概要
2005年、フェラーリ エンツォ・フェラーリをベースとして、フェラーリの持つ技術を結集させた、サーキット専用モデル(公道走行不可)を発表。今までマラネッロ(イタリアの地名。マラネロとも。)で製作された車の中では最も高度なGT。
フェラーリは、「未来のスーパースポーツが持つべきスペックを示す役割を課せられたモデルであるとも言える」と自負している。
限定29台の生産。
スペック
搭載されるエンジンはF140型6262cc V12エンジンを搭載。800ps/8500rpmという高出力を生み出す。さらに、F1の技術をもとに開発されたトランスミッションは、約80ミリ秒(=0.08秒)でギアチェンジを行うことができる。
ブリヂストン製の専用の19インチ・スリックタイヤと、ブレンボ製の専用の大径セラミックコンポジット・ディスクブレーキを搭載。ブレーキ冷却とパッドのシステムは専用に開発されたものである。
通常の状態では、エンジン出力を抑制するコントロールがなされている。セーフティーコントロールを解除すると、相当のオーバーステア特性となり、フォーミュラ経験のあるプロレーサーでも乗りこなすのが困難とされている。
主要諸元:
エンツォ・フェラーリと違う箇所は太文字で記載。
エンジンタイプ | ミッドシップ縦置き バンク角65° V型12気筒 (可変バルブ機構有) |
排気量 | 6262cc |
最高出力 | 588kW(=800ps)/8500rpm |
最大トルク | 70kgm・f(=686Nm)/5750rpm |
バルブ作動システム | DOHC(1気筒あたり4バルブ) |
燃料タンク容量 | 112L |
トランスミッション | F1マチック 6速セミAT+リバースギア |
サスペンション(前) | 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、調整式ショックアブソーバー、アンチロールバー |
サスペンション(後) | 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、調整式ショックアブソーバー、アンチロールバー |
ブレーキ | ブレンボ製 カーボンセラミックディスク |
全長 | 4832mm |
全幅 | 2400mm |
全高 | 1127mm |
車重(乾燥重量) | 1155kg |
最高速度 | 345km/h |
0~100km加速 | (データなし) |
0~400mタイム | (データなし) |
0~1kmタイム | (データなし) |
エクステリア・デザイン
ボディパネルはカーボン製で、車重(乾燥重量)は1155kg。空力特性が改善されており、ダウンフォースはエンツォを40%も上回る。更に、可動式のスポイラーを搭載し、サーキットにあわせて調節が可能。シートやペダルもドライバーに合わせてオーダーメイドされる。助手席を装備することも可能。 その構造上運転席からは後方が見えない為、ルーフにカメラがついている。
FXXプログラム
十分高いポテンシャルを秘めている「FXX」だが、このFXXは革新的な技術協力プログラムの一環でもある。それは、アマチュアながら高い運転技術を持つ顧客が、自らテストドライバーとなり、FXXを運転することでニューモデル開発の一翼を担い、また車両のデータ取りに活躍する、というものである。
FXXには高性能テレメトリー・システムが搭載され、39種類もの運動特性のデータを、ピットで常時監視する。これらの情報はフェラーリの技術者が分析し、顧客と共に検討される。このプログラムは、高性能モデル開発計画の基本的な枠組み作りの一環で、初の顧客テストドライバーを起用した開発プログラムとなる。各種走行データは新型車の開発等に活用される。
マシン本体と各種メンテナンスをつけた基本パッケージは総額150万ユーロ。FXXは2005年12月に限定29台で、フェラーリにより選出された特別なオーナーに対してのみ販売され、日本でも複数がオーナーとなった。また、ブラックのボディカラーに、両方のドアの横に「30」と書かれた30台目のFXXが、ミハエル・シューマッハにプレゼントされた。
顧客(テストドライバー)がサーキットを走る場合、ヨーロッパ圏内と現地法人がある国(日本やアメリカなど)ではフェラーリの顧客レース部門「コルセ・クリエンティ(Corse Clienti)」からFXXプログラムを担当するメカニックを含む特別チームが派遣され、各種メンテナンスも受けられる。それ以外の国でも同部門の下で各国の正規輸入元が管理する。また、FXXをフェラーリの本社に預けておけば、「フェラーリ・レーシング・デイズ(Ferrari Racing Days)」などでの走行時にも同部門が各サーキットへ航空便で輸送をしてくれる。なお、FXXを購入したオーナーはフェラーリ認定のレーシングドライバーによる運転講習を受けられる。
なお「FXXプログラムは2009年をもって終了し、以降は599XXプログラムに継承される」とされていたが、2020年現在もフェラーリ・XXプログラムとして継続されている。
余談
「FXX」と言う名前は、エンツォ・フェラーリの開発コードの「FX」にはかり知れない可能性とスピードを著わす「X」を付け足したもの。
関連イラスト
エンツォ・フェラーリでいう所の、テールランプがあった箇所がエキゾーストになっているのがFXXの大きな特徴。
関連記事
- フェラーリ
- エンツォ・フェラーリ → FXXのベースモデル
- ラ・フェラーリ → エンツォ・フェラーリの後継
XXプログラム(旧599XXプログラム、旧々FXXプログラム)つながり:
- 599XX → プログラムの観点で言えばFXXプログラムの次の代を担ったマシン。ベースモデルの599GTBは、エンツォ・フェラーリ及びラ・フェラーリとは系統が違う事に注意。
- FXX-K → FXXの後継に相当する、ラ・フェラーリベースの公道走行度外視モデル
外部リンク
以下フェラーリ公式: