菊花の約
2
きつかのちぎり
雨月物語に収録されている作品
丈部左門は清貧を好む儒学者である。ある日、友人の家に行くと行きずりの武士が病で床に伏せていた。この武士は赤穴宗右衛門という軍学者で、近江国から出雲国での主、塩冶掃部介が尼子経久に討たれたことを耳にし、急ぎ帰る途中であった。しばらくして宗右衛門は病から快復し、左門と義兄弟の契を結んだ。
宗右衛門が出雲へ帰ることになった時、左門と菊の節句(9月9日)に再会することを約束した。しかし宗右衛門は経久の手下になったいとこの赤穴丹治にいわれなき罪で投獄され、牢の中で約束の日を迎えてしまう。
「人は一日で千里をゆくことは出来ぬが、魂ならば千里を一日でゆくことが出来る」
という言い伝えを信じた宗右衛門は自ら命を絶ち、幽霊となって左門のもとに現れて約束を果たしたのであった。
左門は宗右衛門埋葬のために出雲を訪れ、丹治に会う。左門は信義のない丹治を斬り殺して行方をくらますが、尼子経久は宗右衛門と左門の信義を褒め称え、左門の行方を追わせなかった。
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