概要
オーブ軍初の制式主力MS。地球連合軍のオーブ侵攻の際には圧倒的な戦力差の中で善戦し、機体性能の高さを示している。クサナギにいくつか艦載されている。
「M1」とは量産型MS第1号であることを示す「Model 1」の略称。
M1アストレイはMBF-P01〜05「ガンダムアストレイ(P0シリーズ)」の制式量産型である。P0シリーズはモルゲンレーテ社がオーブ政府からの委託を受け、自国防衛用に試作したオーブ軍初のMSであった。ヘリオポリスで極秘裏に開発され高い性能を示したP0シリーズであるが、その制式化・戦力化にあたっては量産性を考慮した再設計が必要であった。そこで相応の簡略化、集団戦闘・邀撃専用機としての機能限定が図られ誕生したのが本機M1であり、P0シリーズやG兵器の開発データを翻案しオーブ本国オノゴロ島で開発製造された。
再設計の要点は、生産性の妨げとなる要素や集団戦闘で重要性の薄い機構・武装の省略である。具体的にはオプション交換機能の省略・フレーム及び各部第1装甲の可動箇所の減少及び装甲形状単純化・P0シリーズには及ばない敏捷性を補うための被装甲箇所の若干の拡大・センサー機能のダウングレード等である。
また携帯火器も基本的銃撃・斬撃兵装に限られた。P0シリーズよりも機体構造が簡略化された分、信頼性や整備性にも優れるとされている。また機体そのものはC.E.71年1月末に既に完成し量産が開始されていたが、操縦に必要なナチュラル用OSの完成は同年3月25日、キラ・ヤマトの協力を待たねばならなかった。これにより制式化・就役後間もなく、ろくに組織的訓練や実働テストもせず初陣を迎えてしまったため、その当時実力は未知数であった。
一方、“高い機動性により敵の攻撃を回避する”と言うコンセプトは踏襲されオプション運用の前提を廃した事でむしろ特化された機体構造を有する。構造材及び装甲材にはP0シリーズと同様に無重力空間で冶金精錬され高い強度と軽量性を備える発泡金属を採用、各部の装甲厚節約及び無装甲化とあいまってP0シリーズよりは3.7t重いものの、地球連合軍でカウンターパートとなるストライクダガーよりも1.81tの軽量化に成功している。
胴部背面・肩部後面・前腕部腹面・大腿部側面後面・脛部全周はP0シリーズ同様あえて無装甲でありフレームが剥き出しとなっている。
背部にはGAT-X105 ストライクガンダムの「エールストライカー」を参考に設計・開発されたスタビライザー状のスラスターを固定装備している。このスラスターは推力・敏捷性の両面に優れ、1G下においても短時間の飛行が可能。
また、その機動力とスタンダードな携行武器によって戦域・戦況を選ばない高い汎用性を実現している。
このバックパックはロウ・ギュールによりレッドフレーム用に改修され、フライトユニットして使用されている。
その優れた機動性により同時期に開発されたMSの中では中近距離戦闘における戦闘能力が高く、同数の敵なら圧倒する事が可能。性能はジンやストライクダガーとほぼ同じで、大差は無い。
後にジャンク屋組合によって本機のパーツを流用したレイスタが販売されている
フレームが赤い理由
本機のフレームは赤いカラーリングとなっている。
これはレッドフレームに試作タイプのナチュラル用OSが搭載されていたことにちなみ、オーブ軍がナチュラル用の機体として赤を制定したことによるものである。
武装
75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
頭部に2門装備されたCIWS。G兵器と同一のもので特に性能差は無いが、PS装甲を持たないM1アストレイにとってミサイル等の実体弾は脅威であり、重要性はG兵器のそれを遥かに上回ると言える。
しかし劇中ではM1アストレイはストライクダガーの相手をする事が多く、対空防御には使われなかった。
71式ビームライフル
M1アストレイ用のビームライフル。機体同様に軽量に製作されており、取り回しに優れている。威力や連射性能等はストライク用のビームライフルと同等。
なお、両側面の中央には、シールド裏とバックパックの左テールスラスターにある穴状のラッチと接続できる収納式固定バーがあり、2つを挟んでマウントし両手をフリーにして行動することも可能。
70式ビームサーベル
バックパックに予備と合わせて2本装備されているビームサーベル。ライフルよりも早く、前年度に制式化されている。ライフルと同じく攻撃力はストライクのものと殆ど変わらないが、出力調整によって変えられる刀身の長さの自由度が他国製のものより高く運用の幅が広い。柄のデザインはアストレイよりもG兵器のものに近い。
対ビームシールド
対ビームコーティングを施した盾。プロトタイプに位置付けられる機体(P0シリーズやデュエル、ストライクなどのG兵器)のものと同規格である。
対艦刀
統合兵装ストライカーパックであるI.W.S.P.に採用されている近接格闘兵器の一つ。I.W.S.P.は、本来P.M.P社が開発したものであったが、その技術を入手したモルゲンレーテがストライクルージュの装備として採用。試験運用を重ねる中で、実体剣を持たないM1アストレイに本装備が採用されることになった。腰部サイドアーマーに専用マウントを追加して装備される。本装備を使用した格闘戦術については「拳神」の名で知られるバリー・ホーが組み上げている。
EF-24R シュライク
ヤキン・ドゥーエ戦役終結後開発されたM1アストレイの大気圏内飛行用オプション。
島嶼国家であるオーブ領内の防衛には海上航空戦力が必要不可欠であった為、単体では滞空時間が短いM1アストレイの補助装備として開発された。
MS用の飛行装備としては珍しく、一基の追加スラスターとローター付きの翼を備えており背部スラスターの基部に装着する。M1アストレイ本来の推力に回転翼機の空中機動能力を加える事で、ムラサメには及ばないものの高い飛行能力を獲得した。
シュライクを装備し本格的飛行能力を得たM1アストレイであるが、速度と航続距離が不足しており、既にムラサメが主力となったC.E.73年の戦場では、おもに支援機として運用された。
なお「シュライク (Shrike)」とは英語で「モズ」の意。
プラモデル
『SEED』TVシリーズ放映当時は、ガンプラとしてはコレクションシリーズのみで発売されていたが、HDリマスター版に合わせて完全新規設計で全身フル可動のHG版が発売された。
開発時期が時期なだけに、他の『SEED』ガンプラよりもプロポーション・可動範囲共に優れたキットとなっている。
バリエーション
ジャン専用M1アストレイ
ジャン・キャリーが歌姫の騎士団に参加して以降、愛機として使用した専用のM1アストレイ。左肩に『煌めく凶星J』のパーソナルマークが描かれ、白系統で統一されたカラーリングが最大の特徴。本来その異名と白色は、ジャンにとって連合軍所属時代の辛い過去を象徴する代物であったが、敵への示威効果を期待した本人の希望により敢えて誂えられている。性能は通常のM1アストレイと全く差は無いが、彼の優れた操縦技量により、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で多大な戦果を挙げている。戦後、歌姫の騎士団離脱後も引き続き使用している。
M1Aアストレイ
アメノミハシラ防衛のために開発されたM1アストレイの宇宙戦仕様。局地使用を示すために機体色は青。
元々M1アストレイは地上・宇宙問わず活動出来る汎用機だが、こちらはほぼ完全に宇宙での運用に特化している。スラスターと推進剤の増強によって機動性と活動可能時間を強化、更に脚部を細くする代わりにAMBAC機動補助肢としての機能を向上させ、運動性も高くなっている。地上でも運用不可能ではないが、無重力空間での運用だけを考えられているために脚部が細くなっている影響から重力下で自重を支えられるほどの強度が無く、母艦等への着陸脚程度にしか使えないため、精々ゆっくり歩くのがやっと程度の歩行能力しかない。
武装はM1のビームライフルをロングバレルビームライフルに変更したのみ。
歌姫の騎士団にもクサナギ所属部隊を中心に配備されており、名うてのパイロットたちの専用機が多数登場している。
本編では登場していないが、ゲームやアストレイストーリーなどで何度か登場している。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEEDDESTINY 機動戦士ガンダムSEEDASTRAY