概要
アニメ第1期『ゾイド-ZOIDS-』や漫画『機獣新世紀ZOIDS』、そして『公式ファンブック』に登場するガイロス帝国の軍人で、作品内では高い人気を誇るキャラクターの一人。
初登場時の階級は「帝国軍第四陸戦部隊少佐」
GF編での階級は「第一装甲師団長」で「大佐」コードナンバーは「ZA2077S83」
ちなみに某アニメ雑誌の監督インタビューにおいてガーディアンフォース編(以下GF編)で27歳と記載されていたことから、逆算して少年編における年齢はおそらく25歳だろうというのがファンの間では通説になっている。
一人称は基本的に「私」だが、29話で士官学校時代の友人であるラルフと話している時のみ一人称が「俺」であった事から、素は恐らくこちらであろうと思われる。
GF編から登場するトーマ・リヒャルト・シュバルツは彼の実弟である。
アニメにて
CV:うえだゆうじ
人間としても軍人としても非常に優秀で、戦争当時は敵対するヘリック共和国に対し、民間人など存在せず、共和国にいるだけで反乱軍であるといった風潮が強かった帝国軍の中で、民間人を巻きこんだ戦争に正義はないという信念を持ち、理不尽な命令に対しては例え相手が国の中枢に立つ人物であっても皮肉を交えて反論したり、自分の信念に反する戦闘の際には作戦行動を妨害した主人公バンに対して感謝の意を持つなど、明確には描かれていないものの劇中ではどちらかと言えば「悪」として描かれていた帝国軍内において、初登場回から異質の存在感を放っていた。
なお、初台詞回である第7話(姿だけは第6話が初登場だった)のみ、要塞の通信室でもゾイドのコックピット内でも黒百合を愛でている描写があるが、それ以降のエピソードには一切黒百合は出て来ない……一体何故黒百合を持っていたのかは永遠の謎である。
トーマからは「兄さん」と呼ばれ、「自分が最も尊敬する軍人」として慕われている。
また二人一緒に登場する時は任務中に「兄さん」と呼んでしまうトーマを「シュバルツ中尉」とたしなめるのがお約束となっている。
射撃の腕前はかなりの物で、ガトリングでスリーパーゾイドを精密射撃して見せた事がある他、ハーマンからも射撃の腕を高く評価されており、グラヴィティカノンの砲撃手に任命される際「これ以上望めない最高のプロフェッショナル」と評された。
また、41話の回想シーンにて柔道をたしなんでいる描写があり、静止画であったものの相当の業を積んでいると思われる。
余談だが、この41話の回想シーンにおいてメリケンサックを付けた大の男を素手でノックアウトさせているカットがあった為に一部で「少年時代のシュバルツは結構やんちゃしてた説」が囁かれている。
少年編においては戦場でバンを見逃したり、彼を追撃する部隊の基地を自爆させるなど、バン達には見えない形で彼らを助けている。
一度目のデスザウラーとの戦いにおいてはデスザウラーを止めるのに失敗したゴジュラスに代わり、アイアンコングの腕を関節駆動部位に捻じ込むなどしてデスザウラー撃破に大きく貢献した。
GF編においてもその人格は健在で、リーゼの罠によって自身の搭乗するアイアンコングMkⅡがコントロールを奪われた際、自分ごとコックピットを破壊して止めるようトーマに指示を下したり、デススティンガーが共和国首都を襲撃した際にはハーマンのシールドライガーと愛機のセイバータイガーで連携して立ち向かうなど、指揮官としてもゾイド乗りとしても優秀である。
ウルトラザウルス起動後はアイアンコングで防衛にあたり、グラヴィティカノン搭載後は管制指揮官及び砲撃手を務め、最後の最後まで活躍した。
帝国軍時代ではその立場故にさほど同僚に恵まれず、貧乏くじを引くことが多かったものの、ガーディアンフォースでは上記のとおり組織の中枢を担い、ハーマンとも酒を酌み交わす仲となった。
皮肉屋
上にも記したがシュバルツはかなりの皮肉屋であり、上官、同僚、部下など程度の差は有れど、皮肉を以って相手の非を咎めたり、我を通していた。
しかしその皮肉は視聴者に対してはほとんど嫌悪感を持たせず、むしろ彼の人気を上げる一端を担っている。
例としては帝国宰相ギュンター・プロイツェンの遠回しの圧力に対して、『生憎私は前線の一将校でしかありません。元帥閣下の崇高なるご意思を理解するにはまだまだ未熟者であります』と返答した事や、同僚のラルフ少佐が放った『時代の流れを読め』という忠告に対する『貴重な忠告だ。紙に書いて壁に張っておこう』などがある。
人格者として
帝国の良心とも言える人格者である彼には名言も多い。
以下彼が作中で口にした名言の一部である。
「我々が忠誠を誓うのは皇帝陛下だけだ。けっしてあのプロイツェンなどではない。」
「軍人は、責任から回避してはいかんのだよ。」
「前線の兵は、功を焦ってはいかんのだよ。」
「兵を下げろ。軍を全滅させる事が指揮官の仕事ではない。」etc…
ガトリング王子
彼の愛機には回転式の速射砲いわゆるガトリング砲が必ずと言って良いほど装備されている事からファンの間でこのようなニックネームがつけられた。
いずれの機体もタカラトミーやコトブキヤによって立体化されている(現在は絶版)。
搭乗機
バトルストーリーにて
小学館刊「機獣新世紀 ZOIDS 公式ファンブック」でもアニメとほぼ同等の設定で登場するが、弟のトーマは一切登場しない。
幼帝ルドルフに執政能力がないのを良い事に、祖国の復興を省みず両国を開戦へと導くプロイツェンには兵士の責務として従いつつも内心は苦々しく思っていたようで、共和国による本土進攻の際には一時停戦を持ちかけ、両軍共同の会談の場を設けた事もあった。
しかし、その情報はプロイツェンと同じ旧ゼネバス帝国出身者で固められた私兵集団鉄竜騎兵団(アイゼンドラグーン)によって察知されており、その刺客としてヨハン・H・シュタウフィン少佐の駆るライガーゼロイクスが放たれた。
これに対しシュバルツは愛機のセイバータイガーSSで共和国軍のロブ・ハーマンらと共に応戦するが、乗機は大破し、彼自身も瀕死の重傷を負ってしまう(ライガーゼロイクスはハーマンの搭乗するケーニッヒウルフによって撃退される)。
しかし、傷が完治していないにも関わらず彼は無理を押して戦場へと向かい、ハーマン中佐と共に両国間の戦争がプロイツェンによる茶番であった事を説き、戦闘を停止させている。
プロイツェンが本性を現し、かつての祖国の再興を掲げ、PK(プロイツェン・ナイツ)師団を率いて首都ヴァルハラで反乱を起こした際には帝都奪還の為に共和国軍と共同戦線を張り、自らもルドルフ皇帝救助の為にアイアンコングを駆って官邸の地下通路を進行する。
プロイツェンの自爆によってヴァルハラは壊滅的な被害を被るも、シュバルツはルドルフと共にシェルターに退避しており無事だった。
戦争終結後は正式に共和国との間に友好関係が結ばれ、後のストーリーもネオゼネバス帝国と
ヘリック共和国との戦いにシフトしていった為、その後は登場していない。