概要
江戸時代の奇談集『絵本百物語』に記載される、霊が宿る樹木であるとされる柳にまつわる女性の怪異譚。
とても強い風が吹いている日に、子を抱いた女が柳の木の下を通ったところ、風に煽られた柳の枝が運の悪いことに女の首に巻き付いてしまった。
すると両手が塞がっていたため女は死んでしまい、その一念が柳に宿ったのか夜になると幽霊として現れ「口おしや、恨めしの柳や」と泣くようになったのだという。
なお優しい印象の樹形である柳は、勇猛な印象の松に対する女性の象徴であるとされている。
さらに、古くは宋の国の士捷(ししょう)という者がこの木に喰われたという故事が、女に化けるという伝承の由来であるといわれており、挿絵の子供を抱く姿から産女や子育て幽霊なども連想されている。
ちなみに、同奇談集巻第五には、柳に関わる女の怪異として柳婆という話も記載される。
登場する創作
京極夏彦による江戸時代末期を舞台にした、様々な問題を妖怪譚に準えて解決する小悪党達を描いた時代小説。