浜屋の店主夫婦
はまやのおーなーふうふ
Sのドヤ街で最も古い簡易宿泊施設「浜屋」の店主夫妻で、特に店主のほうは長老の古くからの友人でもある。悪徳社長・徳政がリゾート開発のために「浜屋」の土地を欲しがり立退き依頼に首を縦に振らなかったことで徳政の反感を買ってしまい、土地の利権を譲らないことに切れた徳政が放った実行犯の放火により、宿泊客を逃がそうと翻弄するものの火事で夫妻ともに命を落としてしまう。
外道に殺された被害者の中では珍しい、伊集院にとっても深い関係のある人物である。
店主のほうは特に経営の利益も気にせず、年老いた日雇い労働者などを安く泊めてくれたり、火事が起きた際には宿泊客を逃がそうと自分の命を振り返らず翻弄したりと後述の伊集院にも食事をおごってくれたりなど夫妻揃って大変寛容な性格であることは窺い知れる。
また、徳政の立退き依頼を拒否し続けたのも、あくまで浜屋がなくなれば行き場を失うホームレスや日雇い労働者が出てしまうことを懸念していたから(徳政が自分の利益しか考えおらず、そのために浜屋の土地の利権を欲しがっていたことも見抜いていたと思われる。)であって、店の利益よりも帰る場所がない日雇い労働者やホームレスなど自分たちの店を慕ってくれる人々の行き場を作ってやることを優先していた。
伊集院も含め、ほかの宿泊客も「(日雇いや年金暮らしでアパートも借りられない自分たちを)安く泊めてくれる浜屋のオーナーには頭が上がらない」と言っていたほどであったので、夫妻揃って人ができた人物だったのだろう。
伊集院が20代の頃外道に家族を皆殺しにされ人生に絶望してた所、長老に浜屋を紹介され「何かあれば助けてくれる」という言葉を信じて入ったのがきっかけである。
シャワーを浴びるのに必ず払うのでツケでもいいか尋ねると、「破産するまでにお金を入れてくれればよい」と冗談を言いつつも受け入れてくれた。そしてカップラーメンだけで食事を済まそうとする伊集院を見かねて「若いんだからそんな食事ではダメだ」と食事を奢ったりしてくれたこともあった。
そのこともあって伊集院にとって、店主夫妻は人の温かさを再び教えてくれた恩人の一人に数えられている。
長老の依頼で徳政を葬った後、伊集院は放火により消滅された「浜屋」を私財を投じて再生することを決意(本人曰く「思い出の場所を失いたくない私の我儘」)。「浜屋」を愛していたドヤ街の住人達も長老曰く「再建に張り切っている」とのこと。
事故による火災と断言されてしまっているが実は裏があった放火事件だったことや、火災にあった場所が簡易宿泊所、利用客が生活保護を受けている高齢者やホームレスだったことから事件の元ネタは『川崎市簡易宿泊所火災』と思われる。
浜屋の元ネタは、おそらくこの事件の火災で無くなってしまった「吉田屋」がモデルだろうか…。