※ここから先はゴジラ最新作のネタバレになりますので注意してください。
『その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っているような力が、彼らに与えられた』
『彼らは、地の草やすべての青草、またすべての木をそこなってはならないが、人たちには害を加えてもよいと、言い渡された』
~ヨハネの黙示録・第9章の3節4節~
概要
成虫 身長:15m 翼幅:244m
中国雲南省の寺院のような遺跡で発見された、鱗翅目の昆虫に酷似した怪獣。学名はタイタヌス・モスラ。
芋虫によく似た幼体、そこから蛹を経て成虫へと変態する。
成虫は蜂のような身体に鋭利な鎌状の脚を持ち、何より自身の胴体よりも遥かに巨大な翅が特徴となっている。
対怪獣機関のMONARCHがかねてより卵を確保および飼育しており、2019年に入って孵化。
当初は怯えて暴れる騒動を起こしたもののエマ=ラッセル博士の発明したオルカで大人しくなり、人類に友好的な怪獣となった。
劇中で「Her」「She」と呼ばれているとおり雌の怪獣であり、怪獣の女王とも呼ばれる。
容姿
成虫
キングオブモンスターズに登場した東宝怪獣の中では、オリジナルとのデザイン上の差異が最も大きい。
ぬいぐるみのような丸っこいデザインだったオリジナルに対し、本作はより昆虫然としたスマートで女性的なデザインへ変化。
ベースは蛾や蝶などの鱗翔目であることは変わらないものの、カマキリのような鋭い鎌やバッタのような長い肢、ハチの毒針、ホタルのように発光する体など、複数の昆虫の要素を掛け合わせたデザインになっている。
目立つ脚については早速モス(キート)ラというあだ名が付けられているが、一方で「モスラ(1961年)」公開時の新聞などで公開されていた身体が細く、足も長めに描かれていた初期デザインをリスペクトしたのではないか?という声がある(参照)。
また、後脚が人間の太もも。第2肢の付け根が豊満な胸を思わせる事から妖精や女体をモチーフにしたのではないかという声も。
翅の目玉模様は生態系の頂点たるゴジラの眼に擬態しているものとされる。
翅はモスラ自身の感情に合わせて色が変化する性質をもち、オリジナルのモスラと同じ赤を基調とした攻撃色や青、また純白に光り輝くなど、まさに極彩色の怪獣と呼ぶに相応しい容姿を持つ。
顔については「青い眼」や「左右に開く口」、「白い毛」など、オリジナルの面影を色濃く残しているが、瞼があることが異なる。
口の辺りにあった触角はL字型の外顎となっており、普段は閉じることで往年のモスラの口に見えるが、開くと左右に加えて上下の内顎が現わになるという仕組みになっている。
幼虫
オリジナル同様、芋虫に近い容姿を持つが、コロネのようにデフォルメされたオリジナルのデザインに対し、本作の幼虫は現実的なシャクトリムシに似た容姿を持つ。
(参照)。
体表は透き通る甲殻で覆われており、感情に合わせて赤や青など体色が変わる性質を持つ。
現実の芋虫は左右三対計六本の肢をもつが、本作のモスラの肢はそれより足の数が多い。
額にあたる場所にも凹みがあり、よく見るとハート型に見えない事もない。
見た目はモロに芋虫ではあるものの、仕草自体は可愛らしいともっぱらの評判。
卵・蛹
色はどちらも淡い青。卵は回虫が無数に這ったような模様を持ち、歴代と同じ鳥類の卵のようなシルエットを持つ。
対して蛹は大きな変化を遂げており、現実の蛾の蛹を直立させたような姿をしている。
その形は前作の蛹MUTOにも類似しており、成虫のデザインも含めてMUTOとの関連を匂わせるが、関係性は不明。
生態
主な武器は口から発射する糸と、爪による引っ掻き・刺突。また成虫になればベータ波の生体発光「神の光」で周囲を薙ぎ払うことが出来る。
糸は旧来のスプレー状のものではなく、某クモ男のように塊を発射するようになっており、着弾すると大きく広がって対象を貼り付けてしまう。幼虫だけでなく成虫でも使用可能。
モスラと言えば人間に友好的な怪獣として有名だが、今作ではゴジラに近い、自身の住処である地球環境の守護者であり、人間との関係もそれほど深いものではない。
ラドンやギドラほどあからさまに攻撃的ではないにしても、脅威と見れば相応の攻撃は返してくる。
ゴジラとの共闘を見せる作品は今までにも多くあったが、今作では一時的な利害の一致ではなく積極的な共生関係にあり、ゴジラと交信することもできる。
余談
- モスラの名を冠した怪獣が銀幕に姿を表すのは実に15年ぶり。アニメの『星を喰う者』にも一応登場しているが、こちらはシルエットのみで、またモスラではなく「フツアの神」としての登場だった。
- 第一弾トレーラーにおいて羽化するシーンが登場。他の怪獣たちが荒々しい面を見せつける中、幻想的で美しいこのシーンは評価が高く、印象に残った人は多い。
- マイケル・ドハディはモスラを母なる大地から飛翔した、大地の化身と例えている。
- 「神の光」だが、似た描写がアニメゴジラの小説版にて存在する。
- また、前作の2012年版のプロットには、雄のMUTO「Hokmuto (北海道のMUTO)」が「蛹化を経て四本の翼を備える」「オーロラのような発光現象を起こす雷のような衝撃波のようなものを発射する能力がある」とされており、今回のモスラと似た設定を持っている。
関連イラスト
関連項目
正体
実はゴジラと共生関係にある怪獣であり、いわばゴジラの味方怪獣である。
オキシジェンデストロイヤーで窮地に陥ったゴジラを助けるべく参戦、決戦に際してはギドラの軍門に下ったラドンと死闘を繰り広げたが……
余談(ネタバレあり)
- モスラとゴジラが共闘する展開は本作が初ではなく、古くは「三大怪獣地球最大の決戦」「怪獣総進撃」、平成以降であれば「ゴジラファイナルウォーズ」があるが、モスラと共生関係にあるという設定が明確に描かれたのは本作が初。またそれらいずれも敵怪獣がキングギドラやその派生種であるというのも因縁めいたものがある。
- 本作含むモンスターバースシリーズが金子修介による平成ガメラとGMKの影響を受けている指摘は国内外から数多くあり、「GODZILLA」と「KOM」を視聴した金子自身もキネマ旬報(2014年7号)と映画秘宝(2019年6月号)にて類似点を認めている。
- モスラに関しては、金子自身の指摘を含めると「インファント島や小美人と無関係」「小美人をイメージした人間が登場する」「神話の生物や幻獣に影響を与えた」「覚醒直後に意図的に人間を殺害している」「成虫時代に、歴代になかった攻撃方法をいくつか持つ一方で”あの”能力を披露しない」「毛のない細長い脚」「歴代の成虫よりも険しさを感じる表情」「実在の蜂の要素を汲み、ゴジラと比較して(翼を除くと)胴体がかなり小さい」「遺跡に卵があり、オーロラか虹のような発光をしながら雨の中降下してくる、飛行の際に後部が蒼く発光する」「聖書の一説が引用される」「(ネタバレになるので明記しないが)数々の行動」などがある。
- 過去のシリーズでもモスラが人的被害を発生させたシーンはいくらかあったが、今作のモスラは人間を殺害するシーンが直接描かれている。噛みついて放り投げて壁に叩きつける、糸を吐きつけて圧死させるなど、なまじ小柄な分バイオレンスな殺害シーンを披露することとなり、少なからぬファンがショックを受けた様子。