曖昧さ回避
- 中国語で「ネコ」を意味する口語。当然、猫(māo)だけでもネコを指すが、猫猫(māomāo)の方が口語的で、親しみを込めた呼び方である。
- 薬屋のひとりごとの登場人物であり主人公。本項ではこちらを解説する。
概要
CV:悠木碧(アニメ、ドラマCD他)
人買いに攫われて後宮で下女として働くことになった少女。数え年17歳。語り部。
高順や水蓮からは「小猫(シャオマオ)」と呼ばれている。これは、おおむねニュアンスとしては「猫(マオ)ちゃん」(小[シャオ]は日本語で言うところの「〜ちゃん」に相当し、玉葉妃が鈴麗姫のことを小鈴[シャオリン]と呼んでいるのと同様)くらいの意味で実のところはかなり馴れ馴れしい言い方。年上(目上)で好々な人格者の二人だからこそ嫌みや馴れ馴れしさのない(あえて言えば近所の爺ちゃん婆ちゃんが地域の子を親しみを持って呼ぶような)呼び方になるのである。
『名探偵コナン』コミックス第99巻「青山剛昌の名探偵図鑑」にて彼女の事が紹介された。
容姿
貧相でやせっぽちな体躯。セクシーとは程遠く、幼い頃からの苦労から肌にはシミが多く、顔にはそばかすも浮かんでいる、美貌という点ではどうにも難がある娘。
そのため基本、異性からは歯牙にもかけられない。しかし本人はそんな事には頓着せず、自身の大好きな家業に邁進していた。なので恋愛事はうざったく考えている。基本朴念仁。
人物像
基本的にドライな性格で、いつも気だるげな無表情。自分の興味のある事しかしたがらずに、「面倒臭い」とよく口ずさんでいる。
下記育ちのためか口もかなり悪く(教育はしっかりしてるので取り繕うことぐらいは可能)、幼い頃から「やりて婆」に散々叱られていたため、その口調が移ったのかもしれない。
元々は花街の薬屋。花街有数の妓楼・緑青館に属する妓女の娘として生まれ、故あって緑青館のトップ妓女である白鈴・梅梅・女華の「三姫」によって花街に生きる女性としての心得や所作に関して教えられていたが、これまた故あって、もと宮中医官(兼元宦官)である漢羅門に義娘として引き取られ薬の知識を仕込まれ育てられた。
そうして養父・羅門と共に薬屋として花街で生きていた経験から薬や毒、病気などに対する豊富な知識を持ち、花街育ちではあるが字の読み書きができる。ただし後宮内では当初、自分を拐かして宮廷にブチ込んだヤツらの利になるのが嫌で、文字の読み書きができる事は隠していた。
一方で羅門からは薬学はともかく、なぜか医学だけは頑なに教えてもらえなかった。
降りかかる厄介事は極力避けようとする性質であり、自身の範疇を超える面倒事には関わりたくないとばかりに、自身の身分を利用して逃避するほど消極的。その才能を披露し、宮廷や後宮の高官に天下る政治的野心などは欠片も持っていない。
後宮に入ってからは、前述の通り自身を売り飛ばした人売りの懐が潤う事を嫌って無能を演じていた。しかし、その知識で玉葉妃の娘・鈴麗公主の命を救った事を切っ掛けに、彼女の侍女となり頭角を現すようになった(本人はそんな事など欠片も望んでいないにもかかわらず)。
一方、連れ去られて来た受動的立場ながら一時帰宅が許されている厚遇や、身の安全が確保されてさえいる治安面の状態から、後宮からの脱走などは考えていない。
ドライな性質だが正義感を持っていないわけではない為、面倒事と思いつつ知識を生かして度々事件の解決に乗り出す。自身に対する陰口などは気にも留めない一方で、独善的な理由で自身の仕える妃の容態が悪化する要因を作った侍女に対しては人目もはばからず激昂し、折檻も辞さないといった一面も見せた。この他にも理不尽なことや他人が傷つけられたりすると黙っていられず、何らかの行動を起こしていることが多い。
一見すると相反する言動だが、理不尽に拐かされ、貴人の胸先三寸で命の保障もない下女として仕えながらどこか達観めいた人生観を持つことからも、彼女自身の複雑な出自や身分や育成環境等に拠る影響も大きいように推測される。
養父から幼きより「憶測で物事を語ってはいけない」「事実であっても、あえて秘しておかねばならない物事もある」「自らの言った事は必ず自らに返ってくる。責任の取れない言動はしてはいけない」と常々、強く言い置かれており上述した傍目相反する性格を併せ持っている事は、この影響も大きい。
そのため、らしくない正義感を振りかざして謎解きをしてしまった時などには、その結果(特に何らかの犠牲が出た時)に「余計なことをするんじゃなかった」「傍観者に徹して無責任を貫けばよかった」と自己嫌悪を起こす事もよくある。
見方によっては、猫猫自身が「自分はクールでドライな人間」と言い聞かせているようでもあり、本当は家族や友人を大切に想う気持ちを隠しているようにも見える(ある種のツンデレ)。例外的に、養父については表向きにも内心でも尊敬し大切に思っている。
壬氏の事は悪く思っていないが、彼の粘着質な絡み方を苦手としているが故に、ぞんざいに扱う事が多い(もっとも彼にとってはそれすらご褒美になっているフシがあり、最近はアプローチのために自らの身まで惜しまなくなっているようだが)。
一方でとある人物に関しては、とある理由から蛇蝎の如く嫌っているようで、話題に出ただけでゾッとするような顔になる。しかし、物語が進むにつれてある程度は態度を軟化させた模様。
また、名前がそのまんま猫なためかデフォルメなどでは猫耳や尻尾が生え、それらが感情に応じて動くような描写が為される事がある(特にYG(ねこクラゲ)版と、アニメ版)。
薬学への興味
「そこは『向上心が強い』と言ってください」
義父が医者で、その父に着いて薬屋をやっていた事から、当然、薬については医薬から毒まで幅広い見地を持っている。が、家業に長くついていないと「薬の調合をしたい」とか「どっかに毒でもないか(毒を呑みたい)」とか言動がちょっと……いや、かなり怪しくなる。
宮廷にいた時も、廷内に自生していた薬草を勝手に採取しては調合をしていた旨が見られ、壬氏から作業場と調合道具を提供され薬の保管庫を見せられた時には「普通の女官が壬氏様に話しかけられた時の反応」を軽く超えるレベルのワクテカフィーバー状態を見せた。
その本質は一言で言うと「マッドサイエンティスト」。壬氏からは「お前、莫迦だろ!?」とツッ込まれるレベル。
野草・調合薬の薬効や毒蛇・毒虫・毒草・毒薬の毒効を、自分の体を使った人体実験で試すほどに好奇心と研究心が旺盛で、左腕にはその傷跡を隠す為の包帯が巻かれている(なおこれが原因で羅門は猫猫を知らないものから「娘に虐待する父親」という偏見を受けている)。
ちなみに幼い頃(それこそ羅門の娘になる前)よりオーバードーズをガン決めしては、やり手婆に鉄拳制裁込みの肉体言語で吐かされる事も繰り返しており彼女の手を焼かせていた模様で、これ自体も猫猫が羅門に預けられた原因のひとつと思われる(これに関しては作者も「良い子も悪い子も猫猫の真似はぜったいにしてはいけません」と釘を刺している)。
その事もあって毒物に人一倍高い耐性を持ち、後宮ではもっぱら毒見役を務める事が多い。緑青館の三姫はこの悪癖を知っており当然ながら良い顔をしない。
あと「恋愛に興味は無い(むしろ面倒臭い)が、出産はしてみたい」と、のたまう事があるが、その理由は胎盤を食べてみたい(そして薬効を確かめたい)からというミもフタもないもの。
迷信、怪異の類は基本的に信じないが、「そのような事例が実際に発生している(目撃されている)からには、何かしらの原因や意図が存在している」という認識から、自身の知識や経験を踏まえて分析し、解決に向けたアプローチをとることが多い。
一方で、それが時に強力な効果を発揮する(主に大衆に向けて)ことも理解しており、必要な場面では仰々しいパフォーマンス(茶番)を行うことも。
また、ある事情で蠆盆(蝮や蠍や蜘蛛など毒のある生物で敷き詰められた閉所に閉じ込められる罰)にかけられた時には、黄色い(歓喜の)悲鳴を上げ、嬉々として蝮や蠍や蜘蛛を捌いて喰ってた(一応、見張りが来た時に巻き添えにしないため、毒のある生物を優先して真っ先にシメている)。ちなみに毒生物を捌く時には壬氏様から貰った高価な簪が大活躍している。この時に始めて壬氏様が簪をくれていた事に感謝したとか。
ちなみに、宮廷に入って、この猫猫の腕の傷痕が周囲に知られた際、『人身売買で売られて宮女に』『肥立ちの悪い痩身』『腕に一度や二度ではない度重なる傷痕』という点から、『親元でも虐待されて育ったのではないか』と周囲に誤解され、『万が一本当に毒が入っていたら死も覚悟せねばならない』危険な毒見役を拝命した事も手伝い、仕事仲間の宮女たちにも(誤解交じりの)同情から、あれこれ仕事の手助けやおやつのお裾分けなどの厚意を受けたりもしている。
本人が上記した貧弱な体型は、後宮や緑青館の面々の母性や姉属性を刺激されるのか非常に可愛がられている。よく点心を大量にもらっており、同僚に分け与える事も。
……なお、猫猫にとっての『毒見役』は己の毒への耐性や危険性熟知もあって、怯えるどころか毒物から得られる刺激を楽しむレベルにまで達観している。むしろ皇帝や玉葉妃の目の前で『味見の数口程度とはいえ、やんごとなき方々に供される豪華宮廷料理を堂々と食べられる』と、役得にすら感じている有様である。
ただし蕎麦アレルギーなので蕎麦はガチでダメ。摂取してしまうと蕁麻疹を発症し、最悪の場合は喉と気管の炎症を引き起こしたあげく呼吸困難(ひいては機能不全による窒息死)を起こす。
食の好みとしては甘味よりも塩味を好むほか、相当な酒好きかつ酒豪。
その強さは、飲み比べ勝負で成人男性数名を潰した後に、口直しと称して消毒用に精製したアルコールを酒に足して飲み干してもけろりとしているほど。
壬氏から飲酒の年齢制限についての陳情を受けていることを仄めかされた際には、懇願に近いレベルで拒否するように頼み込んでいた。
そして何より、有毒な食品には露骨に目を輝かせる。
園遊会において毒の盛られたスープを口にした際には、それを見ていた者たちに「どれほどの美味なのか」と誤解させるほどの恍惚とした表情を見せた。
河豚の美味と毒性についても当然把握しており、「ピリピリした痺れが良い」と評する。
当然、壬氏ら関係者たちからは許可も黙認も出来るはずがなく、そういった危険物を猫猫が食べたがっては拒否・処理されるというのが一種のお約束と化している。
ちなみに、薬学・医学に関わらない知識(文化、卦など)はサッパリで、いやいや試験勉強をさせられたせいか官女の採用試験には落ちている。
(周囲曰く「何故落ちた?」本人曰く「何故受かると思った?」)
その後の別の試験では(強制的に)ガッツリ試験勉強した(させられた)こともあり、しっかり首席で合格している。
総じて、「地頭は良いが、必要に迫られない限りは自分の興味のない事柄には脳のリソースが回らない」タイプのようである。
pixivでは
先述した通り「猫猫」という単語は中国語の一般用語であるため、「猫猫」だけで検索すると、中華圏のユーザーが猫に関するイラストにこのタグを使用しており、薬屋のひとりごとのキャラクターが探しにくいことがある。
投稿者も猫猫(薬屋のひとりごと)を付けることで棲み分けタグとして機能する。
薬屋のキャラクターのみを検索したい場合は「猫猫」に「薬屋のひとりごと」等のタグを足して、検索結果を絞ることをお勧めする。X(旧Twitter)でも同様。
関連イラスト
関連タグ
漢羅門:養父
白鈴(薬屋のひとりごと) 梅梅(薬屋のひとりごと) 女華:女性としての育ての親
壬猫:カップリング
環古達…中の人が同じ猫属性繋がり。ただしこちらは巨乳であり、別の意味でおもしれー女でもある。
※ 以下、ネタバレにつき注意 |
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容姿の秘密(ネタバレ)
冒頭に記した「容姿に難がある」特徴は実は全てフェイクメイクである。
花街で生きている都合上、トラブル(色恋沙汰の火種ややっかみ、人さらいの被害、あるいはやりて婆や他店スカウトにムリヤリ妓女にされること)を避ける為に、あえてそばかすやシミを化粧で付ける事で醜女を演じている。
本人曰く『「豊満」とか「絶世の美女」とかとは縁遠い貧相なやせっぽち』との評価だが、本来はそこそこ整った顔立ちをしている(アニメOPで踊っているのが素顔の猫猫)。
本当の容姿は彼女のメイクを取った姿を見た(そして妃たちのような美女を見慣れているはずの)後宮の侍女・女官たちが(メイク時のギャップもあったろうが)一瞬、息を呑んでしまい、壬氏や李白から「化粧すると変わると言われるだろ」と言われるほど。
もっとも上級妃たちや三姫のようなザ・スタイル容姿チートと並べばさすがに見劣りするし、そんな人たちに仕える人々もそれなりに選ばれた見目だったりするので、そんな中にいる時には埋没しやすい、とされる(逆に言えば一般的には猫猫の容姿が劣るのではなく、彼女の周囲のレベルが高すぎるのであり逆にそんな中でも「悪目立ちせずに埋没できる」ほどの容姿の持ち主なのだ、とも言える)。
花街でもトップクラスの妓楼「緑青館」に属した妓女の娘という血筋は伊達ではないのだ。
ちなみにアニメOP「花になって」におけるアレについて作者は「牛黄(牛の胆石、レア薬種)を積まれた」と説明している。
出自と血筋(以下、超ネタバレ)
茘国の国軍における最高実務統括者漢羅漢と、緑青館においてかつて最大至高の名花とすら呼ばれた伝説の碁打ち妓女鳳仙の間に産まれた、たったひとりの愛娘。
その経緯に関しては両親両名の項目を参照。上述の三姫は母親の事実上の禿であった。
ただし猫猫が出生した、その複雑な背景と両親のやらかし(そのせいで緑青館は潰れかけ、猫猫も命の危機に晒される局面が幾度かあった)から、両親に対しては(通常においては露骨な嫌悪として出る)複雑な感情を抱いている。
また、実父の血筋から茘における「漢の『羅』の一族」と呼ばれる名家の一族のひとりであり現当主の娘かつ直系の子。最も年若い『羅』の一族。おっさんの変人ぶりと(的の外れまくった)溺愛ぶりから、事情を知る一部の者からは羅の姫君とすら呼ばれる(もちろん本人は嫌がっているが)。
要は猫猫は、血筋「だけ」で言えば王族との婚姻や入内も許されるほどの名家のお嬢様。そして養父の漢羅門は、実は大叔父(実の祖父の弟)にあたる。
猫猫の出自となる「羅の一族」は、言うなれば「研究者肌」の多い一族であり、見えている世界が違う天才型と興味を抱いた分野を追求する秀才型に分かれる。特に秀才型は自らの好きな事に対して「常識や良識すら薙ぎ倒して狂気的なまでに邁進したがる」という非常に危うい特性を持っている。作者いわく猫猫は羅の一族の中では秀才タイプとの事で0を1にする能力はないが1を10や100にする事には長けている、とされている。
彼女が妓楼の生まれながらも、生まれながらの禿にされず大叔父・羅門の庇護下に置かれたのも、その「一族としての特性」が、特に猫猫が幼くして秀才型の性質を示していた事が大きく関係している。(羅の一族の「特性」を理解できる者でないと羅の一族の子は育成ができず、下手をすると凶悪な犯罪者に育ててしまう可能性があり、とてもリスキー)
前述の羅門から医術の手ほどきを受けさせてもらえなかったのも、主にはこの特性が原因で、万が一にも猫猫の興味が医術ひいては人体に向かってしまった際には、猫猫はそれを知るために墓暴きや殺人すらも辞さない(当然ながらどちらも重犯罪)と危惧されてしまったため。ゆえに猫猫は羅門に「死体だけは絶対に触れるな」と厳命されていた。
ちなみに緑青館のやりて婆は猫猫を幼い頃から見ているため、彼女の姑息なフェイクメイクなど見破っており、事ある毎に猫猫を妓女にしたがっており頻繁に誘いをかけていたりする。(それでも無理強いだけはしていないのは、そんな事をすれば猫猫の「事実上の育ての母」である三姫を敵に回してクーデターを誘発させられかねないため)
名前である「猫猫」は、植物である「ねこあし」(カタバミの別名)から名付けられたもの。実は母である鳳仙(鳳仙花)と対となる名前である(カタバミと鳳仙花は科も属も異なるが「種を飛ばす」という同じ特徴を持つ)。
また、同時に「たとえ綺麗な花(鳳仙花)となって名声や栄華を得ても、それゆえに人に囲われ何も自由にならない、愛する人の元へ行く事すら望むべくもない。この子には、そんな生き方などしてほしくない。そんな生き方をするくらいなら、醜くてもいい路傍の雑草(ねこあし=カタバミ)として自らの望むべく思うままに生きてほしい」(端的に解りやすく言うなら、わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい)とする、実母・鳳仙が妓女として生きてしまったがゆえの悔恨と懺悔、そして母親として娘に託した切なる願いが込められた名前でもある。
ちなみ原作者によると、羅漢と鳳仙が上手くいき猫猫がガチの「羅の姫」になると、薬物ではなく権力に興味が沸き他人を将棋の駒か碁石程度にしか考えないサイコパスになり後宮をハチャメチャにして笑いながら処刑される稀代の悪女となったらしい(確かに娘にダダ甘で権力簒奪者な名家の父親と、妓女から成り上がった美麗な奥様の間に生まれた才気煥発の娘、というなら悪役令嬢として環境上の素質においては十分であるとも言える)。あるいは処刑をも免れる権力を手にしたならば、それこそ茘の国の新たな女帝にすらなってしまっていたかもしれない。
羅漢たちにとっては気の毒な事だが、猫猫が羅門に育てられたのは本人はもちろんのこと茘の国にとってみても本当に良かったと言えるかもしれない(読者としては「悪女もの」として好きな人には魅力的にも見えるのでそれはそれでと思う人もいるだろうが)。
一族の続柄と関係
- 漢羅漢:実父。養父の立場を顧みずに「おとうさんアピール」するガチウザなため大嫌い。幼い頃には掛け値無しで父を名乗る不審者であったため、その恐怖体験もトラウマになっている。ただしプレゼントとしてあげてくる簪などは使ってる素材が豪華なので潰して売るために受け取っている。もっともこれに関しては羅半から「これ以上家の借金を増やすな」(≒羅漢父さんの浪費を止めさせろ)と言われている……が猫猫にとってみれば羅の家の家計状況なんざ知ったこっちゃないのでハナから聞く気も無い。猫猫の思いに反して羅漢の暴走ぶりから宮廷の人間たちからは猫猫は羅漢の娘であると認識されており、トラブル回避の役に立つ事もあれば、逆に羅漢を取り入れたい輩に利用される事もある。
- 鳳仙:実母。猫猫の苦境の原因の片割れであり、幼くは児童虐待にも等しい事をされていたため、こちらにも複雑な感情を抱いている。
- 漢羅門:養父。血縁上は大叔父。天才型。自分を拾い上げてくれて薬屋として育ててくれた人。猫猫が「ただひとりの父親」として心から慕っている人。
- 漢羅半:一歳差の義兄。実父の養子で血縁上は従兄。天才型。国の経理を司る部署に務めている。羅の一族に恥じぬ「数字馬鹿」で、事ある毎に計算をする。世界を数字の集合と認識し、数字(帳簿)を「美しい、醜い」で表現する独特の感性の持ち主(彼の言う「醜い(美しくない)数字」というのは、要は宜しからざる悪性要素のことであり、これがあるというのは高確率で不正や捏造、劣化、犯罪等が存在しているという事である)。猫猫にとっては厄介事を持ってくる性格破綻者であるため、やはり良い印象は抱いていない。一方、羅半は彼女を「妹」と認識している。そのため猫猫には、よく「お兄様と呼びなさい」と言ってくるが当然の事ながら言われるはずもない。猫猫にとっては正真正銘、兄を名乗る不審者だったりする。ちなみに妹と壬氏の関係性に関しては「あの方は素晴らしい数字を持っており妹もそれなりなのだから、二人の間に生まれる数字は絶対に美しい」とのたまっており、一時期には猫猫に「お前は出産して胎盤を食べる事ができればいいのだろう? 産まれた子はこのお兄様が立派に育ててあげるから、種だけでも貰いなさい」などと促す始末(もちろん説得力は皆無)だった。それゆえか、周囲の人間の中で最もぞんさいな口調を使われている。よくつま先を踏まれている。
- 羅半父(漢羅紅):叔父。羅漢の弟(異母弟)。秀才型。羅の一族でありながら(というかそれゆえに)農業に才覚を伸ばした男。本来は嫡子認定されていたが兄に追い落とされた……が、その事に感謝しており、猫猫にも一定の理解を示している。羅門の甥らしく彼に通じる穏やかな人格の持ち主。甘藷の存在を知り、これを茘の国の全土に広めようとしている、いわば「茘の青木昆陽」とでもいうべき人。まあ、兄の御家乗っ取りでプレッシャーから逃れられたとヒャッハーして舞い上がり嬉々として鍬を奮ったり、蝗害による食糧危機の予兆が確認されているのにソレを息子に投げた上で無断で甘藷の北限を調べ始めたりするイカれた農家なので羅半兄曰く「十分ヤバい人」とのこと。
- 羅半兄(漢俊杰):羅半の兄で猫猫の従兄。秀才型。猫猫からは名前を覚えてもらえない影の薄い人で「羅半兄」が通称となってしまった(のちに同姓同名のキャラまで登場したため、さらにややこしい事に)。俗物な母のせいで父の農業狂いには反発しているものの、根は素直で父の手伝いもぶつくさ言いながら完璧にやって見せる、ひたむきで真面目な漢。羅の一族には珍しく、狂気が無いプロ農民。父のせいで甘藷の伝道師となり、壬氏と猫猫のせいで蝗害と戦う事となり、そして多くの農民を救い続けた、いわば「茘の二宮尊徳」となった人。彼の執筆した農業日記は後の世では正体不明の農学者が執筆した一級品の農書として後の農学者たちが大枚を叩いてでも欲しがる伝説の書となった(その成果が金物的な意味でも名誉的な意味でも本人に還元されない、というのもなんとも彼らしい)。実は祖父(後述)の体力的な資質を受け継いでいる体力チートであり、羅半もこの点をもって「いつまで経っても、どれだけの負荷がかかっても数値が劣化しない(=疲労しない)人」「地味なだけで兄さんも十分におかしい」との評価を出している。西都で行動を共にした事もあってか、猫猫からは比較的評価されている。
- 羅半祖父:羅門の兄、羅漢兄弟の父、羅半兄弟の祖父。つまりは猫猫の祖父でもある。が、羅の一族では珍しい武人・武官に走った体育会系。秀才型であり特に剣椀には名を馳せたものの、自己顕示欲が強く価値観的には俗物の部類。ゆえに羅半いわく「醜い数字ばかり産み出してしまう人」。ゆえに羅漢の本質を理解できず「できそこない」と決めつけ、弟(羅半父)の方を嫡子としていた。一族の没落の契機のひとつとなった弟・羅門の事も見下している。羅の一族の復興を願い野心を燃やしまくったが、いかんせん脳筋がアダとなってコロコロコロと踊らされヤバい不正にも手を出してしまった挙句、羅半(下の孫)に裏切られ、できそこないと侮っていた羅漢(上の息子)に追い落とされ、結果、それを深く恨んでいる。羅漢の事は自らを越えられてしまった(自身は「ちょいと優れた一武官」で終わったが羅漢は軍師で大尉)今でもその才能や才覚を認める事ができず現実否定と現実逃避に邁進しており、ゆえに猫猫の事も一族とは認めていない(猫猫も羅門を悪く言う彼を嫌っている)。アニメ1期23話に羅漢の回想に顔がわからない碁石で登場、二又一成氏が演じている。
- 羅半母:羅半祖父が羅半父の嫁にと迎えた名家のお嬢様。羅半祖父の同類ゆえに、彼女も根っからの俗物。とはいえ物の目利きは非常に優れてはいて、彼女が選んだ調度類等は購入時から殆ど値を落とさずに売却出来た程。農業にハマる夫の事は心底軽蔑しており、なんとか夫に中央政界に戻ってもらいたいと考えている。この事から義父もろとも、とある占い師にハマり、羅の一族をヤバい立場に追い込みかけた。羅半父と羅半と猫猫の機転で大禍なく事無きを得たが、その事に関して逆恨みを生じさせている。
なお、このように「一点突破型の変人ども」に囲まれた環境(羅の一族・緑青館の婆および三姫・壬氏はじめ後宮のやんごとなき方々)に身を置いている事から、猫猫自身は「自分はごくごく普通属性の常識人であり一般人(平民)」とか本気で思い込んでいる(時には「自分は平民だ」と自称までしている)。
上述しているマッドサイエンティストな部分も「ちょっと研究熱心なだけだ」としており、その異常性に関しては無自覚この上ない。義父からの忠告も、大好きなおやじからの教えだから守っているが、その実は「オーバーな」とも思っており、自身は分別がついている"つもり"でいる。
結局のところ読者や、周囲のうちバランスが取れた本気の一般人視点を持てている人々から見た場合は、彼女も立派な逸般人(もちろん強火な変人の部類)といえる。
本作は基本的には猫猫の視点より語られるが、時と場合(物語の展開)によっては彼女自身が自覚無く信頼できない語り手になってしまう可能性は十分にあるのだ。
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