豊葦原の異民族『狗奴の一族』で、中つ国の四道将軍の一人だったが、神(龍神)への贄(捧げもの)として産まれてすぐ河に流された那岐を助けたことで冷遇され立場が弱くなり、職を転々としながら那岐を育てた。
那岐の生まれ持った強すぎる霊力を自身で制御出来るように鬼道を教え、他にも生きていくために必要なあらゆる知識を那岐に教え身につけさせた師匠であり、育ての親。赤ん坊だった那岐が唯一持たされていた死反玉(まかるかえしのたま)で那岐の出自に気づいていた。
最期は勝ち目のない戦線に駆り出され命を落とした。そのことは那岐の心を酷く傷つけ、自分に関わると大切な人を不幸にしてしまう(碌なことにならない)と、大切な人が出来ることも、他者が自分を大切な存在だとおもってくれることも拒絶するようになってしまった。
だが狗古智自身は職を失っても、命を落とす結果になっても、贄(神への捧げもの)であった那岐を助けたことを一切後悔しておらず、那岐を育て一緒に過ごした日々は本当に幸せだったと黄泉路での再会時に語っている。
主人公が物語の中盤髪を切るエピソードがキャラクターごとに複数あるが、その中で唯一、不可抗力や仲間を亡くした悲しみや悔しさからくる決意の断髪ではなく、主人公の髪の色が太陽のようだと褒めてくれた、陽が差さず暗い黄泉路を彷徨い続けるしかない狗古智へ、太陽の代わりになるようにというあたたかな優しさ思いやりから、切った髪を贈った。
那岐は、主人公と師匠は、いちいち自分を探しに来るお節介なところが二人はとてもよく似ていると語っている。