概要
『薬屋のひとりごと』の登場人物。
礼部に出仕する高級官僚。
皇弟・華瑞月が執り行う祭事に使用する祭具の管理を任された人物。
後宮の管理を任された壬氏とは、彼が「小さいころから世話になった」というほどの古い知り合いであり、隠された彼の素性を知っていると思われる。
浩然はまた酒豪で辛いもの好きとしても知られていたが、妻子が流行り病で亡くなり仕事一辺倒になってから好みが一変、酒豪は変わらなかったものの甘いものをより好むようになってしまった。
その好みの激変により、浩然は甘い酒に大量の塩を入れられてもわからないほどの病となり、それが原因となって宴席で倒れ、そのまま亡くなってしまった。
浩然の死因に腑に落ちないものを感じた壬氏は猫猫に謎解きを依頼、猫猫は
- 妻子が亡くなったことによる悲しみがストレスとなって塩の味がわからないほどの病になった
- 真面目過ぎる職場の同僚を煙たいと思う同僚がイタズラで塩を入れ続けたが、浩然が平然と酒を飲み続けたため、限度を超えた浩然が倒れて亡くなってしまった
これらが偶然重なったことによる不幸な事故と推理した。
浩然の死は、「事件でなくイタズラによる事故」として処理されたが、後に個別に起こったいくつかの事柄が、浩然の死と関わりがあるようにも、ないようにも見えはじめた事で、それらが偶然ではなく誰かの故意による必然ではないかとの疑いが浮上、事情が変わっていく。
- 浩然の後を継いだ礼部の、内ともいえない好きにより海藻食中毒で意識不明になったこと
- 後宮の食糧倉庫で粉塵爆発が起きたこと、直前に道に迷った長身の女官を食糧倉庫の役人が出口まで案内し、礼として高級煙管をもらったこと
- 粉塵爆発のどさくさに紛れて身分が高い皇族が執り行う祭事の祭具が盗まれたこと
- 盗まれた祭具の代わりに、新たな祭具を作るよう熟練の鋳造職人に依頼され、その鋳造職人が体調を崩し亡くなったこと
それらに何らかの繋がりがあるかを壬氏の命により調べていた猫猫は、
- 味覚に狂いが生じた病にかかった浩然に、致死量の塩分を多く取らせ殺害した疑いがあること
- 珍味好きの官僚を嫌う弟に、見ず知らずの人物が海藻にも季節と調理を間違えれば健康を損なう毒があるものがあることを教え、その海藻の入手方法を教えたこと
- 食糧倉庫の役人に高級煙管を与えた女官が薬の匂いをさせて顔を隠していたこと
- 粉塵爆発は高級煙管で一服していた食糧倉庫の役人が起こし、その隙に祭具が盗まれたこと
- 盗まれた祭具を手本に、鋳造職人はわずかな熱で加工することができる水銀を加えた合金で新たな祭具を作ること依頼され、注文通りに作ったこと
- 水銀は加工に適した液体金属であるが、水俣病で知られるような強い毒性があり、硬度に難がある祭具を作った鋳造職人は、水銀の毒性を知った依頼人に口封じに殺害された疑いがあること
これらの事実を突き止めた猫猫は、祭事場に鋳造職人が作った祭具を用いて極端に弱く作られていることを知り、祭事を執り行う有力な皇族の命が狙われていることを知る。
そして「皇弟・華瑞月暗殺未遂事件」が起き、間一髪で瑞月の命を救った猫猫は事件後、
祭事場にいた壬氏(瑞月)に長身の女官・翠苓が事件の首謀者のひとりであることを伝えるが、疑いがかけられていることを悟った翠苓は毒を仰いで自決、事件は彼女の単独犯行かと思われた。
が、その翠苓の自決に腑に落ちないものを感じた猫猫は、壬氏と高順、翠苓の遺体を検分した医官の立ちあいのもと、あらためて遺体の検分を行い、
「遺体が翠苓と別人であること」「仮死状態になる薬を飲み、翠苓が逃亡した」ことを確信する。