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概要編集

魔天使マテリアルとは、藤崎あゆなによる日本の小説である。

ポプラ社カラフル文庫より出版。イラストは藤岡ようこ。

既刊30巻。また、30巻にて完結した。連載期間は2007年から2020年。

1~9巻がファーストシーズン、10~19巻がセカンドシーズン、20~30巻がサードシーズンとなっている。セカンドシーズンからは年度が替わり、登場人物たちの学年がひとつ上がる。セカンドシーズンが正月から夏休み直前までの話で、サードシーズンが夏休みから卒業までの話となっている。5巻からはサーヤの母・綾香の高校時代を舞台に本編の14~16年前を描いた前日譚『外伝』も収録されるようになった。


ストーリー編集

児童養護施設で育った少女・サーヤは、実は悪魔と戦う能力を持ったマテリアルであり、魔界の王女であった。サーヤは、生き別れの弟レイヤや仲間のマテリアルとの出会いから、悪魔との戦いに身を投じていく。


登場人物編集

マテリアル編集

日守紗綾

本作の主人公である小学5年生の少女。(セカンドシーズン(11巻)から小学6年生に進級。以下同様。)通称は「サーヤ」。料理や編み物、裁縫などが得意。破魔のマテリアル。

レイヤの双子の姉。魔王と母・綾香との間に生まれた魔界の王女。悪魔と人間との間に生まれた子として、元マテリアルからはレイヤと共に"日守の忌み子"と呼ばれている。


日守黎夜

サーヤの双子の弟。通称は「レイヤ」。光のマテリアル。頭がよく運動も出来るためクラスでは女子からの人気も高いが本人は姉しか見ていない。魔王と母・綾香との間に生まれた魔界の王子。魔界で生まれ育った。悪魔と人間との間に生まれた子として、元マテリアルからはサーヤと共に"日守の忌み子"と呼ばれている。悪魔・ディエリから身体を奪われ、8巻まで母の形見のペンダントに魂を宿らせていた。その後取り戻した身体には、身体を乗っ取っていた兄・ユウヤの記憶が残っており、度々その記憶に苦しめられることになる。


風見志穂

サーヤの隣のクラスで知的な少女。風のマテリアル。徹平とは幼稚園の頃からの幼馴染。非常に真面目かつ礼儀正しい性格で同級生のサーヤに対しても敬語口調で話す。


稲城徹平

小学6年生(セカンドシーズンから中学1年生)。土のマテリアル。食いしん坊でやんちゃだがやるときにはやる少年。


灰神翔灰神翼

中学2年生(セカンドシーズンから中学3年生)の双子。一卵性双生児なことだけあって顔が瓜二つで見分け方は前髪の分け目の位置と私服時の服装(白い方が翼で黒い方が翔)。人気の兄弟アイドルユニット「アクセル」として活躍している。共に火のマテリアルだが、二人で力を合わせると炎のマテリアルとなる。


鳴神京一郎

セカンドシーズンから登場する中学2年生。雷のマテリアル。雷使いの家系である鳴神家の分家に生まれたが、5代前からマテリアルが目覚めず現在は普通の家庭になっていたが突然変異で力に目覚めた。


水上波琉

サードシーズン(20巻)から登場する小学4年生。水のマテリアル。雫沢家と並ぶ水の家系の本家である水上家の長男。両親が日守姉弟を忌み子と嫌っていたためにマテリアルに入ることを許されていなかった。マテリアルとしては小技が使えないために大技を乱用して周囲に被害を出したり、水を微細にコントロールできなかったりと実力は低い。上級悪魔に狙われ先輩たちに助けられたことによりようやく自分に足りないことに気が付き多少丸くなった。謙虚になった反面成長し視野が広くなった分自分の力の無さを自覚し、何もできないことに悔やむ場面も増え、その後は最年少として適当だったり迂闊なところはたまにあるが、地頭がよく判断力がたけている面を見せるようになった。


夕夜

サーヤとレイヤの二つ年上の兄。父である魔王と敵対しており、魔王を倒すためサーヤの力を欲する。通称は「ユウヤ」。魔王に身体を滅ぼされ、魂だけの存在にされたためいつも誰かを乗っ取っている。彼もサーヤとレイヤと同じく悪魔と人間の混血だが、姉弟と違い悪魔の血が濃く出ており、人間には扱えないはずの闇のマテリアルを使用する。槍にして敵を貫いたり、相手の動きを封じたりすることができ、作中の描写からイメージはブラックホールの闇に近い。また、破魔の笛の音色でダメージを受ける。

作中の動きとしては、ペンダントのレイヤを眠らせ、レイヤの身体を乗っ取ることで『記憶を失ったレイヤ』を騙りサーヤたちの前に現れる。サーヤを気絶させ魔界に連れて行こうとするもののマテリアル達に見つかってしまい戦闘になる。気絶したサーヤとレイヤの身体を人質にして優位に立つことに成功するが、サーヤが目を覚まし、状況が理解出来ず混乱する彼女にまだ自分がレイヤの振りをして場をしのごうとするも「どっちにしろ笛吹けば偽物がわかるだろ(意訳)」と本物のレイヤにマジレスされて敗北。そしてサーヤに「また会いに来る」と告げ消滅したと思われたが…


元マテリアル編集

雫沢圭吾

元水のマテリアル。1巻時点で31歳。誕生日は3月4日。好きな色はグレー、緑。趣味はスイーツ発掘。理科の教師で、理科室を根城に活動する小学生マテリアル「怪奇探偵団」の保護者役も務める。現役時代はサーヤたちの母・綾香、伊吹と共に戦い、『神舞の水神』を名乗っていた。綾香の1つ年下だが、綾香より能力の覚醒が早く、高校1年になる頃には能力が消えていた。水のマテリアルの家系である雫沢家本家の長男。

『外伝』では高校生時代の彼が登場する。幼馴染でもある綾香を密かに想っていたが、能力を失ってから日守家の事情を知らされ、自分と結ばれることはないという事実を知ってしまう。綾香からサーヤを預かった際はまだ大学生であったため、手元におくことが出来ず、隣県の児童施設「ひまわり園」の前に置き去りにするほかなかった。しかし、毎年サーヤの様子を密かに見に来ていて、マテリアルとして覚醒すれば、すべてを話すつもりだった。


伊吹涼

元風のマテリアル。喫茶店『Windmill(ウィンドミル)』のマスター。2巻時点で25歳。誕生日は10月2日。好きな色はワインレッド。趣味は料理研究。2巻からサーヤたちの里親を務めることになる。無口で無愛想だが、無関心なようで実際は周囲を見ておりそれとなく気を配れる。右肩に「闇の刻印」があり、ごく稀に痛むことがある(サーヤたちには「古傷」とごまかしている)。サーヤとレイヤが闇に転じた場合、2人を殺すという使命があるが、もとから殺す気はない。

『外伝』にも登場。当時は小学生。小学3年の頃には力をある程度使えるようになっており、夏休みごろから戦列に加わる。7つ年上の綾香とはよく喧嘩していた。綾香と圭吾のぎくしゃくした仲に気が付いており、幼いゆえに何もできない自分を悔やんでいた。そうして結局何もできないままに綾香が死んだことを今でも後悔し続けており、サーヤたちの里親になったのはせめてもの罪滅ぼしのつもりだった。


稲城耕平

元土のマテリアル。7巻時点で33歳。誕生日は9月10日。好きな色は紺色。趣味はスポーツ(観るのもやるのも)。徹平の叔父で、性格は徹平と似ている。7巻からサーヤのクラスの臨時担任として登場する。セカンドシーズンからはサーヤのクラスの副担任になった。体大出身で卒業後はきままに世界中を旅し、紆余曲折の末に教職免許を取って小学校教師になった。スポーツなら一通りこなせる体育会系。準備運動にラジオ体操を愛用する。

『外伝』にも登場。綾香&圭吾とは幼なじみだった。物語開始時点ですでに力を失っている。


風峰千早

元風のマテリアル。20歳の大学生。イタリア旅行の資金稼ぎのために『Windmill』にバイトとして入る。伊吹に思いを寄せているが、能力を失ったことで伊吹との大きな接点を失った上、サーヤが店を手伝っていることが多いため、心の闇を広げてしまい、悪魔・イレーヌに身体を乗っ取られてしまう。その後無事に生還したものの、乗っ取られていた間の記憶は失われており、風峰家はこの事態を深刻に考え、「次の代が生まれるまでマテリアルに参加しない」と表明した。

その後10巻で偶然サーヤと会う。記憶は消えているが誓約で『Windmill』の出入りを禁じられたことでなんとなく何があったか察したらしく、人が変わったように優しく面倒見がよい性格になっていた。恐らくこちらが本来の千早なのだと思われる。


神槌トオル

元雷のマテリアル。大学4年生。バイクが趣味。法学部で検事志望のインテリで院に進むため勉強している。13巻にて京一郎の指導をするため合宿に参加。きちんと相手のことを見たうえでアドバイスを送ることができ、特訓では力の制御が上手くいかない京一郎に対し、何が原因か突き止めた上で自身の経験をもとに助言をしていた。後輩が千早や雪成といった癖のある面々だったため、現役時代は苦労した模様。

『外伝』にも一瞬登場。力はすでに目覚めていたがまだ幼く活動に加わっていなかった。


凍堂雪成

高校2年生(セカンドシーズンから3年生)。氷のマテリアル。誕生日は6月26日。好きな色は銀色。得意科目は化学、数学で、苦手科目は特になし。趣味はクラシック音楽の鑑賞。紳士的であり誰に対しても隔てなく優しいが、登場当初自分含めマテリアルのことは嫌っており、サーヤたちに対しては棘のある冷酷な顔を見せる。中学時代に親友である尚紀を戦いに巻き込んでしまったことを悔いてそれ以来彼を遠ざけ、マテリアルとしても基本的に単独行動をしており、当初は後輩マテリアルとも距離をとっていた。しかし、サーヤたちのおかげで尚紀と仲直りしたことによって、サーヤたち後輩のマテリアルに対しても優しくなる。サーヤたちと出会ったことで少しずつ「仲間を守るために力を使いたい」と考えるようになっていく。だが、力はすでに消えかけており、8巻でついに力を失ってしまう。力を失いたての自分は悪魔にとって格好の餌であり、自分に出来ることをするため、サーヤたちを守るため現役マテリアルと距離をとることを決め、「後輩達のサポートをしたい」と医者を志す。


凍堂小夜子

元氷のマテリアル。雪成の母親で、現在はカルチャーセンターや大学でフラワーアレンジメントを教えている。世代こそ違ったが綾香とは仲が良かったらしく、娘のサーヤにも「忌み子」と扱わず優しく接した。現役時代は力の弱いマテリアルで仲間と協力することが当然の戦い方だったため、親友を傷つけたことでひとりで戦うようになった息子を心配していた。その為、雪成がまた仲間をつくるきっかけになったサーヤに感謝している。

『外伝』にも登場。20代後半でまだまだ若く、雪成を産んだばかり。歳は離れているが綾香とは仲が良い。子孫を残すためのお見合い婚だったことがピックアップされている。恋人との仲で悩んでいた綾香にわずかだがヒントを与えることになった。


その他編集

三浦尚紀

雪成と同じく高校2年生(セカンドシーズンから3年生で雪成の親友。誕生日は4月9日。好きな色は青。得意科目は物理、数学で、苦手科目は国語。趣味はカラオケ、バイク雑誌を読むこと。マテリアルや悪魔のことをある程度知っている唯一の一般人。人の気持ちを汲み取ることがたけており、相手を的確に元気づけたり励ましたりするのが上手い。サーヤは人を明るく出来ることを尚紀の最大の魅力だと考えており「元気のマテリアルの持ち主」と評していた。10巻以降、「新しいバイクを買うため」として強引に『Windmill』でバイトする。雪成が現役マテリアル達と距離をとった分、現役組では収集の難しい、高校やその周辺の情報を持ってくることもある。14巻にて、生徒会長に立候補し、紆余曲折の末当選する。


佐川千晶

サーヤの親友。アクセルのファンであり、サーヤのコネでアクセルと話せたことで恩義を感じ仲良くなった。それ以来マテリアル以外の活動では大体行動を共にしている。明るく快活で周りを引っ張っていけるタイプで社交性が高く場の取りまとめが上手い。レイヤファンではない女子で、基本的にレイヤに対しては容赦がなく、姉弟と知ってからは彼のシスコンぶりを「姉ラブ菌」と評するなど言いたい放題だが、その容赦のなさからレイヤにとって一般人でまともに会話ができる数少ないクラスメイトになっている。


宇佐見岳

セカンドシーズンから登場。本格的な活躍はサードシーズンから。通称ガッくん。サーヤ達が6年生から同じクラスになった少年。イケメンで運動ができ、リーダーシップがあるとモテる小学生の3要素を網羅しておりクラスではレイヤと人気を二分している。サーヤとはクラスが同じで話す程度だったが自由研究で同じ班になったことで仲良くなっていった。美琴という妹がおり、一見煙たがっているが、うるさく言いつつ面倒を見てやり、彼女が悪魔に襲われたときは自分なりに真相を解明しようとするなど、大切にしている。また、サーヤに惚れており、元々気があったらしいが、同じクラスになって体育祭や自由研究で恋心を少しずつ膨らませていった。そして花火大会の夜についに告白した。サーヤは「自分がいるからみんなが悪魔に狙われるのでは?」と心が折れかけていた時期の為岳を危険な目に遭わせないため断るべきだと頭では分かっていたが、岳とは友達でいたい為に答えにしばらく悩むことになる。



外伝編集

日守綾香

元破魔のマテリアル。サーヤとレイヤの母親。サーヤたちの一世代前のマテリアルたちの戦いを描いた『外伝』の主人公。高校時代に悪魔の王子と惹かれあって駆け落ちし魔界へ向かい、一度人間界に帰ってきた時圭吾に赤ん坊だったサーヤを預けてまた失踪する。その状況から既に死んだと考えられているが…

『外伝』では高校生。外見こそサーヤと瓜二つだが、性格は対照的に勝ち気で明るくややガサツ。だが根は娘と同じく背負い込みやすいタチ。現役マテリアルが自分だけになった時にも泣き言ひとつ言わず気丈にふるまい続けた。料理が苦手で、伊吹には「食材に対する冒瀆」とまで言われるほど壊滅的。幼い頃はマテリアルの素質を持ちながらもなかなか力が覚醒しないことで苦悩していたが、小学5年の時に破魔のマテリアルとして覚醒。しかし、彼女や圭吾が現役の頃には光のマテリアルを輩出してきた家系は日守家以外絶えてしまっていた。なお、サーヤが持っている黒い石のペンダントはもともと彼女が持っていたもので、レイヤが魔界から持ってきた。


本郷優

『外伝』10巻から登場。紫星学院大学国際学部2回生の青年。有名な俳優である「本郷優」と同姓同名。綾香の悪魔退治中に、猫の悪魔に精気を吸われて貧血になっていたところを救われ、それが縁で会うようになった。どこか抜けている所があるが、本当は優しく芯の通った青年。感情の機敏を読み取るのに長け、優しく相手に寄り添うことを得意としている。背負い込みやすいタチである綾香の気持ちにも気が付き、そっと隣にいてやっていた。そんな姿に綾香は少しずつ恋心を募らせていき、逆に優も彼女に好意を抱いたらしく恋人と言える仲になった。綾香の恋人として仲の良い付き合いをしていたが…


既刊一覧編集

タイトル
1 目覚めの刻
2 華麗なる罠
3 忘れえぬ絆
4 青の間奏曲
5 風のキセキ
6 月下の戦慄
7 片翼の天使
8 揺れる明日
9 銀の夜想曲
10 黒闇の残響
11 真白き閃光
12 運命の螺旋
13 憂いの迷宮
14 翠の輪舞曲
15 哀しみの檻
16 孤独の騎士
17 罪深き姫君
18 昏き森の棺
19 藍の独唱曲
20 鈍色の波動
21 BLOOD
22 秘めた願い
23 紅の協奏曲
24 偽りの王子
25 刹那の境界
26 軋む地平線
27 禁断の系譜
28 夢幻の離宮
29 破魔の聖女
30 明日への扉

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