概要
日本国有鉄道及びその前身である鉄道省、帝国鉄道院、そしてその後身のひとつである西日本旅客鉄道が設計・所有・運用した電車のうち、モハ90系(後の101系)以降のカルダン駆動方式を採用した、所謂「新性能電車」に対する、旧来の吊り掛け駆動方式の電車の総称。
よく、「昭和32年(1957年)以前の~」と書かれるが、実際には翌昭和33年(1958年)のモハ80系・モハ72系の製造終了を以って新製終了となる。
定義上は国鉄において設計された車両となるが、実際には電化私鉄の国有化の際に引き継いだ「買収国電」が存在した。
国鉄分割民営化の際には、後述のJR西日本のクモハ42形2両と、JR東日本の鶴見線で使用されていたクモハ12形が旅客営業用として、また荷物車や、検測車、牽引車などの事業用車両(クモヤ90形、クモヤ740形など)、そして動態保存車(クモハ40形)などごく少数が引き継がれた。
その引き継がれた旧型国電のうち、単行用旅客電車が不足したJR西日本において、荷物車クモニ83形(元モハ72形)の再旅客化改造が実施されクモハ84形となった。JR化以降唯一誕生した旧型国電新形式であり、旅客形式である。
しかし経年と酷使により劣化が激しいことと、私鉄では同世代車がすでに一般的に採用していた発電ブレーキを持たないことから、淘汰が進む結果になった。
それでも保存用を含めたごく少数が営業運転できる形で残されていたが、2000年12月17日に発生した京福電鉄越前本線列車衝突事故により、ブレーキが全く多重化されていない国鉄型旧型車での単行運転が事実上できなくなり、これを契機として2003年3月14日にJR西日本小野田線で運用されていたクモハ42形が123系(クモハ123形)に置き換えられたのを最後に国鉄・JRグループにおける定期営業運転からはすべて引退した。