食灵
しょくれい
夜の帳が降りると、巷に行き交う人影はまばらになる。
屋台に食器を片付け、星空を見上げて、のれんを下ろした。
椅子を片付けようとした時、突然誰かに手をつかまれた。
「大将、そばを一杯、酒もよろしく頼む」
「はいよ!」
きちんとした身なりをしているから、彼は裕福な生活を送っている商人なんだろう。酒が進むと、いろんな話を聞かせてくれた。
若い頃に妻を亡くし、息子が晩飯を作ってくれるそうだが、その料理はものすごく不味いのだという。
食事のおいしさは食材の価値に左右される、と彼の息子は考えているらしい。でも年を重ねて味覚が鈍くなった商人にとって、新鮮な海の幸や山の幸で作った料理でも、道端の屋台の料理でも、味に大差を感じないのだという。だったら俺の料理の方が安くて手ごろだろう。
「ところで、奥様は、どんな人だったんですか?」
商人は記憶を辿るかのように遠い夜空の向こうを見やった。商人は妻と知り合ってまもなく生涯の契を結んだ。子どもが生まれ幸せな生活が続くと思っていた矢先、彼女はこの世を去ってしまったそうだ。
彼女が作ってくれたそばの味は、商人にとって永遠に忘れられないものになったという。
商人の言葉は光となって出汁に溶け込んでいった。そばを商人に出すと、湯気と香りが彼を包んだ。まるで彼を儚い夢へと誘うかのように。
「実は、俺も味覚が少し鈍いんだ、この料理の味、教えてくれないか?」
(伝記一より)
CV:千葉翔也
中華人民共和国のソーシャルゲーム『陰陽師本格幻想RPG』の登場キャラクター「食霊」の中国語表記。
有名な料理人の一族に生まれた高橋羽は、天才の名に恥じない料理人だ。
しかし荷の重すぎる期待や責任を背負い続けたせいで、彼は料理人としての道を失った。
しかも古代魚を口に入れた代償として、味覚まで失ってしまった。
飯笥に助けられ、彼は料理人としての初心を思い出し、食の神の力と一つになり、食霊として生まれ変わった。
その後、彼らは屋台を出し町の隅々を駆け巡り、全ての客人に幸せな料理を届けている。
(陰陽師「式神図鑑」より)
身長 | 170㎝ |
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本名 | 高橋羽 |
武器 | 調理器具 |
夢 | 全ての人を幸せにする料理を作る |
趣味 | 花の栽培、服を編む、大掃除 |
特技 | 片手で卵を割る、目隠し状態で魚の骨を取り除く、音で焼き具合を判断することなど |
好きなもの | 誰も知らない古風な器具、古い瓶と缶 |
嫌いなもの | ちゃんと洗っていない料理器具 |
好きな人 | 褒めてくれる客、料理を残さず食べてくれる客、割引してくれる八百屋 |
嫌いな人 | 父親の友人 |
好きな食べ物 | すぐにお腹が満たされる食べ物 |
嫌いな食べ物 | ほとんどない |
弱点 | ネズミ、ゴキブリ |