ナンヨウハギ
なんようはぎ
漢字で書くと『南洋剥』であるが、前述の通り、スズキ目の魚である為、フグの仲間であるカワハギとは全く別の魚。
インド洋から太平洋に掛けてのサンゴ礁に群れで生息し、サンゴ礁に生える藻や、動物プランクトンを食する。非常に平べったい体をしており、危険を感じた時や夜眠る時はサンゴの隙間に隠れるおとなしい性質だが、ナンヨウハギに限らず全てのニザダイの仲間は、不用意に触ると尾の付け根にあるトゲで切られることがある為、注意が必要。
また尾のトゲ以外にも、背鰭と臀鰭の棘は鋭く毒腺がある可能性が示唆されており、またナンヨウハギを食べた人が手足の痺れや味覚障害を感じた記録があり、シガテラ毒を持っている可能性がある。
青いボディに黄色い尾鰭という特徴的なカラーリング故に観賞魚として人気があり、2003年のファインディング・ニモ公開により、一気に知名度が高くなり、作中に登場するキャラクタードリーの愛称でより多くの人に親しまれるようになった。
そして、2016年にナンヨウハギのキャラクタードリーが主人公の映画『ファインディング・ドリー』が公開される事に。
観賞魚としての人気が高く、飼いやすい海水魚として初心者に進められることが多いが、あくまで『海水魚の全体的に見れば飼いやすい種類』であって、初心者が簡単に飼育出来る種類ではない。
具体的には、
・30cm近くにも成長しよく泳ぐ為、最低でも90cm以上の水槽が必要になる
・水質に敏感で白点病という病気にかかりやすい
・その上、死んだフリをよくやる為、弱っているかが分かりにくい
・人工飼料にはよく慣れるが、植物質が不足すると栄養失調になりやすい為、茹でた小松菜やレタスを与える必要がある
・水槽内では強気な性格になりやすく、水槽内のボスとして君臨して自分より弱い魚を虐めるので、ナンヨウハギより強い魚を入れてパワーバランスを保つ必要がある
幸いなことに水族館で飼育出来る魚の中では非常に飼いやすい種類であり、淡水魚オンリーの水族館を除いたほぼ全国の水族館で飼育されている。よって気になったのであれば、まずは飼育するではなく、近くの水族館で鑑賞することをお勧めする。