概要
主人公のジョン・プレストンもその一名として活動している特殊捜査官「グラマトン・クラリック」たちが用いる、銃を用いた戦闘術。
専用拳銃クラリック・ガンを両手に持ち(二挺拳銃)、「統計学的に有利な位置」に立ち回りながら射撃・打突を駆使し絶え間の無い攻撃を繰り出す。
習得すれば攻撃能力は120%UP、たとえ向上がその半分以下だとしても敵にとっては脅威となる。習熟した「第1級クラリック」(主人公プレストンもその一人)ともなれば、その戦闘能力は計り知れないものになる。
基本的にはクラリック・ガン二挺拳銃を用いた銃撃に因る近接戦闘を想定しているが、刀(形状は打刀)を用いた剣術(日本の剣術がモデルの様で、稽古では道着や面や籠手と言った防具や竹刀を用いる)や、舞の様な徒手格闘、クラリック・ガン同士をフェンシングの如く素早く打ち合わせ、敵の銃口と銃撃を払う近接格闘(対ガン=カタ使いを想定した戦闘法)も行う。「ガン=カタの達人」と言える「第1級クラリック」ならば、クラリック・ガンの銃身を持ち、マガジン底を敵に叩きつける戦法のみで、アサルトライフルを装備した複数の一般兵を一人で倒す事が出来る。また、敵の銃を奪い取って使用する事もある(劇中でプレストンは自身に突きつけられたショットガンを奪い取り、その相手を返り討ちにしている)。因みに主人公プレストンが逆手持ちで刀を振るっているのは、監督曰く「座頭市」の影響とのこと。
そのネーミングは原作表記”Gun Kata”のとおり、「銃(Gun)」と、東洋武術の「型(Kata)」のミックスとも云われており、実際に劇中での型稽古には「残心」らしき動作が見られるなど、東洋武術の様式が多く取り入れられている。
なお、世界観は違うが監督を同じくする映画『ウルトラヴァイオレット』にもこのガン=カタが登場する。本作では主人公が女性という事もあり、バレエ等の踊りの要素を加え、より流れる様な動きを目指したガン=カタ「Gun Kata2.0」が用いられた。
ウルトラヴァイオレットでは一対多の戦闘の際に相手の射線を誘導することで同士討ちを誘発させるといったことも行なわれている。
影響
これによって描かれた「二挺拳銃を用いた一対多の近接戦闘」というガンアクションシーンは非常に鮮やかで見栄えも良い。本来的に遠距離武器のはずの銃を「格闘のための近接武器」として表現したアイディアは実に独創的であった。ラストバトルとなるガン=カタ使い同士の決闘シーンも、不思議な迫力を醸し出している。
ガン=カタが描写されるシーンは本編映画106分のうち10分に満たないが、「リベリオンといえばガン=カタ」と言っても過言でないほどの強い印象を視聴者たちに与えた。
そのため後のゲームやアニメ・特撮等、ガンアクションが登場する創作に影響を受けたと思しき作品は多い。
裏事情やその他の話
元々は「銃撃戦で迫力ある映像が撮りづらい」といった理由から新たなアクションを考案する必要があったことから生まれた。
『マトリックス』の様な映像編集技術やCGを駆使する方法もあったが、低予算の『リベリオン』ではそれは不可能な話であり、そのために考案されたのが東洋武術の“捌き”などの技法を取り入れたこの「ガン=カタ」である。
残念ながら『リベリオン』は本場アメリカではセールスに恵まれず、日本での公開も一部の映画館による細々としたものに留まったが、そのハッタリの利いた設定や時代劇の殺陣を思わせる美しい動き、そして二挺拳銃や武術ネタが、幾多の日本のアクション映画ファンの心を捉えて離さず、『特捜戦隊デカレンジャー』に於いてデカレッドが使用する銃撃ジュウクンドー、ガスドリンカーズのボスが繰り出すジャアクンドーとして採用され、虚淵玄が滾る熱を抑えきれずに同人作品を作ったりとカルト的な熱狂を誇る設定となった。また、ガン=カタをモチーフとしたファイティングスタイルを取るゲームキャラも見られるようになった。
また、彼が脚本を担当した魔法少女まどか☆マギカでは登場人物の巴マミと暁美ほむらがよく似た戦い方をしており、続編の叛逆の物語でこの二人が衝突したことで、ガン=カタとしか言いようが無い戦いが繰り広げられた。
戦姫絶唱シンフォギアGにおいては登場人物の雪音クリスが『リベリオン』に影響され、ガン=カタを使うという話がある。
今では当時の熱狂は薄れたが、二挺拳銃の使い方のテンプレートの一つとして定着した感があり、時折ガン=カタに近いアクション・設定が昨今でも散見されることがある。