「おまえも、私を殺しに来たんだろう?」
「また……、デェトにつれていってくれるか……?」
プロフィール
概要
『デート・ア・ライブ』のメインヒロインたる精霊で、識別名は<プリンセス>。
容姿は宵闇色の長髪をポニーテールに結い上げた絶世の美少女。精霊としての姿は識別名の通り、紫色のドレスと鎧を足して2で割った姫騎士のような風貌で、手には大剣を携えている。
主人公・五河士道が作中で初めて出会った精霊であり、物語が始める以前より"隣界"から幾度となく現世へ現れて、その為に空間震を伴って周囲に甚大な破壊を及ぼしていた。
だが当人は名前を始めとした自身に対する記憶を全く持っておらず、自らがどういう存在であるのかも殆ど把握していなかった。
その為本人の意思に関係なく討滅対象として、ASTを通じ人間の殺意に曝され自身を否定され続けた結果、世界に絶望しかけていた。
だが、そんな彼女を無害化すべく(訳も分からぬ内に)送り込まれた士道と邂逅を果たし、彼と共に精霊にまつわる多くの戦いへ関わっていく事となる。
名前のうち十香の由来は作中で明かされたが、なぜ夜刀神という苗字が与えられたのかは明かされていない。
人物
純粋無垢かつ直情型の性格の持ち主で、長い間自身の命を狙ってくる者としか接触していなかったため、人間社会の知識をほとんど持たない世間知らずで天然ボケな面が強い。
人間社会で生活するようになっても物事を間違って解釈したり、無邪気で子供っぽいアホの子な行動を起こすこともしばしばである。実質的には0歳も同然だが士道たちの計らいで、表面上は16歳ということになっている。
その経緯から当初は人間不信で、人間や未知の物に対する警戒心が人一倍強かったが、封印後学生生活を送るうちに、"世界は敵ばかりじゃない"という事を実感する様になってトゲトゲしさは無くなり、明るく好奇心旺盛に振舞う子犬系女子となった。
クラスではそんな言動が庇護欲をくすぐるのか男女問わず人気であり、士道が爆発しろと呪われる要因の一つにもなっている。
「昼食=昼餉」「お金=金子」といったように古風な喋り方をしており、デートをデェト、士道をシドーと言うふうに独特のイントネーションで喋る。その為学業成績はあまり宜しくないが、少なくとも常用の漢字は書けるレベルではある模様。
さらにブラの付け方も知らず士道に教えてもらうまではノーブラだった。士道爆発しろ。しかし裸を見られると慌てるなど、恥じらいはしっかりあるらしい。
また、相当な健啖家(食いしん坊)であり、その勢いは店一軒分の食料が切れる程(本人曰く、フライパンを食っても死なない体質)。でありながら抜群のスタイルは一切変化せず、他の女性陣から羨みの視線を向けられている。
特に地上で最初に食べたきなこパンを大いに気に入って好物としており、アニメでは初めてのデート中のゲームセンターできなこパンのぬいぐるみを取ってもらい、私生活で愛用している。
料理スキルの高い士道の作る食事を毎食楽しみにしている。お弁当のメニューを聞いて喜びで慄いたことも。好きなおかずは肉類で、折紙の弁によると、十香が五河家で食事を摂るようになってからは士道のおかずに肉類の割合が増えたとか。また嫌いなものは注射である。
初めて自分を受け入れ救ってくれた士道(や琴理)に対し大変な恩を感じており、互いに支えあう良き信頼関係を築き上げている。
その感情は飼い主に懐く犬とも表現されるものであったが、無意識下ではそれ以上のもの(恋愛感情)を着実に募らせてきており、12巻の終盤でようやく自覚するに至った。令音はその感情を微笑ましく思うも、世界を滅ぼす事にも繋がりかねないとして警戒感を持っている模様。
士道以外の人物では、士道のクラスメイトである亜衣麻衣美衣トリオに可愛がられているだけでなく、封印された精霊ともほとんどの相手と友好的な関係を築いている。
鳶一折紙とは何度も殺し合っていた関係だったことや、精霊嫌いな彼女の性質もありいがみ合っている。しかしそれもだんだんと緩和されていき、現在では自覚はないものの、喧嘩友達兼士道を巡ってのライバル関係になっている。
第11巻からはお互い和解し名前で呼び合う(それまではフルネームで言い合っていた)ようになったが、恋敵としては変わらぬ小競り合いを繰り返している。
また、普段は耶倶矢や琴里と一緒にいることが多いが、十香自体が人懐っこい性格の為、特別仲が悪かったり苦手としている人物がほぼいない(美九に対しても割りと平気)。流石に狂三には警戒しているが(そもそも、十香と狂三は見るからに相性最悪だし)。
能力
ラタトスクの観測精霊データ
名前 | 十香 |
---|---|
識別名 | プリンセス |
総合危険度 | AAA |
空間震規模 | B |
霊装 | AAA |
天使 | AAA |
STR(力) | 230 |
CON(耐久力) | 202 |
SPI(霊力) | 125 |
AGI(敏捷性) | 142 |
INT(知力) | 32 |
霊装 | 神威霊装・十番(アドナイ・メレク) |
天使 | 鏖殺公(サンダルフォン) |
十の精霊の中では最もシンプルな戦闘・破壊に特化した性質をもち、固有天使の半身である大剣を使った正面からの白兵戦を得意としている。
霊装による高い防御力や、飛ばすことも可能な斬撃による範囲・威力共に圧倒的な攻撃力を誇っており、力の9割以上を封印されている普段の状態でも、素手でパンチングマシーンを破壊してしまうほどの身体能力を維持している。
その一方特殊な異能力には乏しく、本人の性格もあって策謀や搦め手には弱いという欠点も存在する(最もその力の強大さにより、生半可な小細工程度は意味をなさないのだが)。
しかも、十香は野性的勘にも優れているので多少の搦め手程度ならすぐに対処可能(流石に狂三程搦め手に特化した相手には分が悪いが)。その為、単純な戦闘力なら作中最強クラスである。
鏖殺公-サンダルフォン
十香が顕現させる天使で、見た目は巨大な剣が納められた玉座。
基本的に剣の部分のみを使っているが、玉座自体にもさらなる戦闘力の強化をもたらす機能が隠されている。
十香がその時行使できる霊力によってサイズはやや変動し、彼女の力を封印する形で宿している士道の主な武器としても使われている。
経歴
当初は近づいてきた士道へ猜疑心と剣を向けるも、初めて自分を否定しないでくれた彼に興味を抱き、翌日に再び姿を現してデートの約束を果たす。
ラタトスクの誘導の他、士道との会話を通じて少しだけ世界の常識を理解し、徐々に士道に心を開くものの、デートの終盤折紙の狙撃から自分を庇った士道が射殺されたのを目の当たりにして激怒。
自分でも制御出来ない程に高めた力で折紙らを蹂躙するが、蘇生した士道とのキスによって霊力を封印され、ラタトスクに保護された。
その後は巻数が進むにつれて士道への想いも深まっており、次々と現れる精霊を助けようとする姿を見て嫉妬に駆られたこともあったが、士道の全てを肯定し受け入れることを決めてからは、精霊を助ける活動にも協力的になった。十香が士道を助けていることが結構あり、お互いを支え合う良き関係が築かれている。ここぞという重要な場面では必ず彼女が士道の隣にいる。
上記の通り、始めは色々な意味で幼かったが、幾つかの絶望や戦いを(士道の助けによって)乗り越えた事で、少しづつだが人間的な進歩も見せるようになり、終盤では苦悩する士道の背中を押せる程にまで成長した。
余談
「生命の樹(セフィロトの樹)」において対応する事象は以下の通り。
数字 | 10 | 名前 | 十香 |
---|---|---|---|
神名 | アドナイ・メレク | 霊装 | 〈神威霊装・十番(アドナイ・メレク)〉 |
守護天使 | サンダルフォン | 天使 | 〈鏖殺公(サンダルフォン)〉 |
また、7巻においてウェストコットの策により「反転」した十香が所持していた「天使のようなもの」の名称〈暴虐公(ナヘマー)〉は「生命の樹」を上下反転させた「邪悪の樹」において対応する、10i(iは虚数単位のこと)の位置にある悪魔「ナヘマー」がモチーフとなっている(因みにナヘマーの悪徳は「クィムラヌート(物質主義)」)。
同巻における「〈王国〉が反転した」と言う言葉については、十香に対応する第10のセフィラ「マルクト」の持つ意味の中に「王国」が含まれることに由来すると思われる。
更に、彼女の髪の毛の色はマルクトを象徴するレモン、オリーブ、小豆、黒色の四色の内の1つである黒が反映されていると推測される。
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以下、彼女に関する重大なネタバレに付き閲覧注意*
物語の後半、精霊たちは全員原初の精霊である崇宮澪から“霊結晶(セフィラ)”を与えられて変化させられた人間だったという事実が発覚したが、十香だけは澪と同じ純粋な精霊であったことが判明した。
澪がある目的のために10個に分割した“霊結晶(セフィラ)”の内の1つ(第10のセフィラ、マルクト)が何らかの要因で自我を持ち誕生したのが十香であり、彼女のみが当初からほとんど記憶や名前を持っていなかったのはそのためである。
19巻のラストにて澪はウェストコットと相打ちとなり、残された霊結晶も消滅しかけた矢先、突如十香はそれを鷲掴みにして自らのものにするという、今までの彼女では考えられない行動をとる。
直前まで反転するような描写も出来事もなかったので、彼女の真意は現状不明である。