概要
喜多喜久氏が現在執筆している化学ミステリーの一つ。
ひょんな事から得てしまった「特殊嗅覚体質」に悩まされる青年と、分析フェチなデジタル系准教授のバディミステリーシリーズで、中公文庫から現在5巻が刊行中。カバーイラストはミキワカコ。
タイトルの「死香」とはその特殊嗅覚に「死臭」を準えた造語。
あらすじ
『遺体で汚染された部屋』を清掃する特殊清掃のアルバイトをしている桜庭潤平は、『死臭が食べ物の匂いとして感知してしまう』という特異嗅覚に悩まされていた。というのもこの体質には、一度香りに慣れてしまうと『実在の食物の同じ匂いが悪臭に感じる』という副作用があり、特定の食材が全く食べられなくなってしまうからだ。
そんなある日、清掃現場で遭遇した理系大学分析科学研究の准教授・風間由人に体質を見抜かれ、副作用を何とかしてもらう代わりに、彼の助手として殺人現場のフィールドワークに付き合うことになり・・・・・?
既刊一覧
死香探偵 尊き死たちは気高く香る
死香探偵2 連なる死たちは狂おしく香る
死香探偵3 哀しき死たちは儚く香る
死香探偵4 生死の狭間で愛は香る
死香探偵5 真心は捧げられた死と香る
主な登場人物
桜庭潤平(さくらば じゅんぺい)
本作の主人公。就活に失敗してフリーターとなり、アルバイトに精を出す25歳。
特殊清掃会社「まごころクリーニングサービス」でアルバイトをしている内に『死臭が食べ物の匂いに置き換わってしまう』特殊嗅覚を有してしまう。
童顔と食事事情による華奢な体格の為によく女性に間違われる。
風間由人(かざま よしひと)
本作のもう一人の主人公。東京科学大学薬学部・分析科学研究室准教授と同時に、大手分析機器メーカー企業「風間計器」の御曹司。正確な年齢は不明だが外見は30代前半くらい。
自身の研究テーマの為のフィールドワーク中に潤平の特異体質に興味を持ち、体質改善と研究発展の利害一致により彼を助手に抜擢する。
フレームレス眼鏡がよく似合う超絶イケメン。
曽根(そね)
警視庁刑事部で捜査一課・第一強行犯捜査・分析研究係に所属する刑事。
正確な年齢は不明だが外見は40代後半くらい。
顔つきが犬のパグそっくり。
羽賀樹(はが いつき)
潤平のアルバイト先「まごころクリーニングサービス」で働いている先輩。
派手に染めた髪に垂れ目がちの三白眼で耳にピアスをしたヤンキーの如き派手な外見だが、気配り上手な仲間思いな人で、潤平の(体質以外の)内事情にも理解を示している。
月森征司(つきもり せいじ)
精神科医。潤平と全く同じ特殊嗅覚体質をもっており、彼は死臭を花の香りに感じ取る。
ある出来事から『自らの手で「死香」を作る』ことに取りつかれており、その為になら何人犠牲になっても厭わないと考える異常者。