概要
お風呂を「キャンセル」する、つまり入浴しない(あるいはできない)人たちの事を指すネットスラング。2024年4月30日にあるXユーザーのポストで話題になった。
入らないのは「面倒だから」「お風呂が嫌になった」ためであり、例えば「服を脱ぎ着するのがおっくう」「髪や体を洗う気力がない」「体を拭いたりドライヤーをしたりするのが疲れる」などが入浴が嫌になる理由として挙げられている。
基本的に元々毎日入ることを習慣としていたが、お風呂に入れない日がある、特に数日に一回しかお風呂に入らない、入れない状態が長期的に続いているような人を指して「風呂キャンセル界隈」とする(あるいは当事者が自称する)場合が多い。
なお、住んでいる地域や育った環境などから、そもそも普段から数日に一回のペースで入るのが当たり前(※実際、日本でも内風呂が一般化する昭和中期までは、毎日入浴する人は少数派であった)というようなケースや、たまたま一日入れなかったというケースというよりは、あくまで本人の気分や体調を理由に、普段のように習慣を実行できない状態の人を指す。
詳しい起源は不明だが、少なくともTwitter(現X)上では2010年以前から「入浴をあきらめる」という意味で「風呂キャンセル」が使われており、ネット上ではある程度浸透している用語である。
また、「〜界隈」まで付く形は、うつ病など精神疾患や、ADHDなどの発達障害を抱えている、あるいはその傾向が強い人の間で多く使われる表現でもあり(実際に「うつ病風呂キャンセル界隈」と明確に示す派生語も生まれている)、それ以外でも(長期的でない)心身の不調から「キャンセル」する人が少なくないことから、「風呂キャンセル界隈」の人とは身体が疲れているのはもちろん、精神的に疲れている、心に余裕がないために入浴が難しくなっている、入浴や出たあとの身支度で体力だけでなく気力まで消耗することを考えて入れない状態であるといえる。
実際に、抑うつになるとあらゆる意欲が低下し、着替えや歯磨き、食事など生活において必要な習慣をするのが難しくなってしまう。入浴は特に体力を使うため、「体力を回復させるために休む体力がない」という人も少なからずいると考えられる。
入浴は疲労回復だけでなく、睡眠を深めストレス解消効果もある。また皮膚の清潔を保ち、感染症を防ぎ、皮膚のバリア機能を維持するために重要である。反対に入浴しないと洗いすぎによる肌荒れを防げるが、不潔になったり、においや病気の原因になったりしてしまう。
パークサイド日比谷クリニック・立川秀樹院長は、一日程度であればキャンセルしても問題はないが、数日間続くようであれば、単なる「怠け」ではなくうつなどのサインである可能性があるため、もし「風呂キャンセル」をしている人がいたら、無理強いをせず話を聞いてほしいと見解を述べている。参考