場の主人
吹替:古田信幸
余談
- 来来!キョンシーズにおける主要なスタッフやキャストが多数参加している。吹替でも同じ声優が起用されている。
- 3作目では吹替声優が変わり、桃太郎を林原めぐみが演じるなど、当時の人気声優が多数出演している。