概要
「チャンピオンRED」にて、2009年6月号から連載が開始された漫画作品。
同タイトルでは2012年12月号にて完結しており、翌2013年1月号からは、新シリーズ「真マジンガーZERO VS 暗黒大将軍」がスタートしている。
TVアニメ「真マジンガー 衝撃! Z編」のサポート連載としてスタートしており、アニメのコミカライズではない。物語的なつながりもなく、独自の路線を貫いている。
その作風はTVアニメに負けず劣らず強烈なものとなっており、
- プロローグでいきなり地球が滅亡
- あらゆる意味でゲッター線もかくやというぐらいに凶悪化したマジンパワー
- Dr.ヘルの手によって50億人以上の人間が虐殺されている
- さやかさんのセクシースーツ
- 体長十数kmの巨大兵器として登場したゴードンヘル
- そのゴードンヘルを、全世界でマジンガーを応援し掲げた拳で攻撃すると言う展開
- 水着回と告知されたエピローグが9ページで終了し、新章プロローグへと突入
などなど、TVアニメとはまた違った形で、読者を驚愕させている。
石川賢作品を連想させる巨大なスケールの物語だが、原作者・永井豪へのリスペクトは深い。
いわゆるループ物である本作だが、過去に辿られた時間軸には、
兜甲児が登場しない「マジンカイザーSKL」以外の、ほぼ全てのマジンガー作品のネタがちりばめられている。
TVシリーズ同様、スターシステムを採用しており、「キューティーハニー」や「アステカイザー」、「へんちんポコイダー」なども出演。単なるゲストではなく、一部は物語の展開に深く関わる。
登場ロボット
マジンガーZ
別名・「終焉の魔神」。
主人公の祖父である兜十蔵がミネルバXを用い(後述)、無限に等しい開発期間を経て完成させた、史上最強のスーパーロボット。
当初は世界征服を目的として作られており、Dr.ヘルが登場しない時間軸においては、このマジンガーZを引き連れて、世界に宣戦布告している。
人工知能と自己進化機能を有した究極のシステム・魔神パワーを搭載しており、
全七段階のリミッターが解除されたその時には、文字通り神にも悪魔にもなれるパワーを発揮する。
反面、十蔵の設計思想の影響を受けてか、魔神パワーの行動原理は、「自らが最強の存在となること」を目的としており、
実際に魔神パワーが解放された際には、パイロットをも取り込み暴走、全人類を滅亡させる結末へと至っている。
魔神パワーの内訳は、以下の通り。
- 第一段階・自己再生:戦闘で負ったいかなるダメージをも自己修復する
- 第二段階・吸収:あらゆるエネルギーを吸収し、自らのものとすることができる
- 第三段階・強化:マジンガーZの性能を飛躍的に向上させる
- 第四段階・高次予測:未来予知にも匹敵する状況シミュレーションを可能とする
- 第五段階・変態:物理法則の常識を超え、マジンガーZの形状・性能を変化させることができる
- 第六段階・因果律兵器:1%でも勝率があれば、因果律に干渉し、その結果を強引に実現させることができる
- 第七段階:魔神化:この段階まで解放された時点で、甲児を取り込みマジンガーZは暴走、「終焉の魔神」と化してしまう
なお、魔神パワーは第六段階までは制御可能だが甲児への負荷が増大していく上、終焉の魔神状態より性能が劣る。
また、他に「差異次元のマジンガーZと相互干渉し合う機能」を搭載していた可能性が示唆されており、それが甲児の支えとなって彼の窮地を救っている。
更に、「終焉の魔神」を消し去るための最後の戦いにおいては、甲児は自らの力で、ある特別な光子力エンジンを導入。人々の意志と干渉し合い、誰にも予想もできなかった奇跡を起こしている。
アルテミスA
アフロダイAとビューナスAのパーツをかけ合わせ、もりもり・のっそり・せわしの三博士が開発した、弓さやかの専用機。
特筆すべきはその操縦系統であり、パイロットの思考・意志をダイレクトに伝えることで甲児に匹敵する操縦ポテンシャルを発揮できる。
そのために開発されたのが前述したパイロットスーツなのだが、どう考えても欲望剥き出しなデザインになっている。
グレートマジンガー
「VS暗黒大将軍」より登場する、兜剣造の開発した新たなマジンガー。
マジンガーZの魔神化を再発させないため、マジンガーZに代わって戦うマジンガーとして開発された。
「Zの魂から、Zを超えるために生まれた」マジンガーであり、事実として、終焉の魔神がマジンガーZEROを名乗って以降は、常にグレートがその前に立ちはだかっている。
当初のグレートマジンガーは、上記魔神パワーのうち、自己再生・吸収・強化・変態を標準装備している(その後の世界にも反映されているかは不明)。剣造博士もとんでもない天才だったことが伺える仕様。
新装甲・超合金ニューZは、光子力によって自在に変形する特性を持ち合わせており、ドリルプレッシャーパンチやニーインパルスキックなどは、もはや四肢の概念を逸脱した超変形を見せる。
ミネルバをして「全身が鋭利な武器そのもの」と言わしめるほどの、絶大な戦闘能力を有するが、その強すぎる力が裏目に出てしまい、マジンガーZを刺激し魔神パワーの発動を誘発してしまう。
また、更なる秘密があるようで…
登場人物
兜甲児
ご存じマジンガーZのパイロットにして、本作の主人公。
性格は初代よろしく天然ボケでお調子者だが、超合金Zのように強靱な精神力とファイティングスピリッツを持ったダイナミック男児である。
全人類の希望として、Dr.ヘルの圧倒的な暴威を前に、敢然と立ち向かっていく。
実は過去の大戦で、死亡したことになっているのだが……?
ミネルバX
本作のもう1人の主人公。物語の狂言回し的な立ち位置となっている。
人間の女性そのものの姿をしたアンドロイド(全長も人間大)だが、その大元は十蔵が開発した過去に情報を送ることのできる光子加速器である。
余命わずかな十蔵は彼女を利用し、命尽きる瞬間までの研究結果を過去の自分に何度と送り続け、マジンガーZを完成させることに成功した。
マジンガーZのサポート端末として独立させられた彼女は、マジンガーZの暴走を食い止めるべく、無限に近い時を繰り返している。
TVアニメ版「マジンガーZ」に登場した、同名のロボットがモデルで、姿もそれに似せたものになっている。
弓さやか
本作のヒロイン。紆余曲折を経て、甲児と恋人関係になる。
本作では新ロボット・アルテミスAに搭乗するのだが、そのパイロットスーツはこりゃまたけっこうな出来。
(デザイン自体は「マジンサーガ」に登場したものが原型となっている)
兜十蔵
マジンガーZを開発した、兜甲児のおじいちゃん。
本来は冷酷なマッドサイエンティストであり、変態的な性的倒錯者とも言われている。
その有り余る才能を発揮し、ミネルバとマジンガーZを開発、世界に喧嘩を売り支配してみせた。
しかし、ある世界におけるDr.ヘルとの遭遇や、それに伴う兜甲児のマジンガーZ搭乗によって、心境が大きく変化。
甲児に肉親の情を覚え、彼をあらゆる敵から守り抜けるよう、魔神パワーの根幹のシステムを開発する。
このシステムは他の世界に渡った際に歪められ、「終焉の魔神」を呼び醒ます装置となってしまった。
剣鉄也
「VS暗黒大将軍」から本格登場。ミネルバが体感した時間軸でも一度だけ存在が確認されていた、グレートマジンガーのテストパイロットである。
「戦闘のプロ」を自称しており、アマチュアの甲児を挑発するなど、一見嫌味な性格にも見える人物。しかしそのプロ意識は本物であり、自分の命を懸けてでも任務を忠実に実行しようとする男である。独自の美学を持った戦闘狂とも言える。
ミケーネ帝国の出現に合わせ、そのまま正式パイロットへと就任。戦闘獣を圧倒し、暗黒大将軍と互角に戦うなど、プロとしての自負に恥じない技量を見せつけた。
甲児は他の世界において、彼と何度か鉢合わせており、その度に犬猿の仲となっているようだが……?
宇門大介
僅かだが、「VS暗黒大将軍」に登場。別世界から宇宙の王者と呼ばれる、謎のスーパーロボットに乗って現れた青年である。
甲児と協力し地球を守ることを申し出るのだが、そのあまりにも強すぎる力は、即座に「終焉の魔神」覚醒に繋がりかねないものであり、首を縦に振られることはなかった。
上述した通り、本作の世界には存在しなかったはずの人物であり、彼の操るロボットの名前も、曖昧にしか明かされていない。
最後まで物語に関与できなかった彼の存在が、何故示唆される必要があったのか? それはこの物語を、最後まで読み解くことで明らかになる。
Dr.ヘル
世界征服を目論む悪の科学者。
本作では過去に類を見ないほどの超人と化しており、
地球人口50億の虐殺・日本以外の国家の事実上完全制圧・インチキじみた巨大兵器ゴードンヘルの開発など、凄まじい成果を上げている。
本人の身体もサイボーグ改造が施されており、鍛え上げられた機械道空手は、それだけで相当な脅威と化す。
夢はでっかく「世界征服」。彼が語る「世界」とは地球全土という意味ではなく「全宇宙」を指す。宇宙の果てまで勢力を伸ばしてこそ、真に「世界征服」が達成できるのだという。
暗黒大将軍
「VS暗黒大将軍」から登場。ミケーネ帝国の七大軍団を率いる総大将である。
何者かを復活させる儀式のため、マジンガーZを捕獲しようとする。
あまりに強すぎるが故に自分を満足させるライバルの存在に飢えており、グレートマジンガーと対峙した時には、鉄也とは対照的に我を忘れてしまっていた。
闇の帝王
「VS暗黒大将軍」から登場。ミケーネ帝国を統べる王である。
暗黒大将軍らを指揮していた張本人で、マジンガーZの力に目をつけ捕獲しようとしている。
実は本作の世界には、元は存在すらしていなかったはずの人物であり、甲児の取った行動が原因で、彼とミケーネ七大軍団が出現・蜂起する結果を招いてしまった。
現代に生きていた甲児が、何故過去のミケーネ帝国の成り立ちに関与していたのか? その理由となる鍵は、ある意外な人物が握っている。