概要
壁井ユカコによるライトノベル作品。イラストの作画はテクノサマタが担当している。2006年11月から2009年2月にかけて、電撃文庫より出版された。本編5巻と外伝及び番外編を収録した1巻の、全6巻で完結している。
ストーリー
ホテル・ウィリアムズチャイルドバード、通称「鳥籠荘」には、普通の社会で生活できない一風変わった人々が住んでいる。着ぐるみサラリーマンとゴスロリ小学生、妄想癖の美女、不気味な双子の老人等々。そんな鳥籠荘の住人・衛藤キズナは16歳の冬に、同じく住人である引きこもり美大生の浅井有生の下で絵のヌードモデルのバイトをすることに。
これはちょっとおかしな住人たちの、ちょっとおかしな普通の日々の物語。
登場人物
- 衛藤キズナ(えとう きずな)
ホテル・ウィリアムズチャイルドバードの4階、445号室の住人。
高校は中退しており、現在無職の17歳。時々5階の浅井有生の下でヌードモデルのバイトをしている。強気な性格と思春期らしい繊細な部分を兼ね揃える。
地毛の赤みがかったロングヘアにパンクファッションといった性格に見合ったビジュアルだが、英語のペーパーバック本を取り寄せて読書を嗜む一面も。
- 浅井有生(あさい ゆうせい)
546号室の住人で、キズナの雇い主。美術大学を卒業後、大学の研究室に所属する22歳。
新進気鋭の若手画家として注目を集めており、作中では個展を開催している。
不愛想で基本的に破綻した生活を送っているため冷たい人間に見えるが、何だかんだでお人好しである。
3年前に喪った恋人・皆子のことを想い続けて心に影を落としながら、キズナや由起に助けられて日々を過ごしている。
- 井上由起(いのうえ ゆき)
412号室の住人で、長身と綺麗な顔立ちはモデルと見紛うほど。近くの大学に通う20歳。明るい性格で、従兄弟である浅井のことをよく気にかけている。キズナを浅井に引き合わせた張本人。
何でも小器用にこなす反面、いまいち深い人間関係を持つことができずにいる。
結構気に入っているキズナとは、一緒に出掛けたりする仲でもある。
- 山田華乃子(やまだ かのこ)
312号室の住人。小学3年生で、サラリーマンの父親と2人で暮らしている。いつもゴスロリ服に身を包み、上品に振る舞う。
学校ではお嬢様を装っているが、実際には家事全般を完璧にこなす家庭的な少女。
父親のことが大好きで、誰よりも何よりも大切に思っている。同じクラスの加地君のことがちょっと気になっている。
- 山田さん(やまださん)
312号室の住人で、華乃子の父親。外見は三毛猫の着ぐるみ。
優しく思いやりのある人物(?)で、普段はデパートの屋上にある遊園地で働いている。金魚を狙ったり尻尾を器用に使ったりと、どうにも猫っぽい。
きれいなワンピースをまとった美女だが、妄想癖があり、いつも物語の世界に入り込んでいる。他人のことを巻き添えにした上に命を危険に晒すこともある。
実は裕福な家の令嬢だが、娘の奇行を持て余した父親によって鳥籠荘に放り込まれた。アヤヒコという婚約者を幾度となく病院送りにしている。
- 鋳造・銀造(ちゅうぞう・ぎんぞう)
鳥籠荘の1階に住む双子の老人。
天涯孤独を自称しているが、実際には息子夫婦、孫夫婦、ひ孫まで揃っている。
かつて546号室に住んでいた浅井の祖父・晃生と面識がある。
- 皆子(みなこ)
かつて浅井の隣室に住み、浅井のモデルを務めていた女性で恋人でもあった。浅井の作品に未だ多大なる影響を与え続ける存在。
空間恐怖症のため、広い場所には出掛けることができない。
3年前にホテル・ウィリアムズチャイルドバードのバルコニーから身を投げて亡くなっている。
- 加地祥太(かじ しょうた)
華乃子のクラスメイトで、母親と2人暮らし。男女問わず人気を集めている。
華乃子のことがちょっと気になっている。
漫画
2008年から2011年にかけて、全3巻の単行本がシルフコミックスから出版された。
作画は宝井理人。