概要
カタバミ(片喰、傍食、酢漿草)は、カタバミ目カタバミ科カタバミ属の多年草。
古くから日本全国に分布する野草。乾燥した場所を好む。芝生や人家の庭など、人の手が加わった所によく生える。
花期は5月~7月。
花言葉は、喜び、心の輝き。
葉はハート型で、クローバー状に茎から3枚付ける。この葉がカタバミの大きな特徴となっている。
よくクローバー(マメ科シャジクソウ属。たいていシロツメクサ)に間違われるが、クローバーとは異なる植物である。
クローバーのように4つ葉や5つ葉などのものもあるが、出会う可能性はクローバーより低い。
夜になると葉を中央で折るように閉じるという就眠運動をする。
就眠運動の様子が、葉が半分なくなるように見える→片方喰(は)む→片喰み→片喰、という感じでカタバミの名前になった、というのが名前の由来の有力な説である。
花は鮮やかな黄色。同じ大きさの花びらを円状に5枚付ける。
果実は円柱状で、上に向かって伸びたような形をしている。熟すと弾け、小さい種を半径1メートルほどまき散らす。
茎(くき)は地面を這い、短期間で広い面積に繁殖する。茎の接地部分から、さらに根を出すこともある。
根は深く、茎が地面を這う性質も相まって駆除が困難。
茎や葉にシュウ酸を多く含む。そのため、噛むとすっぱい。
カタバミ属の学名は”Oxalis(オキザリス)”だが、「すっぱい」を意味するギリシャ語に由来しているらしい。
さらに、シュウ酸の学名は”oxalic acid”といい、カタバミ属に由来している。
また、カタバミの漢字名のひとつ”酢漿草”は、「さくしょうそう」とも読む。こちらも、「すっぱい」を意味する名前である。
その他、カタバミは日本では子孫繁栄や金運上昇、西洋では不運の回避や魔除けなどと結び付けられる植物らしい。
カタバミの利用
カタバミが多く含むシュウ酸は銅のサビを取る効果もあるので、十円硬貨をカタバミの葉で磨くとピカピカになる。古くは銅の鏡を磨く事に使われていたらしい。
薬草としても利用できる植物で、絞り汁を虫刺されのかゆみ止めに使うらしい。
食べる事もできるが、道路の脇などの不衛生な場所に生えている事が多いうえ、シュウ酸はあんまり体によくないのでモリモリ食べたりしないように。
江戸時代には、マニキュアの原料としても使用された。
雑草としてのカタバミ
カタバミは繁殖力が極めて高く、街中の至る所に自生するため、雑草という不名誉なくくりで呼ばれる事が多い野草である。
ポピュラーな雑草のひとつで、道端や家の庭で普通に見ることができる。
また、雑草の中でも駆除が大変な植物である。
ひとたび庭に生えると瞬く間に茎を伸ばして生え広がり、広い範囲に種を飛ばしてどんどん増殖していく。
根も地中深くに伸ばすため、土壌によっては、抜こうと思っても成人男性がめいっぱい力を込めてすら抜くことが難しい程である。
さらにカタバミの飛ばす種は、人家の庭から庭に飛んでいったり、靴の裏にくっついて歩いた場所に着地したり、風に乗って飛んだりして広く行き渡ってしまう。
そのため、どれだけ駆除をしても、カタバミが生きられる環境があれば高確率で生えてくるという、めんどくさい植物である。
駆除に当たっては、除草剤で他の植物もろともジェノサイドするか、生えてきたものを片っ端から抜きまくるしかない。抜いた物をそのままにしておくと種が飛ぶので、焼却するか別の場所に移すかする必要がある。
カタバミの仲間で雑草と呼ばれる物に、タチカタバミ、アカカタバミ、ムラサキカタバミなどがあるが、いずれも繁殖力が強く、根を深く張り、駆除がとても大変である。
どれも庭の手入れ時の主要な敵とも言える雑草たちである。今日もどこかで庭をきれいにしたい人と死闘を繰り広げているに違いない。
カタバミのデザイン
花のきれいさはもちろんの事、葉がハートの型をしているので、かわいいとしてカタバミやその仲間を好む人は多い。
ケルトの伝承などから、3つ葉の植物は縁起が良い(シャムロック)と言われており、3つ葉のカタバミが企業や団体のシンボルに採用される事がある。
アイルランドの航空会社エアリンガスは、航空機の尾翼にカタバミの葉をデザインしている。
身体障害者標識は、4つ葉のカタバミと思われる植物がデザインされている。
「四葉マーク(よつばマーク)」という通称の他、4つ葉という事で「クローバーマーク」と呼ばれる事もある。ただし、前述の通りクローバーとは異なる植物である。
繁殖力が高く、根付いてしまうと駆除が困難なことから、根強く繁殖して絶えない→子孫繁栄→縁起(・∀・)イイ! という事で室町時代ぐらいから武家の家紋のデザインに採用されるようになった。(片喰紋)
酒井忠次や長宗我部元親など、様々な武将がカタバミをモチーフにした家紋を使用していた。
そんな感じで成立した家紋「片喰紋」は、現代では最もポピュラーな家紋のひとつになっている。ハート型をあしらったデザインや三つ葉のバランスの良さから、家紋の中でも人気が高いとか。
ただ、縁起が良いとはいえ家の庭でカタバミに天下を取られては困るので、きちんと駆除すべし。
カタバミの仲間
カタバミ属は、世界では熱帯を中心に分布しており、850種ほどが知られている。全体的に、やや乾燥した場所を好む模様。
前述の通り、カタバミ属の学名は”Oxalis(オキザリス)”。日本では、球根性のカタバミの、特に園芸品種のものが「オキザリス」の名前で呼ばれることが多い。
なお、園芸種であってもカタバミゆずりの強力な繁殖力を持っていたりするので、庭に植える際は注意した方がいいらしい。
タチカタバミ
立片喰。
外見はカタバミとほとんど同じだが、茎が地面を這わずに上に伸びるのが特徴。
雑草として扱われることがほとんどの野草。
オッタチカタバミ
御立片喰。
北アメリカ原産の帰化植物。
タチカタバミに似るが、在来種のタチカタバミに対してこちらは帰化植物で、タチカタバミの方がカタバミに近い種類らしい。
雑草として扱われることがほとんどの野草。
アカカタバミ
赤片喰。
カタバミの変種らしく、形がよく似ている。カタバミとの外見上の相違点として、全体にカタバミより一回り小さい事、葉や茎が赤褐色をしている事、花の中央に赤色の輪状の模様が見られる事などが挙げられる。
雑草として扱われることがほとんどの野草。生息域もカタバミとよく似ているため、カタバミと並んで自生していることもある。
また、劣悪な環境に対する耐性がかなり強く、コンクリートの隙間や自動車の排気をまともに受けるような場所にも自生できる。
駐車場からエアコンの室外機の下まであらゆる所に生えてくるし色もキツくて見栄え悪いし駆除しにくい。人によってはカタバミ以上にめんどくさい植物。
ウスアカカタバミ
薄赤片喰。
カタバミとアカカタバミの合いの子のような感じの外見。全体的な形はアカカタバミに似る。葉は赤紫がかった濃緑。
雑草として扱われることがほとんどの野草で、劣悪な環境にも耐え、庭に生えてくるとめんどくさい。
ムラサキカタバミ
紫片喰。
南アメリカ原産の帰化植物。元は園芸植物だが、都市部などに広く自生している。雑草として扱われることが多い野草。
花はカタバミより一回りか二回り大きく、色はやや濃いピンク色で、花の中央に向かうに従って薄い色になり、中央から紫の細いラインが放射状に広がる。
色鮮やかな花をたくさん咲かせるため、見た目が華やかで、野草ながら鑑賞にも十分耐えうる花である。
葉がカタバミのそれよりかなり大きいので、初めて見る人は驚くかもしれない。庭に突然でかいカタバミの葉っぱが生えてきたら多分ムラサキカタバミ。
イモカタバミ
芋片喰。
南アメリカ原産の帰化植物。元は園芸植物だが、田畑などに広く大量に自生している。雑草として扱われることがほとんどの野草。
外見はムラサキカタバミに似る。花は濃いピンク色で中央に向かって濃い紫になる。
ハナカタバミ
花片喰。オキザリス・ボーウィー。
南アフリカ原産の園芸植物だが、持ち前の繁殖力によって各地で野生化している。雑草として扱われることがある植物。
花は基本的にピンク。花片喰の名の通り、きれいなカタバミの花を咲かせる品種で、園芸種のカタバミの代表格。
関連タグ
フレッシュプリキュア/ももいろクローバー/バイバイ、また明日:マークであるハート型の四つ葉のクローバーは生物学上はカタバミの変種に当たる、他にもスマートフォンのなど絵文字や会社のロゴイラストなど様々な場所でクローバーと混同されて描かれているものが多い