概要
『Keinez(赤)』『Ruguz(青)』『Surisuz(黄)』『Beorc(緑)』『Arzus(白)』。
これらの5色を基本とし、詠び出したいものと同じ色の触媒と、独自の言語である『セラフェノ音語』を用いた『讃来歌』による賛美によって、詠び招く物の名を讃え、誘う"名詠式"。
その専修学校であるトレミアアカデミーに通うクルーエルは、転校してきた年下の少年、ネイトに興味を抱く。彼は基本の5色に属さない、『Ezel(夜)』を讃える異端の"夜色名詠"を学ぶ少年だった。
ネイトの転校と時を同じくして。
赤・青・黄・緑・白。これらの5色の名詠全てを極め、生きる伝説とまで呼ばれる虹色名詠士・カインツもまた、トレミアアカデミーを訪れる。
かつてイブマリーという名の少女と交わした一つの約束を果たすべく、夜色名詠の詠い手を探して。
"君のもとへと続く詠、それを探す"物語。
その歌は、きっと君に届くから……。
名詠式とは
いわゆる召喚術。学ぶのに特別な才能が必要というわけではない。
呼び出せるものは身近なもの(砂・石などの物質)から伝説上の生物など多岐にわたる。召喚のためには呼び出すものと同じ色の触媒<カタリスト>と、セラフェノ音語(作者創作の言語)を用いた名前を賛美する詠<オラトリオ>を詠う必要がある。
一般的な名詠式は赤(Keinez)・青(Rugus)・黄 (Surisuz)・緑 (Beorc)・白 (Arzus)の五色に大別されており、各色ごとに上から第一音階名詠・第二音階名詠・第三音階名詠・第四音階名詠とランク付けされている。特に第一音階名詠で呼び出されるのは真精とよばれる各色の名詠を司るものであり、非常に強力である。
最下級の第四音階程度であれば花や絵の具でも触媒とすることができ、また習熟によっては第二音階までは詠なしでも召喚が可能だが、特定の物を触媒としなければ召喚できない場合もある。
一度名詠に使用された触媒は後罪<クライム>と呼ばれ、再度使用することは実質不可能な状態になる。
(転載:ニコニコ大百科 黄昏色の詠使い)
主要登場人物
ネイト・イェレミーアス
本作の主人公。年齢は13歳。
通常の名詠式とは一線を画す"夜色名詠"を専攻する異端の少年。トレミアアカデミーには飛び級で編入してきた。
性格は非常に温和で、引っ込み思案なはずかしがり屋。
それでも名詠式にかける思いと情熱は、同級生の他の誰にも負けてはいない。
クルーエル・ソフィネット
本作のヒロイン。年齢は16歳。
専攻する名詠は"赤色名詠"。所属するクラスの女子クラス委員長でもある。
面倒見の良く明るい性格で友人も多い。しかし『ただ面白そうだから』で名詠学校への進学を決めた彼女は、学校生活の中で自分が名詠式を学ぶ意味を見いだせずにいた。
そんな日々の中での、名詠式と真摯に向かい合うネイトとの出会いが、彼女の生き方に大きな変化をもたらすこととなる。
なお、部活は護身部に所属。つよいらしい。
カインツ・アーウィンケル
本作における、もう一人の主人公。
ネイト達の通う名詠学校トレミアアカデミー。その前身であるエルファンド名詠学舎に通っていた。その当時から羽織っている、枯れ草色のコートがトレードマーク。
一般的に、生涯をかけて3色の名詠式を極めるのが限界とされている中、歴史上でただ1人のみ、わずか20代という若さで全ての名詠式を極めた、"虹色名詠士"の異名を持つ生きる伝説。
そんな彼が、学生時代にイブマリーという少女と交わした、たった一つの約束────"夜色名詠"を求めてトレミアアカデミーを訪れた。
イブマリー・イェレミーアス
本作における、もう一人のヒロイン。
カインツと同じく、エルファンド名詠学舎の学生であった。
在学時、周囲から好機の眼に晒されることもいとわず、未だどこにも存在しない、不可能とされる5色以外の新たな名詠式である"夜色名詠"の研究に没頭。
誰からも信じられず、誰からも救いの手は差し伸べられない。救いのない孤独の中、それでも彼女はただ一途に夜色名詠を追い続ける。
未完成な夜の歌。誰にも理解されるはずのなかった夜の奏でをカインツに聞かれてしまったその日から、彼女たちの物語が幕を開ける。
卒業後、元が孤児であったネイトを引き取り、自身の夢である"夜色名詠"を彼に託した。