概要
永井豪が1990から1992年にかけて週刊ヤングジャンプ等で発表したマジンガーシリーズの一つ。現在でも未完。
作者によると「あまりにも精神的にエネルギーを費やす作品となってしまい、途中で筆を置かざるを得なかった」とのこと。
マジンガーシリーズでも極めて異例のマジンガー自体がロボットではない事である。・・・え?バイオレンスジャックの鉄の城編がある?あれは無かった事にゴニョゴニョ
今作のマジンガーは正確には劇中では「マジンガー」とは呼ばれておらず「超精神物質Z」と呼ばれるマジンガーの頭部と酷似したものを兜甲児が被る事によって変身する蒼い魔神・Zである。
原作のマジンガーZが「甲児が乗るパイルダーでマジンガーにドッキング(パイルダーオン)」とは逆ということになる。
デザインはマジンガーZよりはグレートマジンガーに近い。
※なお、この前年。永井豪氏がアメリカ・トレヴィル社の「First Publishing」1988年12月号で発表した「MAZINGER U.S.A. Version」にも、巨大ロボットのZが登場しているが、本作のZに極めて似たデザインになっている。サーガにおけるZのデザインの原型は、このUSA版と思われ、後にマジンカイザーとして昇華されていく。
劇中、甲児が怒りに任せ感情が暴走したせいで第三次世界大戦勃発の引き金となり地球は壊滅状態になった。その際の姿はまさに悪魔の如き形相の魔神そのものであった。
つまり、このZは「精神力・感情の強さ=Zの強さ」となる為、甲児が自身が無敵の魔神と自覚すればするほど強くなっていくわけである。
中身は人間である為当然血を流すが、これすらもZの強さを自認すれば克服できる。当然ロボットなどでは無いので涙も流す。
サイズも等身大から巨大化も自在。名称は無いが、ロケットパンチやブレストファイヤーとほぼ同じ技も使える為まさにマジンガーである。
とはいえ、劇中でもその能力はあくまでも一部でありまだまだ未知数である。
掲載誌が青年誌である事から永井作品でお馴染みのバイオレンスとエロスがダイナミックに描かれており、中にはバイオレンスジャック、デビルマンに匹敵する描写も多い(特に最初は恋人を不良グループに薬漬け+レイプされ、挙句、寝取られた様を直接見せられるというえげつない展開。しかも、これが甲児の怒りによる暴走と第三次世界大戦による地球崩壊の直接原因)。
ちなみに今作品の甲児は寝る時はすっぽんぽん派だったりする。
執筆にあたってはかつてデビルマンの方に力を注いでしまった為にもう一度マジンガーをこの手で描きたいと意欲を持って取り組んだものの、冒頭にも書かれているように、執筆に注ぐパワーが想像以上にかかりすぎてしまった為、未完となった(今作に限らず永井氏が手がけたマジンガー作品は大概未完なのだが)。
「マジンガーZ」「グレートマジンガー」「UFOロボグレンダイザー」が物語のベースになっている他に「デビルマン」も採り入れる予定があり、実際、地獄門の超物質Xで作り出したデビルマンの頭部を模した鎧「デビルマンX」が本編の最後に登場し、その姿を現わしている。
そりゃ、話が大きくなりすぎるし、精神的にも疲れちゃうよね……。
超精神物質Z
兜十蔵が自身の命を削って製作した金属生命体ともいえる物質。通常は頭部のみの状態で、甲児が被ることで全身に鎧のようなものが出現する。このZは、甲児の為に作られた物であるため、本人しか装着することができない。
体内のチャクラをコントロールすることでその力を引き出すことができ、7つすべてが解放されると本来の力を発揮することができる。初期はZに宿っていた十蔵のサポートがあったが火星到着後はいなくなってしまったため、甲児の力のみで戦わなければならなくなった。そのため現時点では本来の能力を発揮しきれていない。
自己修復(装着者含む)や自己進化を行うことができ、第三次世界大戦の引き金を聞いてしまった際には一時的に悪魔のような進化をしている。また、自己再生能力を応用し、装着者の解毒を行うことができ、そこから血清を作り出すことも可能である。
Zの能力
- ロケットパンチ(仮称):甲児が「腕だけでも飛んでいけばいいのに」と思ったことからその能力が発現した。
仮称としたのは、劇中では呼ばれていないからである。使われたのは一回だけで、以下も同様。
- ルストハリケーン(仮称)
- ブレストファイヤー(仮称)
これらは以降使われる事は無かった。一説ではファンサービス目的だったらしい。
- 剣:腰に着けている剣で、これもZの一部である。この武器に関しては何度か使用している。
- 巨大化:今作の「Z」は基本的には等身大である。その為、戦闘では巨大化するのが正確。火星市民には能力のことは秘密にしており、巨大ロボと言うことになっている様子。
登場人物
主人公側
父親・十蔵から超精神物質Zの兜を受け継ぎ、Zとなる。本作では、「最強の力を手に入れ、肉体と同化」というところから、立場的にはデビルマンの不動明、魔王ダンテの宇津木涼に近い。性格は他の触媒の甲児と異なり、かなり大人しめ。しかし正義を貫く芯の強さは他の甲児と変わりない。
火星総統・弓博士の娘。性格自体はオリジナルとそう変わりない。ヒューマノイドタイプのロボット「アフロダイA」のパイロットとして、火星にてヘルと戦っている。アフロダイAのパイロットスーツはトレースシステムのためとはいえ、色々と危ないデザインである。
本作では甲児の父親。その外観も穏やかなそれになっており、性格も温和。超精神物質Zの製作後、身体が消滅し一時的にZに魂が宿るが、火星到着時に意思が消滅してしまう。火星到着までは甲児のサポートをしつつ、Zの扱い方をレクチャーしていた。
西暦2120年の火星総統。生体機械獣との戦闘指揮を取っている。
火星の小規模コロニー・ビストリカ村の生き残り。甲児に助けられ、義兄弟になる。
- ボース・ベンソン(ボス)
火星軍二等兵。Zの強さに心酔し、ともに戦う事を志願。
- カルロス・ムーチャ(ムチャ)
火星軍二等兵。ボスとともに甲児の部下になる。
- グスタフ・ヌケ(ヌケ)
火星軍二等兵ボス、ムチャ同様にFUJI市出身。二人とともに甲児の部下に。
火星軍育成基地所属の女性兵士。甲児の戦士としての資質を見抜く。
火星軍青龍基地の中尉。Zの秘密を知る軍人の一人で、甲児を戦士として鍛える。
火星軍紅蓮コンドル隊の隊長を務める空軍大尉。しかしその正体は…。
敵側
先史火星文明の遺産「地獄門」の謎を解明し、自ら神を名乗る科学者。かつては人間であったが、現在は莫大な生体エネルギーを持つアストラル体(外観は、人面が浮かぶ巨大な炎の塊)と化している。火星先住人類の霊魂を操作し、自身の幹部たちを創造。生体機械獣を率いて火星に入植した人類を駆逐せんと企んでいる。
本作におけるドクターヘルであるが、同時にグレートにおけるミケーネの「闇の帝王」(および「魔王ダンテ」の「神」)の立場も兼ねており、それらの設定や能力・外観も受け継いでいる。
ヘルの幹部。本作では「頭部の前後」に別人格を供えた男性顔・女性顔を持つ姿を有しており、状況に応じて使い分けている。ちなみに身体も男女別に変化する。
ヘルの幹部。逞しい男性体の巨人の胴体を持ち、その頭部に華奢な女性体の上半身を有した姿を持つ。こちらも悪醜羅と同様に男性と女性の人格を持ち、状況により入れ替える。元ネタもかなりアブナイ設定だったが、こちらはもはや18禁方面でアブナイ。
ヘルの幹部。10体の首なしボディと、100人分の頭脳を併せ持つ巨大な首とで構成されているサイボーグ。超能力による精神波攻撃を得意とする。そのため、能力・ビジュアルは「デビルマン」に登場したデーモン・サイコジェニーに近い(さらには専用の生体機械獣に、サイコジェニーを開発している)。
ヘルの幹部。諜報を得意とする。半人半獣のボディを有し、人工生命体ガミュラを開発。甲児の暗殺を企てる。
余談
少なくとも現在アニメ化こそされていないが、メガドライブでゲーム化自体はされている。
関連タグ
マジンカイザー : マジンサーガのZとデザイン等が似通っている。
マジンガーZERO : こちらはむしろ破壊の権化と化したZに似ている。
デビルマンサーガ : なんとこちらも生身の人間が鎧を纏う事で変身する。