概要
ゲーム「ファイアーエムブレム」シリーズに登場する名称。
神竜の王の名であったり魔道書であったりと位置づけは各作品で異なるが、全て竜に関係する存在であるという共通点がある。
「暗黒竜と光の剣」、「紋章の謎」のナーガ
アカネイア大陸の竜族の中で最も力を持つ神竜族の長で、「神竜王」と呼ばれる。チキは彼の娘。
神話の時代、竜族の退化の予兆を感じ取ったナーガら神竜族の長老達は“種としての滅びの運命を受け入れ、力を捨てて人として生きよ”と竜族に説いた。しかし地竜族を始めプライドを捨てられなかった一部の竜族が人化を拒んでドルーアへと逃亡し、やがて理性を喪って人間を襲い始める。ナーガは人間達を守らんと一族を率いて戦いを挑み、野生化した地竜族をドルーアの地中深くに封印する。しかし、神竜族は竜族としての力を使いすぎた代償としてほぼ全てが死に絶え、ナーガ自身も5000年の寿命を終えて永久の眠りについた。
(愛娘のチキだけは戦うことはなかったが、野生化を憂いたナーガによって封印されている)
アカネイア諸国に伝わる神話では、ナーガが竜族だったことは失伝。人類の守護神として、巨大な男神の姿で描かれている。伝承の大意は「太古の時代、人間を襲った邪悪なる竜に神罰を与えてマムクートに変え、人光輝く剣(神剣ファルシオン)と五つの宝玉が埋め込まれた盾(封印の盾)を授けた」というもの。
神剣ファルシオンはナーガが晩年に地竜族復活の保険として、自らの牙から生み出した武器である。
なお、神竜族そのものを指して「ナーガ族」と呼ぶこともある。
「聖戦の系譜」のナーガ
ユグドラル大陸で信仰されている神、およびその神が授けたとされる魔道書の名称。
神聖魔法ナーガ
ユグドラル大陸の中央に位置する大国・グランベル王国を治めるバーハラ王家に伝わる魔道書。
暗黒魔法ロプトウスに唯一対抗できると言われる光魔法で、バーハラ王家はこの魔法を扱うことができる者を代々王として戴いてきた。王家の始祖である聖者ヘイムの子孫のうち、体に聖痕を持つ者のみが使用できる。
装備すると破格のステータス補正がつき、ロプトウスの特殊効果(相手の攻撃力を半減)を無効にすることができる。
光神ナーガ
ダーナ砦に降臨した十二柱の神のうちの一柱であり、幼い少女の姿をしているといわれている。
十二聖戦士の一人・聖者ヘイムと血の盟約(ゲッシュ)を結び、神聖魔法ナーガを授けたと伝わる。
( → ロプトウスも参照)
十二の神々が人々に与えた武器(ユグドラルでは聖遺物、聖武器、神器などと呼ばれる)には、それぞれの神の力を込めた“竜玉”と呼ばれるオーブがついているが、ヘイムに与えられた魔道書の竜玉は他のものと違い、ナーガの力だけではなくその意志も込められている。
これはユグドラル大陸で万が一ロプトウスが復活した場合、人々を守れるよう正しく導くための保険のようなもので、ナーガの力を受け継いだものは等しくその意志をも受け継いでいる。
「ファイアーエムブレム覚醒」のナーガ
いにしえの時代、世界を破滅から救った竜で「神竜ナーガ」と呼ばれている。イーリス聖王国及びヴァルム大陸では信仰の対象となっている。後世にその封印する力を人間に授けたことで人の姿を借りて現れるが、言い伝えではその姿は男性であったり少女であったりと定まらない。
本作では若い女性の姿をしており、虹の降る山で【覚醒の儀】を行う者の前に現れると資格を試し、その牙から生まれたファルシオンの真の力を引き出す者とされている。ただ一方でナーガとは特定の誰かの名ではなく、受け継がれていくものと思わせる描写も存在する。
対になるものとしてギムレーがいる。
こちらにも「聖書ナーガ」として魔道書が存在しており、闇魔法(ダークマージ系専用)を除けば最強の魔道書として存在。また、説明では古の聖女の魔法と表記されており、上記の神聖魔法ほどのぶっ飛んだ補正はないが(守備・魔防+5)、竜特効が付いている。
なお、ロプトウス的ポジションには「魔書ギムレー」が存在するが、ロプトウスと異なりこれといった特殊効果がなく、威力のある闇魔法といったやや物足りない感じを漂わせる。(他の闇魔法が特殊すぎるというのもあるだろうが…)
DLCシナリオ「絶望の未来」では覚醒の儀を防ぐためにギムレーによって消滅させられてしまっており、竜王ナーガの娘であるチキもルキナを庇いギムレーに殺されてしまう。
しかしその遺体がイーリス城に残っていた事によってそこが新たなる聖地(神竜の力が強く宿る地が聖地となる)となり、チキ自身が新たなナーガとなった。
「ファイアーエムブレムEchoes」のナーガ
直接の登場はないが、ドーマとミラの設定の追加に伴い関連性が明言されている。
いにしえの時代において、古き民達が治める王国の長であり長らく繁栄を続けていた。
ナーガが特に信頼をおく者として、強大な武力で王を守護する『王の盾』と称されたドーマ
そして膨大な魔力で大地を満たし王国の繁栄に大きく寄与し『王の杯』と称されたミラ
この二人の神竜は実の兄妹でもあった。
ミラを始めとした竜族は人間に多くの知識や力を与え、その英知を受けた人間は急速に発展を遂げやがてテーベに都を築くに至る。
ドーマは人間が大きすぎる力を持つ事に危惧を抱き、王の諾を得る事なくテーベへ手勢を差し向け、遂には滅ぼしてしまった。
ナーガはこの所業に激怒し、ドーマに王の軍勢を差し向け、同調したミラ共々9日間の激闘の後に打ち破った。かつてない激しい戦いだったとされている。
この戦いの最中に折られたナーガの牙が数本各地に散らばった(メタ的に言えば今後の作品でナーガの牙から産まれた何かが増える余地とも言える)
この罪によりドーマとミラの兄妹はアカネイアを追われる事となるが、慈悲深いナーガは去り行くドーマに自らの牙を与えたと言う。やがて訪れる『退化の現象』に対する備えとして。
ナーガの危惧通り、アカネイアを去りバレンシアに移り住んだ兄妹は、理性を失い狂気に侵され獣と化す定めから逃れる事は出来ず、王の牙によって封印され永い眠りにつく事となった。
愚かな王、全ての元凶か?
主人公(プレイヤー)視点では味方なのだが、行動そのものは人間贔屓が行き過ぎて同族を全て戦争に使いほぼ滅亡させた。自己満足で力を使いきり干渉能力を失った為にナーガに従い力を捨てた者、生き残った竜族への人間から差別を招き、それを止めることすら出来なかった事。野生動物に人間が殺される事が有る。人間が野生動物を殺す事もある以上は野生化した竜によって人間が殺される事を危惧して竜を絶滅状態に追いやった事は正しかったのか?と言う疑問もある。極端に言ってしまえばナーガの行動は「俺に従わない竜は殺す」「人間を殺す竜は殺す」の二点になってしまう。ペットへの愛が過ぎて同族を殺し臣下も使い潰して絶滅状態に追いやった暴君とも言える