Tết
てと
正式には「テト・グエン・ダン(Tết Nguyên Đán)」という。ベトナムは中国や朝鮮半島などと同じように、文化的には太陰暦を重視するため、旧暦の正月を祝う。中国などとは同じところもあるが、異なる点もあるが、全体的に中国の影響を受けた習慣が多い。
また、南北で若干、習慣の違いがある(後述)。
日にちは中国とほぼ同じで新暦1月下旬から2月上旬だが、観測点などの違いから1日程度のズレがある。また、労働法で最低5連休の「テト休暇」が定められ、日数は年ごとに政府から発表される。
休暇が取れない人には、高い賃金を払うことが定められている。
中国と同じく帰省することが多い。1ヶ月前から装飾品や縁起のいい花が売られはじめるが、縁起のいい花は北部と中・南部で異なる。旧暦の年末には、日本と同じように大掃除をして、新年に備える。
テト当日はごちそうが出されるが、代表的なのは「バインチュン」というちまきのような食べ物。もち米に潰した青豆、豚肉を挟んだもの。
他に、もち米を丸めて蒸した「バインザイ」や紅白なますなど、たくさんの料理が並ぶ。
お歳暮もこの時期に贈られる。刃物や時計は縁起が悪いとされ、タブーである。
お年玉は子どもだけでなく、自分より下の人全てに渡す。
習慣は基本的に同じだが、南部と北部で若干の違いがある。
例えば、テトに贈られる縁起のいい花は、北部では桃の花、南部ではホアマイという梅の花に似た黄色の花である。また食べるちまきにも違いがあり、南部は「バインテト(バインテッ)」という円柱形、北部は「バインチュン」という正方形をしたもの。中身は基本同じである。最近は南部でも北部のものが広まりつつある。
この違いはおそらく、南北の異なる歴史が関係していると思われる。
テトを祝うイラストは少ないが、アオザイで着飾った人物を描いた作品がみられる。