ブギーポップは笑わない
ぶぎーぽっぷはわらわない
概要
著:上遠野浩平、イラスト:緒方剛志。第4回電撃ゲーム小説大賞受賞作品。
現代ライトノベルの方向性を定めた作品の一つであり、セカイ系の源流の一つとなった小説。後進に与えた影響は大きく、西尾維新、時雨沢恵一、奈須きのこなどが上遠野の影響を受けた作家としてあげられる。
この作品のヒットともに、それまで異世界ファンタジーが主流であったライトノベルは
エブリデイ・マジック・異能バトルものを中心に変化・発展していくこととなる。
また西尾や奈須を中心に伝奇としてのライトノベルを確立する契機にもなった。
これらの意味では先述の通りこれら諸ジャンルの元になった作品と呼ぶこともできよう。
『ブギーポップは笑わない』とは1作目のタイトルだが、そこから始まるシリーズ全体を指す場合もある。シリーズは現在(2013年9月)、18巻まで刊行されている。上遠野浩平作品は一般に作品間で世界設定につながりを持っているが、特に『ビートのディシプリン』シリーズと『ヴァルプルギスの後悔』シリーズはほぼ完全に登場人物が共通する。2000年にテレビアニメ化と実写映画化が同時に行われた。主題歌は共通して、スガシカオの「夕立ち」である。
物語は県立深陽学園という高等学校を中心に、日本、時には全世界を舞台にして展開する。”MPLS”と呼ばれる超能力者、そして主にそのMPLS能力を巡って出現する世界そのもののあり方を変えてしまう”世界の敵”、それと対峙して暗躍する”死神”ブギーポップあるいは統和機構等の裏世界の勢力、そして何よりもそういった戦いに巻き込まれていく一般の人々と少年少女たちを描いていく。主人公はブギーポップであるが、視点を提供する語り手は一般に別の人物であり、各巻、時に各章各節において語り手も異なっている。
登場人物
群像劇であり、なおかつ長く続いているシリーズであるため、登場人物は非常に多い。ここではpixivにイラストの存在する者を抜粋。
主人公
県立深陽学園高校の二年生(初登場時)である少女。竹田啓司というボーイフレンドがおり素直で明るい性格だが、その無意識下にはブギーポップという存在が眠っている。ブギーポップとは、深陽学園女子の間で伝えられている伝説の死神であり、その人が一番美しいときに現れて殺しに来てくれるという。詳細は → 宮下藤花 ブギーポップ
県立深陽学園
宮下藤花が通う高等学校。いくつかの事件の舞台となって、死者や行方不明者も出ている。
近隣高校にも名の知れた不良であり、いわゆる”正義の味方”的な活動を続ける少女。高い戦闘力を有し戦術眼にも優れている。『ヴァルプルギスの後悔』シリーズにおいては主人公でもある。詳細は → 霧間凪
正美は深陽学園の一年生で風紀委員会に所属する、さして目立たない青年。しかしとある研究施設から逃れてきたマンティコアという存在と出会って、その運命は捻れていく。
深陽学園に通う凪の友人。両親を借金苦による夜逃げで失ってから、後述する統和機構の監視下におかれるようになった。
統和機構
世間に潜んでいるMPLSと呼ばれる超能力者を探し、その中で危険な存在を抹消することを目的とする巨大組織。全貌は不明だが、全世界に組織の末端が存在するという。また、その実態は組織というよりも”システム”であるという。合成人間という人外の構成員を無数に有しており、中枢(アクシズ)と呼ばれる存在の指令によって動く。作中では「VSイマジネーター」から登場。
スプーキーE(スプーキーエレクトリック)
統和機構の合成人間で人間離れした巨体の持ち主。深陽学園の近辺でMPLSの捜索を中心とした諸活動を行っている。手から電磁波を発生して他人の記憶を操作する能力を有す。
統和機構で”最強”と呼ばれている、体にフィットした紫の服を纏った(少なくとも外見は)少年。空間を断ち切る能力によってあらゆる攻撃を防ぎ、また体表から一定範囲のあらゆる存在を破壊することができる。文字通りいかなる合成人間あるいはMPLSも敵わない最強の存在とされている。
統和機構のエージェントで、圧倒的な破壊能力で知られる。手から射出した物体に最大では巡航ミサイル以上の破壊力を持たせることができる。表の顔は警察庁の上層部であり、裏の統和機構においても幹部の一人である。
統和機構の合成人間で『ビートのディシプリン』シリーズにおける主人公。鼓動を読む能力を持つ、戦闘用というより情報探索用の合成人間である。しかし、己の技術によって他人の鼓動を操ることもできる。戦闘技術は高いが一般社会的な常識にはどこか疎いところがある。
統和機構の戦闘用合成人間。空気を操る能力を持ち、主に裏切り者や危険な存在の処分を担当している。フォルテッシモを先生と呼んで、目標にし、かつ慕っている。見た目はどう見ても幼女である。
アニメ
映画
2000年3月11日公開。