F50
えふふぃふてぃー
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F50(イタリアでの読み: エッフェ チンクワンタ、effe cinquanta)は、フェラーリ創業50年を記念するモデルとして誕生。フェラーリにおける限定生産車を意味する「スペチアーレ(イタリア語表記:speciale)」の1つ。
先代「F40」の後継モデルとして1995年デビュー。
開発コンセプトに掲げられたのは「公道を走るF1」。エンツォ・フェラーリの息子、ピエロ・ラルディ・フェラーリの「F1のエンジンを積んだロードカーを創る」というシンプルなアイデアをもとに、ダラーラ(イタリアにある自動車メーカー)で製造されたカーボンコンポジット製のセンターモノコックにF1用エンジンをストレスマウント化(剛結/ボディへ直にボルト止め)し、F1マシンそのままの高剛性な車体構成を市販車として初めて採用した。しかし、その構造ゆえに振動や騒音が激しく、運転時の快適性という点においては後継車種のエンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)に劣る。
発表時期が近いこともあり、マクラーレン F1とライバル視されることもあるが、両者の直接比較は試されなかった模様。F50発表の1995年のジュネーヴ・モーターショーではフェラーリ側から「マクラーレンよりは遅い」という発言があったが、フェラーリによるとF50は性能を追求した車ではないという。
生産台数は349台で、新車価格は日本円で5000万円。実際に発売されたのはフェラーリの創業50周年より2年ほど早かった。これは、当時ヨーロッパで施行予定の新しい排気ガス規制に適合させることが難しかった為、それまでに予定した台数を全て売り切ることで規制に間に合わせようとしたといわれている。2021年現在ではその希少性ゆえにプレミアが付いている。
なお、競技用モデルの「F50 GT」(後述参照)が開発中止となった為、F50がモータースポーツの場に姿を見せることはなかったが、F3マカオグランプリの前座である「スーパーカーレース」では、ほぼノーマルながらF50がマカオ市街地のグランプリコースを走行する姿を見ることができた。
パワートレイン
エンジンは1992年のF1マシンであるF92Aに搭載された自然吸気 3.5L V12 DOHC 5バルブエンジンの鋳鉄ブロックを流用し、排気量を4.7Lに拡大している。元々はF1用のためピーキーで扱いにくい高回転型のエンジンだったが、排気量を拡大することで公道でも扱いやすいエンジンとしている。
トランスミッションはF1では7速セミATが組み合わされていたが、F50ではごく一般的な6速MTとなっている。
それまでBPRグローバル エンデュランスGTシリーズ(FIA-GT選手権の前身となったGTカーによる耐久レースシリーズ)及びル・マン24時間レースにF40でエントリーしていたフェラーリであったが、1996年シリーズからF40の後継車種として投入すべく、F50 GTの開発が進められた。開発はフェラーリ本社ではなくダラーラが担当した。
F50 GTは3台が製作されたが、1996年シーズン間際になってフェラーリが突如開発を中止した為、製作された試作車は全車売却という末路を辿ることになった。第1号車はアメリカ、第2号車は日本、第3号車はドイツにそれぞれ売却され、「モータースポーツ等競技車輌として使用しないこと」という条項が記載された誓約書にサインがなされた上で、コレクターの手に渡っている。
開発中止の理由について、フェラーリは「当時はF1で優勝戦線に返り咲くことに精力を集中していたから」としている(外部リンク、F50 GTの公式サイト参照)。
エンジン
市販車のユニットをベースに、当時のFIA-GTおよびル・マン24時間レースのGT1クラス規定に沿ったチューニングが施されている。レブリミットは約10000 rpmという高回転型エンジンとなった。
F50 | F50 GT | |
エンジンタイプ | ミッドシップ縦置き バンク角65° V型12気筒 | ミッドシップ縦置き バンク角65° V型12気筒 |
排気量 | 4698cc | 4698cc |
最高出力 | 382kW(=520ps)/8500rpm | 551kW(=750ps)/10500rpm |
最大トルク | 48kgf・m(=471Nm)/6500rpm | 54kgf・m(=551Nm)/7500rpm |
バルブ作動システム | DOHC(1気筒あたり5バルブ) | DOHC(1気筒あたり5バルブ) |
燃料タンク容量 | 105L | 100L |
トランスミッション | 6速MT+リバースギア | 6速シーケンシャルミッション+リバースギア |
サスペンション(前) | 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、ガス封入式ショックアブソーバー | 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、ガス封入式ショックアブソーバー |
サスペンション(後) | 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、ガス封入式ショックアブソーバー | 独立懸架、ダブルウィッシュボーン、コイルスプリング、ガス封入式ショックアブソーバー |
ブレーキ | ディスクブレーキ | ディスクブレーキ |
全長 | 4480mm | 4578mm |
全幅 | 1986mm | 1986mm |
全高 | 1120mm | 1092mm |
車重(乾燥重量) | 1230kg | 860kg |
最高速度 | 325km/h | 376km/h |
0~100km/h加速 | 3.87秒 | 2.9秒 |
0~400mタイム | (データなし) | (データなし) |
0~1kmタイム | 21.70秒 | (データなし) |