概要
製作はディズニー&ピクサーで、フル3DCGで描かれた。ピクサーの長編アニメーション作品としては第5作目になる。
米国では2003年5月30日公開、日本では同年12月6日公開。2003年のアカデミー賞では長編アニメ賞を受賞した。
主人公ニモの名は、ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万里』に登場する主人公・ネモ船長から採られている。
2012年に3D映画『ファインディング・ニモ 3D』が公開。同時上映は短編アニメーション『レックスはお風呂の王様』。
2016年には米国にて、本作の続編となる『ファインディング・ドリー』が公開された。
あらすじ
カクレクマノミのマーリンは、妻のコーラルといっしょに卵の世話をしながら、2日後の子供たちの誕生を楽しみにしていた。ところが突然、獰猛なオニカマスに襲われ、幸せな日常に終止符が打たれる。気を失っていて助かったマーリンが意識を取り戻すと、妻と卵たちは姿を消していたが、たったひとつだけ卵が残されており、マーリンは妻の遺志を尊重するべくその子にニモと名付ける。
その後すくすくと元気な男の子に成長したニモだったが、あれこれと心配し過ぎる過保護なマーリンにはうんざり気味。
そして初登校の日にまで付いてきた事で遂に鬱憤が爆発したニモは、度胸をみせようと人間のボートに近づいた結果、シドニーから来たダイバーに観賞魚として連れ去られてしまう。
大慌てで追いかけたマーリンは、健忘症のナンヨウハギ・ドリーと偶然遭遇し、ボートの行き先を見たと語る彼女と一緒に息子を助けるため大海原の旅を始めるのだった。
登場キャラクター
主要キャラ
彼らの住んでいる場所はオーストラリアのグレートバリアリーフである。
カクレクマノミのオス。ニモを探すべく奮闘する父親。過去の事件から臆病かつ過保護になっており、ニモを学校へ通わせること自体に難色を示すほどだったが、今回の冒険で否応なしに今まで避けてきた他種族・他環境との接触を経験する事でたくましくなる。
性転換する魚だからと考えて本来はメスになっているのではとか言ってはいけない。
以前はそれなりに血気盛んだりもした様で、例の事件現場となった彼らの新居たる外洋沿いのイソギンチャクはクマノミにとっては所謂超高競争率物件であったらしく、マーリンはそれだけ多くの入居希望者勢の中からその場所を妻子の為に勝ち取ったのだとか(転じて自分のこの選択があの悲劇の原因の一端となってしまったとも言える為、その後の彼の性格が超控えめになってしまったのも無理からぬ事ではある)。
因みに本映画のタイトルがコレである為に混同されているケースを良く見るが、『ニモ』は彼ではなくて彼の息子の方である。
マーリンの息子。前述の事件で卵のときに傷を負ったため片方の胸ビレが小さい。
好奇心旺盛でマーリンの過保護さにうんざりしていたが、本当は彼のことが大好き。
ナンヨウハギのメス。ニモをさらったボートを撃したことでマーリンの冒険に同行することになった。
非常に物忘れが激しい(たった今見たり自分がやった事ですら1分ともたずに忘れる)が陽気で前向きな性格。
人間の文字を読むことができ、サメ相手に何ら物怖じせず、クジラ語も話せるなど、時々謎の高スペックさを見せる(続編にてこれらの理由と思われる『実は文字や音声情報で溢れかえっている遥か遠方の大型水族館で幼少期を過ごしており、同所で飼育されているジンベエザメやシロイルカとも無関係ではなかった』という彼女の過去が明らかになる)。
タンク・ギャング
ニモがさらわれた先のシドニーワラビー通り42にある歯科医院で飼われている。ギルを除くと全員ペットショップの出身。
ツノダシのオス。
水槽からの脱走計画を練っているリーダー格。
前の脱出の時の失敗で左の胸ビレがボロボロになっているが、それでも平然と泳ぐ彼の姿は同じく片方の胸ビレにハンデを持つニモを勇気付ける。
仲間になったニモに、『シャークベイト』と呼び名をつけ(『サメの餌』という意味のギャングメンバーへの呼び名らしい悪ぶった名だが、丁度ニモがこの名を賜った頃に実際に危うくサメに喰われかけていたのは彼の父のマーリンの方である)、彼の様に体格が小さな者の存在が必須な次なる脱走計画の要となる役割を任せる。彼の劇中で見せるハードボイルドな哀愁漂う外見と言動、そして正義感に満ちた大胆な行動は非常にかっこよく、本編中最高の義理堅いイケオジである。
ヒトデのメス。
水槽の外を見張るのが役目のため歯科の知識がかなり付いており、普段からメンバー達やナイジェル(後述)らにその時の患者の治療の模様を逐一実況している。文字も読める。
ロイヤル・グランマのオス。重度の潔癖症でニモが海から来た旨を聞くなり悲鳴をあげるほど。おまけに心配性(マーリンと馬が合いそうである)。
ニモを重要役に据えてのギルの次なる脱走計画は彼にとっては正に地獄でしかない内容であった(しかもせっかくそれを必死で耐えた彼の努力も完全にムダにされてしまうという可哀想な結果に。そりゃ怒るわ)。
ヨスジリュウキュウスズメダイのメス。水槽に映った自分の姿を双子の妹フローだと思っている。
当然水槽のガラスが汚れれば彼女自身の姿(フロー)は見えなくなり探し回る羽目になる。
キイロハギのオス。泡に執着している変わり者で、汚れた泡でも気にしない。
ハリセンボンのオス。感情が高ぶると体が膨む。
ガーグルとよく組んでいる。
水槽内に繁殖した苔の味は「悪くない」らしい(当然ガーグルにはドン引きされたが)。
アカシマシラヒゲエビのオス。水槽内の掃除担当。水槽の内装だけでなく新入りの身体も掃除する。
現実でもこの手の小エビは海底生の魚の体表面や口内の老廃物や虫を食べるので肉食魚とすら共生関係を結んでしまえる為、例えウツボの口の中に入ろうがほぼ喰われない。
サメトリオ
周りに機雷がある沈没した潜水艦を拠点にしているサメのトリオでサメへの誤解や偏見を無くす為に、まずは自身らサメ達内の意識から変えようとしている所謂グループセラピー活動チーム。スローガンは「魚は友達、餌じゃない。」
サメ故に怖い外見と劇中の恐ろしい行動からよく本作のヴィラン(悪役)と誤解されるが決して悪い奴等ではなく、むしろ心ある者たちで、一応彼等なりに負のイメージを無くすために頑張っているのだから悪者扱いは酷である。
サメトリオのリーダーのホホジロザメのオス。
サメのイメージアップのため菜食主義をモットーにしている。だが血の匂いを嗅ぐと本能が刺激され魚を食べたい欲求を我慢できなくなる欠点をもっていて、その際に目付きが現実のホホジロザメそのものになって暴走してしまう
「今夜の飯は魚だぜェ!!!」
だが、イメージアップは本心からの行動で、マーリンが息子を探してると聞いた時は「父親の鑑」と評して「俺は親父の顔知らねぇんだぁ!」と大泣きしたり、マーリンとの諍いで鼻血(これが原因でサメとしての本能が目覚めてしまったが)を出してしまったドリーを心配するなど本来は涙脆くて義理人情に厚い優しい性格で、本編最後では前述のその欠点を克服している。
名前の元ネタは多分映画『ジョーズ』の撮影の要にして(度重なる故障で)散々スタッフらの手を焼きまくったアニマトロニクスのサメロボにつけられた名前から。
因みにブルースがマーリンとドリーを潜水艦内で追い回すシーンは恐らくだが『ジョーズ4』の沈没船内のシーンのパロから更に『シャイニング』の名シーンのパロへと繋げられており、何気にパロディーとしては高等テクと言えるかも知れない。
アオザメのオスでサメトリオの1人。
鼻先に錆びた釣針がピアスのように刺さっている(実際にアオザメはカジキ等の大型魚狙いの釣りでは言わば『レア枠の強キャラ』扱いで人気だったりする)。
サメトリオは菜食主義をモットーにしているのだが、影でコッソリ魚を食べる一面も。ジョークが大好きでサメトリオの中では最もテンションが高い。
下記のアンカーと共に、サメとは逆に良いイメージを持つイルカに嫉妬して嫌っており、マネしてディスっている(関係あるのかは不明だが、本作はこのテの内容の作品としては非常に珍しくサメに比べてイルカの出番は数秒程しかなく、しかも台詞こそあれ名前も無いほぼモブである)。
ヒラシュモクザメのオスでサメトリオの1人。
上記の通りチャムと共にイルカを嫌っているが、同様に人類に対しても「(自分の物であるかの様に)何でも持って行きやがる」からと二匹して良いイメージを抱いておらず、何故かその中でもアメリカ人に対する好感度が特に最悪である様子(実際には今回の原因たるシャーマンはオーストラリア人だったのだが)。
あまり短所は見られず、「魚の友達を連れてくる」というステップをこなしている(ただし、その魚の友達はミーティング中にこっそり逃げ出してしまった……
……と思いきやスタッフロールの最後の最後にて再び登場し、予想外過ぎるオチを披露してくれる事になる)。
ドリーは魚を食べたことがないと発言したことで、本編ラストにてメンバーに加わった。
その他海洋生物
- タッド(Tad)
フエヤッコダイ。ニモの通う学校の友達で口が悪い。
- フィル
タッドの父。息子と同じく口が悪く冗談が大好き。
蛙の子は蛙とはまさにこの事である(魚だけど)。
- シェルドン(Sheldon)
ニモの通う学校の友達。水アレルギー。悪戯好きな所もあり父親によく怒られているようだ。
- ボブ
シェルドンの父。息子とは逆に紳士的の良いパパである
- パール
メンダコの女の子でニモの通う学校の友達。
なぜか8本の足のうち1本だけ短い。驚くとタコらしく墨を漏らす。
余談だが現実のメンダコは深海に生息する上、墨を吐かない。
- テッド
パールの父。娘同様、驚くと墨を漏らす。
- エイ先生
マダラトビエイのオス。ニモの学校の担任で陽気な性格。
科学者でもあり、冒険と好奇心に溢れた授業を行う。
アオウミガメのオス。大勢の仲間やニモと同年代くらいの息子と一緒にオーストラリアの海を泳いでいる。150歳だがまだまだ元気盛りらしい。
- スクワート
クラッシュの息子でニモと同じ年頃の遊び盛り。終盤では交換留学生としてニモの学校の生徒になった。
- ムーンフィッシュ
群れを集団行動のように連携して動かしてシルエットクイズが得意
海賊船やマーリンなど様々な姿に変えることができる。
それを利用してマーリンやドリーをシドニーへ案内してくれた
- ナイジェル(Nigel)
コシグロペリカン。タンク・ギャングにとっての外界の窓口であり、良き友人。
歯医者の治療の様子を観察するのが趣味で、野生のクセに魚達にフレンドリーだったり協力的だったりとかなり変わった性格をしている。
生息地域と長めの胸鰭から恐らくザトウクジラ。
ドリーとマーリンが偶然出会った。
出会った時は凄い遠くにいたためシルエットが小さく見え
ドリーは小さい魚と勘違いし「おチビさん」呼ばわりした
後に大きい身体に気付いたドリーにクジラ語で話しかけられるのだがその時のドリーは必見である。
マーリンとドリーをオキアミごと食べるが、偶然にも潮吹きでシドニーへ送り届けた。
クジラ語が通じたのかは一切不明である。
因みに実際にはザトウクジラに限らずクジラ類は全て口内と噴気孔は繋がっておらず(消化器系と呼吸器系の入り口が完全に別けられている為)、劇中の様に飲み込んだものを潮吹きと共に吐き出すという芸当は不可能なので悪しからず。
- カニ(Crab)
汚水処理場に通じる海底パイプの穴から出てくる残飯の欠片を漁って生きている二匹組。
口が悪く嫌味な性格でマーリンの居場所を素直に教えなかったため怒ったドリーにカモメの前に出され無理やり聞き出される羽目になった。
それぞれ名前があり、緑で小さい方が「バズ」で赤くて大きい方が「バーニー」だが、本編で呼ばれたことはない。
マーリンの妻でニモの母親。二日後生まれる子供達をマーリンと楽しみにしながら幸せに過ごしていたが、ある日突然襲いかかってきたオニカマスから卵を守ろうとして卵共々捕食されてしまった。
ピクサー作品の前作からのカメオ出演で、スタッフロール中にしれっとスキューバ装備で画面を横切る。
休暇中なのか、それとも間違って海に沈んだ家に通じるドアを開いてしまったりでもしたのだろうか?
ヴィランズ
人間を含めて本作には悪意のある者は存在しないが主人公達の敵と呼べる立ち位置のキャラクターをここに記載する。
- クラゲ
東オーストラリア海流の近くでマーリンとドリーが遭遇したクラゲの大群。
傘や口腕はピンク色でドリーとマーリンを毒針で刺した。
この事から本作のディズニーヴィランズと言える。
- カモメたち
シドニーの港にたむろするカモメ。食べることしか頭に無いらしく、皆「ちょうだい」(英語版では「俺の」という意味の「Mine」)としか喋らない。愛嬌ある姿とは裏腹に集団で襲い掛かってくるため、魚達とっては下記の二匹同様、本作におけるディズニーヴィランズと言える。
原語版声優はクラッシュと同じくアンドリュー・スタントン監督自身が担当…したがDVD収録の音声解説によるとボブ・ピーターソン製作総指揮やリー・アンクリッチ共同監督は監督が担当したキャラが多い事に不快感を抱いていたらしく、ボブがピー音で規制されるほど物騒なことを言う始末になった。(直前にスタントン監督から大丈夫、規制かけるからと了承を経た上で発言した。そんなボブは原語版のエイ先生の声優を担当している)
深海魚。本作のディズニーヴィランズで、ニモを探す手掛かりとなる後述のゴーグルを深海に落としてしまったことでマーリンとドリーが深海に入り込んだ時に二匹に襲いかかってきた。他の海洋生物達とは違い言葉を話し会話をすることはなく、唸り声や咆哮をあげ襲い掛かる猛獣じみた恐ろしい存在である。岩に引っ掛かった水中メガネに突っ込み、身動きが取れなくなってしまった。
本編の冒頭に登場する本作のディズニーヴィランズの一匹で諸悪の根源とも言える存在。チョウチンアンコウと同じく言葉は喋らず、ただ唸り声や吠え声しかあげない危険な猛獣である。マーリンとコーラル夫妻が住むグレートバリアリーフに襲来し、両者の間に生まれた当時まだ卵だった子供たちとコーラルを食い殺した。この事件以来マーリンはひどく神経質で過保護な性格になってしまい、ニモは卵だった時にコイツに襲われたせいで傷を負い、結果片方の胸鰭が小さくなるなど多大な被害を受けており、これらの動向から全ての元凶とも言えるが、上記のカモメやチョウチンアンコウ同様にあくまで捕食行動であり悪意があった訳ではないと思われるが…
現実には捕食行動とは別に好奇心や遊び感覚で他の生き物を攻撃(場合によってはそのまま殺害してしまう)する生き物も確認されており、実際にオニカマスは(原因には諸説有るが)普段見ぬ筈の人間にすら噛み付くだけなら兎も角ダツのように尖ったシルエットにモノいわせて高速突撃攻撃を仕掛けてくるなど所謂『殺意が高めの凶暴で危険な魚』として知られており、オマケに個体差はあるが体内にシガテラ毒を有しており食用にも向かなかったりと、地域によっては丁度この映画での配役の様にサメよりも危険度が高く好感度は低かったりする。
人間
- フィリップ・シャーマン
ニモを(本人は珊瑚礁から出て死にかけていたところを助けたつもりだったらしい)さらった間抜けな歯医者。彼がゴーグルを落としたことがニモを探すための手掛かりとなった。
人当たりの良い好人物で、魚に対しても優しく接している(ただしいつも歯医者を訪れるナイジェルは魚を食べるかもしれないとのことで嫌っている)のだが下記のダーラが魚を乱暴に扱って死なせてしまったにもかかわらず、特に咎めもせず再び魚をプレゼントしようとしたり、死んだチャックルズやニモ(死んだフリをしていた)をトイレに流したりゴミ箱に捨てようとしたりする等、愛情があるのかないのかよく分からない性格をしている。魚から見たら彼もヴィランと言えるのかもしれない。
- ダーラ
本作のある意味最大のディズニー・ヴィランズで、7歳のシャーマンの姪。相当な悪人面で描写されている。歯の矯正で歯科医院を訪れている模様。
幼さもあって魚の扱いがかなり乱暴で、かつてタンク・ギャングの仲間だった金魚のチャックルズを死なせている。
そのためタンク・ギャング達からは「魚の敵」と称されて嫌悪され恐れられている。
『歯列矯正具着用のクソガキ系ヴィラン』としてはピクサーの出世作にて前列となるキャラが居たが、彼の方はその後の話にて少なくとも陰ながら人様の為に働く程には更正できた事が匂わされている。是非ともダーラにも今後生物をまともに扱える様には更正して貰える事を願うばかりである。
豆知識
- 実際には、マーリンやニモのモデルとなった魚は、生息地などから考慮すると、カクレクマノミではなく、オレンジクラウンフィッシュ(ペルクラクラウンフィッシュ)であるらしい。しかし日本ではカクレクマノミの方がが知名度が高かったため、ニモはカクレクマノミと言われるようになった。
(参考:海響館のホームページ 「オレンジクラウンフィッシュ」・オレンジクラウンフィッシュ | WEB魚図鑑 - ズカンドットコム)
- またクマノミのなかまは誕生時は全てオスである上生殖機能もないが、体格が最も大きいものがメスとなり、その次に大きい個体が生殖機能を持つオスとなる生態を持つ。仮にメスが死んだ場合はその生殖機能を持つオスだった個体がメスに繰り上がると言う生態が知られるが、本作においては当然そんな描写はない。
- なお中盤、フランダーのような色合いでシイラに似て非なる外見の魚が登場するが、なんと声を当てたのはあの人だった。なお続編では海を泳ぐマンボウの声を当てた。どちらも出番は一瞬でありながら声を聞けば一瞬で分かるはずでギョざいますので、注目して見るべし。
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ファインディング・ドリー:続編。