非実在青少年規制
ひじつざいせいしょうねんきせい
『非実在青少年規制』は、平成22年2月24日、東京都議会平成22年第一回都議会定例会において提出された「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」条例案において、”年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの”を『非実在青少年』と定義し、”『非実在青少年』を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写する”表現に対し、あらゆる面で規制をする条文が含まれていた事を指す。
同タグは一般的にこの条例改定案に対し、反対の意思を表明する、批判する、情報の共有を呼びかける等の投稿につけられる。
なお条例案全文に関しては、以下のリンクを参照のこと。
(リンク総合法律事務所 山口貴士弁護士ブログ内の記事)
「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」条例案において、『非実在青少年』は以下のように定義されている。
- 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの
この条文は、『第三章 不健全な図書類等の販売等の規制-第七条(図書類等の販売等及び興行の自主規制)』に加えられる。
平たく言うと、「判断される側の意図にかかわらず、判断する側が18歳未満だと言えばそれは非実在青少年である」という事である。
同条例案では、非実在青少年に対する描写のうち、以下のようなものを規制対象としている。
- 『非実在青少年』を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
(『第三章 不健全な図書類等の販売等の規制-第七条(図書類等の販売等及び興行の自主規制)』-二)
これらの描写物に対し、以下のような規制を設けている。
- 出版社・書店・映画館等は、該当する図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
(『第三章 不健全な図書類等の販売等の規制-第七条(図書類等の販売等及び興行の自主規制)』要約)
- これらの描写物のうち強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものと都によって判断されたものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
(『第八条(不健全な図書類等の指定)』要約)
※ これらの図書類は、第九条によって表示の義務付け或いは販売等が制限される
同条例案では、以下のようなものを青少年性的視覚描写物と定義し規制対象としている。
- 上記第七条-二のうち青少年が性的対象として扱われているもの
(性行為等に限定されているわけではなく、性的対象という広範なものを対象としている)
- 児童ポルノ及び青少年のうち十三歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として描写した図書類
(『第十八条の六の五(青少年を性的対象として扱う図書類等に係る保護者等の責務)』)
同条例案では、上記の青少年性的視覚描写物のまん延抑止の為、都民等に以下のような責務を課している。
- 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
(※ 何人も、すなわち都民以外にも適用されるものと思われる)
- 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
- 都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。
(『第十八条の六の四(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)』)