概要
アムロ・レイのアイディアを基に開発された、νガンダム専用のオールレンジ攻撃兵装。
普段はフィン(ひれ)を思わせる板状の形態をとる事から、「フィン・ファンネル」と呼ばれ、実戦に於いては放熱板と誤認された事もある。
通常は板状に展開した状態で機体に接続されているが、機体から分離し「コ」の字に変形する事で、間にIフィールドを展開し擬似的なメガ粒子収束バレルを形成する開放型メガ粒子砲を搭載したファンネルとして運用される。
当装備の試作モデルとしてプロト・フィン・ファンネルも開発されており、シルヴァ・バレトでは有線式を用いて各種テストが行われた。また、ガンダムデルタカイのサイコミュ兵装としてプロト・フィン・ファンネルの無線式を2基採用されている。
νガンダムの系列機にもフィン・ファンネルを装備する計画もあり、νガンダムを含めてそれら機体群は何れも6基これを装備する予定であった他、より大量のフィン・ファンネルを運用するD.F.F.仕様も検討されていた。
ファンネルとしては珍しくジェネレーター内蔵式を採用しており、稼働時間が長く、展開後も推進剤の管理に気を付ければ充電なしで長時間の使用が可能(劇中でギュネイ・ガスが「ファンネルが何でこんなにもつんだ!?」と驚愕しているシーンがあるが、この時フィン・ファンネルはνガンダムを中心にほぼ静止していたため、推進剤の消費が少なかった)。その分大型化しており、厳密な定義でいえばビットにあたる。
また、このジェネレーターの搭載はメガ粒子砲の出力向上(ビームの出力は従来のネオ・ジオン軍が運用してきたファンネルと比較すると破格の3MW)やIフィールド・バリアの展開を可能とするなど、攻防面で様々な恩恵をもたらした(なおIフィールドの展開はプロト・フィン・ファンネルでは実装されていない)。
ファンネルは大型化すると推進剤の消費が激しくなり運動性も低下するが、フィン・ファンネルはそれ自体が3つのブロックからなる羽根状のAMBACユニットとしても作用するため、これを搭載するモビルスーツの機動性と稼働時間の向上にも成功している上、ファンネルそのものにも高度な運動性を付与することとなった。
一方で、機能の多様さに対してνガンダムは急造品でもあったことからフィン・ファンネルの回収機能を持たず、一度展開した場合の戦闘での再回収ができないという欠点を持つ。
エネルギーは内蔵ジェネレーターから半永久的に供給されるものの、推進剤は有限のため稼働時間には事実上の制限があり、再回収できないという事は推進剤補充ができない事を意味し、完全な使い捨て武装となっている。
もっとも、戦闘による長期的な消耗・損失のことも考えると、高価で何度も使用できるものを一式準備するよりも、安価で使い捨てのものを多数準備する方が効率的であるという見方もできる。当然ながらνガンダムに積載できる推進剤も有限=貴重な推進剤をわざわざ分け与える要因が1つ無くなっているため、継戦能力の面から見れば必ずしもデメリットというわけではない。
Hi-νガンダムのものはファンネルラックが改修されたため推進剤の再充填が可能である。
多数の機能を内包するという事は同時に思考制御の複雑化を招く事を意味しており、歴戦のニュータイプであるアムロの経験と技量を持ってして初めて有効に活用可能な、文字通りの『アムロ・レイ専用』である。
なお、ゲーム作品などでは大気圏内でも使用しているが、板状という大気抵抗を激烈に受ける形状とスラスター配置、および自重の問題により、本来は宇宙戦専用武装である(唯一、ゲーム『GジェネレーションNEO』でのみ使用不可能となっていたが、不評だったのか続編以降は再び地上でも使用可能になっている)。
また、一部のアクション系ゲーム(ガンダムVSシリーズなど)では、ゲームバランスの問題からファンネルが戻ってきて再使用することができるものもある。
ファンネル・バリア
四基のフィン・ファンネルを射出後、各ファンネルのバレル角度を意図的に広げた状態でIフィールドを相互展開し、低出力のメガ粒子を照射し続ける事で、実弾・ビーム双方を防ぐ三角錐型のバリアを張る(展開直後を含み、断続的に赤いメガ粒子の発光が三角錐型に視認できる)。
原理的にはIフィールド・ビームバリアよりもビームシールドに近いが、所詮は3MW程度のビームを発するフィン・ファンネル四基から発振されるフィールドのため、どちらと比較しても出力が弱く、α・アジールの口腔部メガ粒子砲の貫通を許し(Iフィールドの斥力が弱い)、敵機のファンネルが接触しても破壊するには至らなかった(ビームの出力が弱い)。
余談
ゲームなどで「行けっ!フィン・ファンネル!!」と叫びながら攻撃するイメージが強いが、劇中でそんなセリフはまったくない。これはスーパーロボット大戦の収録中、アムロ・レイを演じる古谷徹が「ガンダムでもスーパーロボットみたいに技名を叫んでみたい」という提案があったからとされている。