概要
『スロウ・ダメージ』とは、2021年2月25日に「Nitro+CHiRAL」から発売された18禁BLゲームである。
発売日が同ブランドのデビュー作『咎狗の血』と同じ日である。
シナリオは淵井鏑、キャラクターデザイン・原画は山田外朗が担当。
作品のキャッチコピーは『裂かれた(ひらかれた)傷と、欲望』
あらすじ
20XX年。日本。
深刻な不況を打破するために、日本の一大カジノ・リゾートとして開発された特別行政区「新神海」(しんこうみ)。
かつて東京臨海副都心13号地に属していたその地は事実上、カジノの民間運営業者である「鷹郷組」(たかさとぐみ)が統治する国のような存在となっており、不況の中においても一定の繁栄を保っていた。
明日のこともわからぬ不安定な状況が続く中、人々は一攫千金を夢見て、あるいは鬱屈した気持ちを晴らしに新神海へ集まった。
有象無象をも受け入れる街の治安は乱れ、そこかしこに退廃の影が漂い、犯罪が多発していた。
そんな街に住む主人公トワは、知り合いの医師タクの病院に居候しつつ、明日のことなど考えない、自堕落で刹那的な日々を送っていた。
トワにはある趣味があった。
それは「人の欲望を描くこと」。
人の心の奥底に押し込められた爆発寸前の欲望をモチーフにして油彩画を制作する。
欲望を自分にぶつけさせて、その体験を筆に乗せるのだ。
作家としての名は「euphoria」(ユーフォリア)。
欲望を叶えた結果、自分と相手がたとえ瀕死の重傷を負ったとしても構わない。
それが、相手にとっての「幸せ」なのだから……。
(公式HPより引用)
登場人物
メインキャラクター
トワ(スロウ・ダメージ)(CV:柊三太)
日々を自堕落に生きる主人公。
無気力だが、自分が興味を持ったことには反応する。
絵を描くことが唯一の趣味。
タク(スロウ・ダメージ)(CV:胸肩腎)
新神海で個人医院「むらせクリニック」を開業している医師。
トワのことは子供の頃から知っていて、放っておけずに面倒を見ている。
人当たりの良い性格で、患者からは老若男女問わず評判が良い。
レイ(スロウ・ダメージ)(CV:田中一朗)
トワの友人。バー「ルースト」の店員。
タクとも仲が良く、時間がある時はバイトとしてむらせクリニックを手伝う。
ムードメーカーで世話焼き。
斑目(CV:一ノ瀬昴)
謎の男。鷹郷組の関係者。数年間、姿を消していた。
トワとは因縁があり、再び目の前に現れてつけ狙う。
藤枝(CV:宮尾章)
鷹郷組の顧問弁護士。
冷淡で無機質な印象を与える。
トワに対して、見下すような態度で接する。
サブキャラクター
榊(CV:縞馬男爵)
鷹郷組の若頭。次期組長と噂されている。
周囲からは恐れられている存在だが、トワにはいつも気さくに話しかけてくる。
遠野(CV:触尻自由)
鷹郷組本部長。インテリな野心家で、虎視眈々と組長の座を狙っている。
榊󠄀とは対立関係にある。
小太郎(CV:綾野綾斗)
鷹郷組の構成員。借金の取り立てが主な仕事。
マユ、エイジとよく3人でつるんでいる。ケンカっ早い。
マユ(CV:ドレミファソラ夫)
鷹郷組の構成員。小太郎とともに借金の取り立てをしている。
マイペースな性格。
エイジ(CV:昼海大吉)
鷹郷組の構成員。情報収集と爆弾作りが趣味。
SNSやネットを駆使して新神海しんこうみ中のあらゆる噂や情報を網羅している。
五十嵐(CV:井伊筋肉)
鷹郷組の構成員。榊󠄀の舎弟。
むらせクリニックによく顔を出すので、トワやタクたちとも仲が良い。
ルースト店長(CV:八十一)
ルーストの店長。個人的な趣味で集めた絵やオブジェなどを店に飾っている。
いつも物静かで謎が多い。
ホナミ(CV:胸板鉄板ミート)
ルーストの店員。レイの同僚であり友人。
明るい性格だが、若干騒がしい。
ジュンコ(CV:鯨井宏平)
ルーストの店員。レイの同僚であり友人。
お祭り騒ぎが大好き。
アラタ(CV:鳴海那由太)
ルーストの店員。レイの同僚であり友人。
性格はおとなしく、口数が少ない。
生稲(CV:阿久里文化)
花屋の店員をしている。むらせクリニックへ花を配達しにくる。
浅倉(CV:吉良覇守)
貴之口医院の医師。トワに冷ややかな態度を取る。
水野(CV:恋津田蓮也)
むらせクリニックに運ばれてきた患者。おっとりしていて気弱そうな若者。
世界観
新神海(しんこうみ)
法整備により、国内で唯一カジノ産業の運営許可が下りた「特別行政区」の名称。かつての東京臨海副都心13号地に属する場所である。
当初、政府による公営のカジノリゾート開発を目論むもその事業は失敗。その後継として民間事業者である「鷹郷組」(たかさとぐみ)に開発運営が委託され、結果、カジノリゾート開発は成功。
現在では国内不況の中においても一定の繁栄を保っている。
街づくりの過程において「A」から「E」までの5つの「特区」に区分され、それぞれの特区で大きく街の特色が異なっている。
A特区(旧市街地・廃墟)
かつては全盛期の新神海を象徴する歓楽街だった。
今は廃ビルが並ぶ立ち入り禁止区域で、観光客はもちろん、新神海に住む住民も立ち入らない。
中心部は水没と老朽化により建物の腐敗が進んでおり、強固なバリケードが張り巡らされている。
B特区(新神海ストリップ)
カジノや商業ビル、アミューズメント施設が立ち並ぶ。
夜になると毒々しいネオンのライトが明滅する。
全盛期には日本有数のカジノ・リゾートとして名を馳せ、国内外から多くの観光客が訪れていた。
C特区(本部・高郷町)
新神海の政治を担う中心区で、豊富な資産を持つ上流階級の人間が多く住んでいる。
羽子坂通りには最新鋭の高層ビルが立ち並ぶオフィス街があり、新神海聖堂や新神海総合病院といった、ここにしか無い施設も数多く存在する。
高級住宅街の一角には、カジノの民間運営業者である「鷹郷組」の本部事務所と邸宅がある。
D特区(繁華街・亜羽路町)
土地の規模としては新神海で一番広い。
繁華街・亜羽路町には飲食店やレジャー施設、キャバレーやホストクラブなど様々な商業施設が軒を連ねている。
レイが働くバー「ルースト」もこの地区にある。
E特区(住宅街)
主人公トワが居候しているタクの個人医院「むらせクリニック」がある。
ファミレスやコンビニ、ディスカウントストア、ドラッグストアなどが密集しているメイン通りや、トワたちがよく立ち寄る「柳川珈琲店」もある。
用語
デスマッチ
A特区で行われる、民間人同士が自発的に参加する対戦格闘行為。
観戦者を前にゲーム感覚で行われており、参加者以外はあまりは近付かない。
暗黙のルールとして徒手が基本となっており、銃火器や武器を使うと卑怯者とされ、私刑に遭うこともある。
鷹郷組(たかさとぐみ)
新神海開発の大半を受託した民間事業者。
表向きは土建業や金融業を生業とするが、その裏側で暴力団としての側面を併せ持つ。
新神海開発の過程において政界工作によりその利権を拡大、現在は新神海地区の実質的な統治者として君臨している。
ウェブタグ
新神海で鷹郷組に対し借金をした人間(『負債者』)の体に埋め込まれる、個人情報が記録されたチップ。
街のいたるところにある鉄塔(監視塔)からの電波により位置、固体情報が常に鷹郷組によって捕捉され、『負債者』は全ての借金を返済するまで街から出ることができなくなる。
ルースト
レイが働くバーの名前。トワの行きつけのバー。
店長の趣味で集めた絵やオブジェを店に飾っている。
トワの描いた絵も度々飾られている。
柳川珈琲店
むらせクリニックの近くにある喫茶店。トワ達が昼食を取る為によく訪れる店。
店長こだわりのコーヒーと、ハニートーストが店の名物。
甘いものが苦手なタクもここのハニートーストは好物。
euphoria(ユーフォリア)
主人公・トワの画家としての名前。
意味は『陶酔感』『多幸感』。
名付け親はレイ。トワの部屋に転がっていた懐中時計に書かれていた単語から取った。
トワ自身名前にこだわりはなく、レイが言うならそれでいいと適当に決めた経緯がある。
モデル志望の人間からメールを受け取り、トワがあってもいいと判断、本人と対面した上で(原則として女性は対象外)トワ本人が描きたいという意思が沸き起こらなければ作品は完成しない。
『人の欲望を描く』というトワの制作方針の元、欲望を自分にぶつけさせてその体験を筆に乗せるという制作方法を取る為、場合によってはモデルとトワが瀕死の重傷を負うこともある。
その度にタクが治療を行っている。