数千万円~数億円単位の資金を必要とする映画やアニメなどの製作に際し、複数の企業が金を出し合い、出資比率に応じて利益の分配を行う仕組み。いわゆるリスク回避の方法の一つ。
アニメや映画の製作には当然のことだが、大量の資金を必要とする。
1社(またはグループ会社)で資金をポンッと出して製作しその作品が大ヒットすれば、利益をほとんど独占できるが、もしその作品が失敗した場合、最悪の場合会社が倒産してしまう。
そのような事態を防いで万が一の痛みを減らすのがこの製作委員会方式なのだ。
仕組み
まずは主導権を握る、大口のスポンサー企業が複数の企業に対し「利益が出たら儲けを山分けするから金出してくれない?」と出資を依頼し、製作資金を調達。作品が流通経路に乗り、販売で儲けが出るとその利益を出資比率に応じて分配する。
スポンサーから見れば一つの作品に対する負担が小さく、複数の作品に出資できるので万が一出資した作品のどれかが失敗しても他のヒット作品に出資していれば痛みを小さくできるメリットがある。
主に出資するのは
- テレビ局(放送事業者)
- 制作プロダクション(アニメ制作会社)
などで、相当の巨額を要するため、よほどの財力がないと個人では出資できない。それについては後述する。
近年の(キー局・TOKYO MXおよびBSデジタル放送における)深夜アニメの増加はこの製作委員会方式によるところが大きい。
エンディングのスタッフクレジットを見ているとテレビ東京、TBS、フジテレビ、毎日放送(MBS)、朝日放送(ABC)などが名前を連ねていることが多い。
特に今まで放送局が製作にあまり関与してこなかったUHFアニメではBS11やBSフジも積極的な姿勢をとっており、MBSやABCなどのプロデューサーも製作委員会に参加したりすることもある。
『ふらいんぐうぃっち』においては、地元のよしみ?からか青森放送(RAB)も製作委員会に参加するようになったが、地方の民放がアニメの製作委員会に参加するケースはもしかしたら史上初?では。
出資
製作委員会は法律上『任意組合』として扱われ『組合員』である出資スポンサーは無限責任を負う。無限責任とはもしその作品が興行的に失敗し、赤字となった場合にその赤字の補填のためにスポンサーに対しさらなる出資を求める。要するに出資した金以上の責任を背負わされる。
そのため、個人の投資家や銀行などの金融機関が参加しにくく、出資元がなかなか広げられない。
なので、最近では失敗しても出資金額以上の責任を問われない有限責任方式が採られる『特別目的会社』や『有限責任事業組合』を利用して作品製作のための会社を設立する例もある。
この場合であれば出資スポンサーは有限責任が保障され、損失補填のための追加出資を求められないので個人投資家や金融機関でも参加しやすく、出資者の多様化なども期待できる。
名称
基本的に「プロジェクト○○」や「○○制作委員会」のようなシンプルな名前が付けられるが、作品によってはその作品にちなんだ、個性的な名称をつけることがある(アニメ『ゆゆ式』の『ゆゆ式情報処理部』や『けいおん!』の『桜高軽音部』、『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』の『流川市ふるさと振興課』など)。