かばんちゃん
かばんちゃん
概要
CV:内田彩
アニメ『けものフレンズ』における主人公。アプリ版やコミック版には登場しない。
名前や出自を含むこれまでの記憶が一切なく、気が付いた頃にはさばんなちほーを宛てもなくさまよい歩いていた。そこをサーバルに発見され、彼女の突然の「狩りごっこ」の末に捕まってしまうが、特に悪気があったわけでもないので直ぐに打ち解ける。
落ち着いた彼女から事情を聞いたサーバルは、前日の火山の噴火で噴出した「サンドスター」によって新たに生まれた「フレンズ(アニマルガール)」であると推測し、「としょかんで聞けばわかるかもしれない」と提案する。このサーバルの助言に従い、自分が何者なのかを知るために一路「としょかん」を目指し、広大なジャパリパークを旅することになる。
また、このときサーバルから「本名がわかるまでの間の名前」として、背中に背負っていた鞄(かばん)に因み「かばん」という仮称を与えられ、以降は彼女自身も周囲に対してこの名前で自己紹介している。
なおキャラクター名としては「かばん」が正式で、記事名にもなっている「かばんちゃん」は主にサーバル(と視聴者)からの呼ばれ方。物語中では各キャラが「かばん」や「かばんさん」と自由に呼んでいる。
サーバルは当初、としょかんへの順路である「じゃんぐるちほー」の入り口ゲートまで案内するつもりだったのだが、途中で気が変わり、かばんの正体がわかるまで付いていくことになる。以降、二人は旅を通してお互いの特性を活かしながら困難を乗り越え、良きパートナーとなっていく。また、じゃんぐるの入り口付近においてラッキービースト(通称・ボス)とも出会い、としょかんまでのルートを案内してもらうことになる。
「かばん」と名付けられるまで
「何て呼べばいいのかな?」→「かばんちゃんで!」が唐突すぎる印象があるが、
- 聴いたことのない?足音を察知し、仲良くなろうと狩りごっこを始める
- 引かれたので今度は何の動物なのか知ろうとするために色々訊く
- 外見的な特徴から予測しようとするも分かりやすい特徴がない
- そんな中、「かばん」という未知の、他のフレンズに見当たらない(※)特徴を見つける
- 他のフレンズにない特徴なので「かばん」と名付ける
と、紐解くと冒頭から命名までの間にそこに至るまでの過程がかなり詳しく描写されていることが分かる。
人物
他のフレンズ同様に人間の少女の姿をしているが、彼女たちのように元となった動物の耳や尻尾、羽といった際立った特徴を持たず、黒(単色)の髪に黒目と、フレンズとしては比較的地味な外見をしている。また、一人称の「ぼく」や短い髪など、中性的な印象を受ける。
頭にツバのかけた白い探検帽(青い羽根飾り付)、背中に大きな白い鞄を背負っているのが特徴。衣装は赤いTシャツと白い半ズボン姿で、全体的に探検家を彷彿とさせる出で立ちをしている。
性格は温厚で心優しく控えめ、若干気弱なところもある。言葉遣いは丁寧で、打ち解けた関係になった後のサーバルを除き、ですます口調で話しさん付けで名前を呼ぶ。
突然現れたフレンズに不意を打たれると驚いて咄嗟に「食べないでください!」と言う癖があり、サーバルの場合は即座に「食べないよ!」と切り返すのが本作のお約束となっている。
また、自身に際立った身体的特徴が無いからなのか、他のフレンズの尻尾・羽・体毛等に憧れを持っているらしく、率先して褒めることが多い。
身体能力は他のフレンズに比べ劣る部分が多く、「潜水」や「飛行」といった能力も持たない。一方で、他のフレンズたちとは一線を画した知能と観察力、発想力を持ち、旅の間、行く先々で出会ったフレンズの抱える問題ごとを次々と解決している。
かばんの謎
正体について
さばくちほーの遺跡にて出会ったツチノコは、壁に描かれた模様から別の出口を見出したりラッキービーストと会話できたりする点に注目し、かばんの正体について何か心当たりがある素振りを見せている。彼女たちの去り際には「絶滅していなかったのか」と意味深な言葉を漏らした。
へいげんちほーのハシビロコウは、ライオンとヘラジカの縄張り争いを解決させたかばんの一連の行動を見て、噂に聞いた「何か閃いたり、物を作ったり使ったりする」ことを得意とする「ヒト」ではないかと推測した。
そして、ようやくたどり着いたとしょかんのアフリカオオコノハズクこと「はかせ」とその「じょしゅ」であるワシミミズクにより、「ヒト」であると特定されるが、同時に「ヒトは(パークに)もう居ない」「絶滅した」という衝撃の事実を告げられる。
しかし、何故ヒトが姿を消したかまでは二人にもわからず、「ヒト」について僅かでも情報を得たいと考えたかばんは、コウテイ曰く最後にヒトの姿が確認されたという「みなと」へ向かうことになる。
視聴者の考察
数多くの謎が渦巻く本作だが、かばんの正体については放送開始当初より視聴者の間でも考察が展開され、作中で明言される前に「ヒト」に関連する何かであることは早い段階で凡そ把握されていた。
実際、それを裏付ける要素は数多くみられた。
(以下、はかせに明言される第7話までの彼女のみせた特性)
- 排熱処理能力が高く、持久力に長ける
- ものを目標に向かって正確に投擲できる
- 標識やピクトグラムなど、極端に簡略化された図を見て内容を把握できる
- 純粋な「闘争」ではなく、明確なルールで優劣を決める「スポーツ」の発案
- 「文字」という概念を持ち、読むことができる
- 火を意図的に起こし扱うことができ、「料理」を行える
- 道具を作り、使うことができる
- 「役割分担」「適材適所」という概念を持つ
(第7話の後)
- 「衣服」の概念(状況に応じて着脱する)
- 未知の土地・情報に対する強い探究心
- 他の動物の特性を参考・模倣して自身の力にする(これはフレンズ化の影響かサーバル・ヒグマ等も)
上記の特徴は、ヒトの持つ生物学的な特徴・性質としてしばしば説明されるものである。
とは言え、彼女が「ヒトに関連する何者なのか?」については以降も議論と考察が進められた。
中盤までは、主に「純粋なヒト(人間)」か、もしくは「ヒトから生まれたフレンズ」かの二択が考えられたが、先のミライのレポートでの発言や過去に存在した事例から、「ヒトを模して作られた存在(セルリアン、もしくはラッキーやタチコマと同じ人工物のロボット…など)」という可能性も浮上した。
ラッキービーストたちとの関係
何故かラッキービーストたちはかばんとしか会話することがなく、フレンズたちは初めて彼らが喋る姿を目撃し非常に驚いている。先述のツチノコは、フレンズと彼らが会話しないことについて「それが普通だ」と発言をしていることから、ビーストたちは「ヒト」と「フレンズ」を区別してヒトにのみ反応していると考えられる。
ストーリー終盤にて、ラッキービーストたちは「パークガイドロボット」と呼ばれる存在であることが明言されるとともに、かばんを「パークの来場客」と見なして行動していたことが発覚した。パークにとある危機が迫り、「お客様」であるかばんに警鐘を鳴らして島からの脱出を促すが、かばんの決意を聞いたことにより彼女を暫定パークガイドに設定し、共に危機に立ち向かうことを承諾した。
帽子について
帽子に付いている青い羽根は、ラッキービーストを通して何かしらの記録媒体にアクセスしている節があり、各エリア内の施設に行き当たると、ラッキーの目が点灯し謎の女性によるガイドやレポートと思しき音声が再生される。後にそれらは映像記録であることが判明し、声の主はアプリ版にも登場したミライであることも明かされる。
かばんたちを捜索するアライさんは、自分から帽子を奪った「帽子泥棒」だと主張しており、その帽子に付いた青い羽根飾りによく似た赤い羽根を所持している。アライさんは、その帽子があるとボス(ラッキー)が喋り出すことも知っており、その際に聞かされた「お宝」を探し求めている。
また、アライさんの持っていた羽根飾りを付け直したその全体的な造形は、だいぶ破損・汚損はあるものの前述のミライのものと共通しており、ラッキーが彼女を暫定パークガイドに設定したのも、その証である帽子の装着を確認したためではという推測もある。
以下アニメ版のネタバレにつき閲覧注意!
※ここから先は物語の重大なネタバレとなっております。
ネタバレを避けたい方はブラウザバックをお願いします。
明かされた事実
第11話で、サーバルを救出後にセルリアンに取り込まれてしまったかばん。第12話では、駆け付けたフレンズたちの猛攻によってセルリアンの体内から解放されたが、その姿はサンドスター(?)を放出しながら発光する球体に変わっていた。はかせ曰く、フレンズから動物の姿へ戻る最中だという。悲しみに暮れるサーバルだが、やがて球体はほぼ元通りのかばんの姿に。それまで通りサーバルたちと会話でき、記憶が失われている様子もなかった。
この現象に対し、はかせとじょしゅは「かばんはヒトのフレンズだった」と分析。冒頭でのかばんちゃんは記憶喪失だったのではなく、人間のフレンズとして誕生したばかりで最初から記憶が無かったのだ。
セルリアンに取り込まれたフレンズは、元の動物の姿になって記憶も失われてしまうとされているが、フレンズは“動物がヒトに変化したもの”なので、ヒトのフレンズが動物に戻ったところで、そもそも元になった動物がヒトなのだからそのまま…という理屈である。
記憶が失われなかった原理については説明されなかったが、大セルリアンから早々にリュックサック(かばんをかばん足らしめる要素であり、恐らく他のフレンズにとっての耳や尻尾(サンドスター(強))に当たる部分)が出て来たので結果的に記憶が保たれたのではないかと視聴者に考察された。
また別の考察では「セルリアンに記憶を奪われるのではなく、動物の脳ではフレンズ時代の記憶を保持できないだけなのでは」という説もある。
その場合、かばんちゃんは元動物に戻っても記憶容量が変わらない(厳密にいえばフレンズは元動物の特徴とフレンズの特徴を重ね合わせたものであるため、「ヒトのフレンズ」相応から「ヒト」相応に下がってはいるものの、記憶容量自体は十分だった)ため記憶を失わなかった、ということになる。
「ヒトのフレンズ」が誕生した際に大きなかばんを背負っていたのも、道具を作り、使えるという人間の特性から「道具を荷物として持ち運ぶのに使える道具」だけは初期装備になったからという説もある。
その後1ヵ月経った後に開かれたお祝いパーティでは、アライさんの目撃証言によって、山からサンドスターが大放出された日(第1話の前日にあたる)にさばんなちほーに落ちていた帽子に付着していた“毛”がサンドスターと接触し、フレンズとしてのかばんが誕生したことも判明した。ちなみに、帽子を最初に発見したアライさんは誕生した瞬間のかばんを「帽子泥棒」と勘違いして11話に至るまで追跡を続けたようである。
さらにラッキービーストの最新の映像記録(ジャパリパークに居た人間が全員退去する直前の映像記録)から、ミライが仲間達とパークを去る直前に帽子を風に飛ばされて紛失していたこともわかった。ここからかばんの元となった何かの毛はミライの髪の毛であることが推察できる。すなわち、かばんはミライのクローンまたは娘のような存在と言うことができよう。
(フレンズは「種」の擬人化である以上誰の髪の毛でも「ヒトのフレンズ」であるかばんちゃんの見た目になると思われる。従って今後、サーバルなどと同様にかばんちゃんにもいずれ「別個体」が登場しないとは限らない)
この映像記録と絶滅種のフレンズと違ってかばんちゃんの眼にはハイライトがある事からヒトが絶滅していない裏付けがとれた為、その後はフレンズ・人間・動物が居ないか、食ベ物や楽しい事が無いか探しに行く為に、秘密裏に直してもらった(+水陸両用に改造された)ジャパリバスを使ってサーバルちゃんをお供にゴコクエリアに向けて旅立っていった。
終盤における容姿の変化
11話において、アライさんにより帽子に赤い羽根飾りが戻され、それ以降はミライのものと同様に2枚の羽根飾りのある帽子になった。
12話の救出の後は、黒い手袋とタイツは失われて素手、生脚になっていた。
また、再会したラッキービーストの本体を手首に腕時計のように装着した。
その後のパーティーの時には、手が指先から黒ずみ脚も靴下を履いたように下から黒くなっており、視聴者の間で「再フレンズ化しつつあるのではないか」「セルリアンの悪影響ではないか」などの憶測を呼んだ。
ただフレンズの服はサンドスターで出来ており失われても再生するという設定、そして大セルリアン討伐からパーティまで1ヶ月も経っているという点から、サンドスターを浴びて再フレンズ化(セルリアンに襲われたフレンズもかばんたちが去った後で同じ方法でフレンズに戻った。)し、それに伴って手袋とタイツが再生し始めたと考えるのが自然であろう。
かばんちゃんは最後の生き残り!?
インタビューによると、かばんちゃんは「作劇的に」地球最後の一人らしい。
第18項目参照
けものフレンズ2における活躍
2期にあたるアニメ『けものフレンズ2』に登場するという事前アナウンスはなく(声優はラッキービースト・ミライと兼役のため続投)、主人公も同じくヒトであるとされるキュルルに変更されたため、出番はないものと思われていた。
しかし、第1話「きおくのかなた」にてサーバルとカラカルがキュルルが何のフレンズであるかを考察する際、過去に珍しいフレンズ=ヒトと一緒に旅をしていたことについて言及する。だが、サーバルは誰と一緒に旅をしていたのか思い出すことができず、カラカルに「この子(キュルル)もヒトなんじゃない?」と言われてやっとずっと一緒にいた誰かについて朧気ながらもその姿を思い浮かべることができた。
浮かび上がった姿はシルエットだけだが、半袖・大きな鞄・鍔が一部欠けており2枚の羽根飾りが付いた特徴的な帽子…と、色情報こそ欠けているものの、明らかにかばんちゃんのそれであった。
また、サーバルとカラカルがお腹の空いたキュルルを見て、わざとらしく「食べないで~!」とかばんちゃんの持ちネタ(?)であった台詞を発するなど、あたかも同じ世界にかばんちゃんが存在していたかのような描写が随所に盛り込まれている。
※ここから先は2の物語のネタバレとなっております。
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そして第5話「ひとのちから」にて突如、暴走したと思われるアムールトラに向かって燃える紙飛行機が投げ付けられた。サーバルが振り向いたその視線の先には…
「サーバル...」