概要
ぼくらマガジン版
高校生・宇津木涼は登山中、氷に閉じ込められていた巨大な悪魔・魔王ダンテを復活させるが、その餌食とされる。しかしそれに対する涼の怒りは凄まじく、逆にダンテの体を乗っ取ってしまう。平凡な生活に戻り、自身の存在に悩む涼だが、現代社会に隠れ住む悪魔を虐げる、神の教えを守る者たちへ疑問を持つようになる。
そして悪魔メドッサによって、悪魔と呼ばれるものたちの事実を知らされる。超古代、恐竜の生息する地球で平和に繁栄していた先住人類の街ソドム(ソドムとゴモラに由来)に、宇宙から「神」と名乗る不定形エネルギー生命体が飛来、自分たちの入れ物としての人間の肉体を要求した。そしてそれを断った先住人類に対し、「神」はその分身である牛頭馬頭などに人間の五体をバラバラにして生かす等活地獄など、あらゆる地獄を発生させて人類を殺戮する。それに対抗した科学者・ダンテは自分が発明した飛行兵器で神に挑もうとするが、「神」の分身、そして偶然居合わせた翼竜、ティラノサウルスに襲われ、死にかかるが「神」を倒すまでは死ねないという怒りが、兵器、「神」(←えっ?)、翼竜・ティラノサウルスなどと合体し巨大な悪魔「ダンテ」が誕生する。そして同様の合体現象が次々と起こり、悪魔が続々と誕生。神は方法を変え、ゴモラを洪水で滅ぼし、世界各地に棲息していた類人猿に分散寄生し、彼らを現在の人類として進化させ、「神」の敵として「悪魔」を殺し続けてきたのだ。
しかし現代、既に神はその記憶と共に力の大部分を失い、悪魔のほうが優勢となっていた。記憶を取り戻したダンテ=涼のもとに、続々と生き残っていた悪魔たちが集結してくる。自分たちの敵である「神」=人類を滅ぼす時機が来たのだ。ダンテは世界中の悪魔に向かって叫んだ。「来い、魔王ダンテと共に!!」。(未完)
地獄のコキュートスに凍っていたデビルマン世界での魔王ゼノンは顔の一部が地上にビーストとして分離活動していた。そのビースト軍団に誘惑された宇津木涼は地獄門を通り地獄で魔王ゼノンの肉体と合体、魔王ダンテとして地上に出現。当初はゼノンの意識を抑え込んで自我を保っていたダンテだが、最終的にはゼノンの意識の中に溶け込む。その後分離していたビーストと合体し魔王ゼノンとして復活する。
月刊マガジンZ版
ぼくらマガジン版をベースにして、サタンなど、後に悪魔となるダンテの友人たちのキャラクターが増えたほか、ダンテの妹が登場。転生後も涼の妹となり、神の側についた彼女との宿命的戦いがテーマとなる。最終決戦にいたり完結、ハッピーエンドともバッドエンドとも取れる終わり方になっている。
登場キャラクター
共通の主要人物
共通の悪魔側人物
主要サタニスト
共通の神側人物
共通のその他の人物
平成版の主要人物
平成版の悪魔側人物
平成版の神側人物
アニメ版のみの登場人物
アニメ版の神側人物
悪魔四天王
レディー版のみの登場人物
キャラクターとしての「魔王ダンテ」
全長約35m、体重約50t。しかし、200m近くまで巨大化が可能。
全身が黒い剛毛に覆われ、腕は翼となっており、力強く飛行する事が可能。
手の先には人間と同様の五指が存在し、物を掴める。足には鋭い鉤爪がある。
長く伸びた尾は、剛毛の代わりに鱗に覆われ、先端が三叉に。これらの巨体と怪力、尻尾での殴打は非常に強力。
頭部には三本の角が生え、ここから破壊光線を発射する。
最大の特徴は、頭部の顔の中に、もう一つの顔が存在する事(人面の上半分のみが、顔の中心部に位置している)。
当初はイスカリオテのユダの顔だったが、復活直後に食われた宇津木涼が肉体を乗っ取った後には、本来の肉体の持ち主である涼の顔となる。
魔王ダンテがこのような姿で誕生したのは、紀元前百万年前の、高度な文明を築いていた先住人類のダンテが、神に戦いを挑んだ時に由来する。
神のエネルギー攻撃の中、ダンテが搭乗していた飛行兵器に、それを恐竜(ティラノサウルス)と翼竜が襲撃した。
「兵器」と「恐竜」と「翼竜」、そして「ダンテ自身」。これらが、ダンテの「神を殺すまでは死ねない」という怒りと憎しみの念により、すべてが合体。その結果、この魔王ダンテが誕生したのだ。
アニメ
永井自身によるリメイク版を基にAT-Xで著名作家シリーズとして2002年8月から11月まで全13話が放送された。シリーズ構成は上原正三。アニメーション制作はマジックバス。
主題歌
オープニングテーマ
「Release your mind」
作詞 - KAJI KATSURA / 作曲 - 元倉宏 / 編曲 - AMAZeus / 歌 - 関智一
エンディングテーマ
「heal」
作詞・作曲・歌 - 黒木明日香 / 編曲 - ASUKA Project
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 悪夢 |
第2話 | 儀式 |
第3話 | 復活 |
第4話 | 狂乱 |
第5話 | 宿命 |
第6話 | 予兆 |
第7話 | 邂逅 |
第8話 | 不信 |
第9話 | 魔宮 |
第10話 | 神略 |
第11話 | 沙織 |
第12話 | 窮地 |
第13話 | 終焉 |
余談
- 元は、永井豪の「怪獣映画の、立場を変えたような作品」というところから本作が生まれた。ダンテが街中を暴れまわるシーンは、悪魔というより怪獣に近い。
- 本作は平成になってアニメ化されたが、連載当時からアニメ化が企画されていた。しかし企画が進行するにつれ、内容の変更が行われる。その結果生まれたのが、アニメ「デビルマン」である。
- 魔王ダンテの顔の真ん中に、宇津木涼の顔が存在し、ダンテの巨大な肉体を操っている点は、後の「マジンガーZ」に影響を与えたと、永井豪は後年に発言している。
- 実際、「巨大で強大な力を持つ存在の頭部に人間が位置し、操る」点は、マジンガーZのパイルダーオンに通じる。また、ダンテの口元の形状も、マジンガーZの口部分の格子状パーツに継承されている。これらの影響の大きさを表したのか、「真マジンガー」劇中でマジンガーZが、僅かな時間だがシルエットのみ、この魔王ダンテの姿になったシーンが存在する。