概要
その名の通りビームサーベルやビームライフル等と同様にメガ粒子ビームを楯状に展開した防御兵器。
宇宙世紀123年に運用された、クロスボーン・バンガード所属のモビルスーツに搭載され、当時の地球連邦軍の主力機種であったジェガンに対して、防御力の面で(も)圧倒的な性能差を見せつけた。
更にIフィールド・ビームバリアに対しても多数のアドバンテージを有していたことから、以降のMSの主力兵装として急速に普及し、『基本装備』と言えるまでに至った。
その後、木星戦役の時代において、それまでは理論上でのみ可能とされていた大気圏突入時の大気摩擦の減衰を、クロスボーンガンダムX1のパイロット、キンケドゥ・ナウがとっさの判断で敢行し、成功。実戦で初めて実証させた。(しかも、その時は事前の戦闘で機体が損傷しており、ビームサーベルで貫かれてコックピット部に風穴が開いていて、パイロットは右腕を失っている状態だった。)
これをもって宇宙世紀150年代には巡洋艦や戦艦の艦首に、艦砲射撃に対する防御と大気圏突入の用途を目的として、新造艦は当然ながら、ラー・カイラム級、果てはサラミス改級の旧型艦にさえ近代化改修として増設される事となり、更には民間用のスペースシャトルにすらデブリからの機体保護用に装備されるほど、一般的な装備となった。
実体盾と比較した場合のメリットとデメリット
メリット
- ビームで形成されているので重量が無く機体の総重量の軽減に繋がる。特にシールド不要時における、デッドウェイトがゼロ化する。
- エネルギーが無くならない限り、攻撃を何度受けても破損しない(ビームを吹き飛ばされても再度ビームを張り直すだけ)。
- 発生機を調節して、防御面積・耐久力を変化させることが出来る。
- シールドを形成しているビームはビームライフルやビームサーベルで発生させるメガ粒子と同質のため、接近戦における武装としても使用可能。ゾロアットなどの機種は、最初から攻防両方に利用する事を目的とした形状となっている。
- 複数重ねることで(複数機の出力を統合することで)、メガバズーカランチャーのように大型のビーム砲の砲撃を耐え凌ぐことが可能になる。
デメリット
- エネルギー浪費が激しく、機体に一定以上の余剰出力が必要となる(専用の動力源を用意する場合は別)。ただし、ウェイトを減量できる分、推進剤に割いていた機体容積を他の機能に振り分ける事ができる。また、パイロットの技量によっては使用頻度を減らせるため、一概に稼働時間の低下にはつながらない。
- (一般的に中心部に設置されている)発生機が破壊されると、機能が消失する。ただし、発生機の面積自体はシールドに対して小さく、可能性は低い。
- シールドその物が常に発光しているので、隠密性に欠ける。特に宇宙空間では顕著。
- 理論上、耐ビームコーティングされた実体兵器は防げない。しかしながら、耐ビームコーティングの効果は数秒間レベルのため、これが致命傷となる可能性は低い。
- ビームの放出量が多い為電磁波障害が大きく、長時間使用すればセンサーなどへダメージを与える。このため偵察用MSであるダギ・イルスやエビル・Sでは不採用となっている。
- 一部の大型実体盾の様にウェポンラックやサブフライトシステムへの転用が出来ない。最もそれらは事実上防御に使用できない(使ってはいけない)、マルチオプション扱いとなっている事が多い。
Iフィールド(によるビームバリア)と比較した場合のメリットとデメリット
メリット
- 必要となる機体の余剰出力が小さく済むため(というよりも、Iフィールドに必要な出力が莫大すぎる)、他の武装にジェネレーター出力を振り分け、継戦能力の向上が可能。
- ビーム以外の実弾や大気摩擦熱なども防ぐことができる。特に、宇宙世紀120年代以降の小型・高出力ミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉は、ビームの直撃を受けた場合に甚大な核爆発を起こすため、近接戦闘で敵機を撃破した際の機体保護の面で重要となる(ラフレシアは、防御をIフィールドのみに頼っていたため、[ビギナ・ギナ]]のジェネレーターの誘爆により花弁を失い、劣勢にもちこまれた)。
- シールドを形成しているビームはビームライフルやビームサーベルで発生させるメガ粒子と同質のため、接近戦における武装としても使用可能。ゾロアットなどの機種は、最初から攻防両方に利用する事を目的とした形状となっている。
デメリット
- 防御範囲や方向が限られ、基本的に正面方向以外からの攻撃には対応できない。
- シールドその物が常に発光しているので、隠密性に欠ける。特に宇宙空間では顕著。(Iフィールドは被弾時に僅かに反応が有る程度。)
- 戦艦の主砲やメガ・キャノンなど、高出力のメガ粒子砲が直撃した場合、ビームシールドの出力ではビームを相殺しきれず、撃墜に至る事となる。ただし、あらゆるレーダーが無効化されるミノフスキー粒子下の戦闘において、機動力が最大の武器であるMSがこれら大出力メガ粒子砲の直撃を受ける状況は、パイロットの技量が未熟であるか、あるいは敵パイロットが特殊な才能を有しているなどに限られる。また、時代の経過とともにビームシールド自体の出力も向上しているため、実質的に単純な『防御力』のディスアドバンテージは縮まっている。