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フェミニズムの編集履歴

2019-10-31 18:27:28 バージョン

フェミニズム

ふぇみにずむ

女性の解放を主張する考え方、運動。

概要

女性の解放を目標とし、女性の権利が保障されるようにする考え方および社会運動。これに基づく主義者をフェミニストと称する。


「何をもって女性の解放と捉えるか」という事については様々な考え方があり、フェミニズムを一本の思想だと考える事はできない。特によく見られるのが「女性は男性と変わらない能力を持つので男性に庇護されるものではなく、男性と同じ権利を持つべきである」と「女性は肉体的には男性よりも弱く、性犯罪にも遭いやすいので、女性は男性よりも法で保護されてやっと平等である」というふたつの真逆の思想をフェミニズムとひとくくりにすることである。原義的には前者がフェミニズムであるが、現在では後者を主張するフェミニストも多い。昔の日本では、「女性に対して優しい男性」をフェミニストと呼ぶ事もあったが、近年ではホモソーシャルセクシャルハラスメントなどが問題視され、それに当て嵌まらない人(女性好きではないが、女性に嫌がらせもしない一般的な人)をいちいちフェミニストとは呼ばなくなってきている。


インターネットの発達と共に過激なフェミニズムを主張するメガリア(韓国)ツイッターレディース(日本)等が存在感を増し、他のクラスタと衝突する事例も見られる。反対派からはネット弁慶ネトウヨなどと共に問題視されている。

漫画アニメゲーム等世間から「おたく」と分類される表現について規制必要論を唱える人が多い。

BL等の女性向け作品については性的表現についても受け入れる立場もあり「腐ェミ」とも呼ばれる。


フェミニズムには規制論を唱えない立場もあるのだが、規制の必要性を問い、創作者やファンに苛烈な言葉を投げかける人々もまたフェミニズムである(WSPUのように教会に爆弾を投げ込んだガチの過激派もまた、それによって「フェミニズムではない」とは呼ばれていない)。その源流であるラディカル・フェミニズムはフェミニズム全体からみてけして傍流ではない。婦人参政権を説くフェミニストが美術館の絵画を切り裂いた事例も存在する。他のフェミニストが逮捕された事への抗議ではあったが、後年に「(そこの美術館を訪れた)男達が長い間そのヴィーナス像にみとれているのが気にくわなかった」と付け加えている。この事件は1914年の事であるが、この頃すでに「絵でも問題」「(男性が表現する)女性の露出表現が問題」「それを喜ぶのが問題」というネット上でも散見される立場が存在するという事である。

フェミニズムのある立場について、反対するだけでなく「本来のフェミニズムではない」と言ったりすることはあまり意味が無い。他の政治思想・道徳・宗教に対してと同じように「○○の中にもこちらが共感できるものとできないものとがある」と言うに留めた方がいいだろう。


フェミニズムの展開

女性の参政権など、現代では当たり前とされる事柄もかつてはそうではなかった。18世紀のフランスでは革命の末、人間の平等を説く「人間と市民の権利の宣言」がなされたが、ここで記される権利は女性を対象としておらず、これらを女性にも認められるべき、とする社会運動が起こった。これが現代にまで連なるフェミニズムの起源とされる。

1848年のアメリカ、ニューヨーク州において女性の諸権利獲得のための「セネカ・フォールズ会議」が開かれ、これが女性参政権を手にするための運動の起点となった。しかし20世紀に入っても被選挙権が認められない等、アメリカにおいても全州において認められるまでには長い年月を要した。

法律上は諸権利が徐々に認められつつも、国民、市民全体の意識は古い時代の規範の影響下にあり、女性は「主婦になるべき」「子を産んで育てるのが当然」「仕事に就いても上に立つのは男性」といった思考に対して異議申し立てをする運動も続けられた。1960年代のウーマン・リブ活動は広くこの思想を世間に広めることになる。


フェミニズムの性質

フェミニズムは「男女の役割や地位の違い」が当たり前の時代に起こり、修正してきたという出自により、同時代の既存の規範・思想に対して異議申し立てし、訂正を迫る、という傾向を持つ。

これによりセクハラという概念すら無かった時代に、女性の心身の安全を確保し、結果的に(加害者の殆どを占める)男性側にも罪、犯罪ではある、という認識を持たせることに成功している。


宗教との関わり

女性の尊重、という要素は既存の宗教もある程度持っており(男性優位の時代に生まれた諸宗教も強姦を禁じる戒律を持つ)、女性の聖人、聖者も存在していたが、全くの平等ではなく、フェミニズムの影響を受けた現代的観点からすれば問題視される部分もある。

上記の「セネカ・フォールズ会議」に参加したフェミニストの一人エリザベス・キャディ・スタントンは旧約聖書トーラーモーセ五書)に対して「これほど徹底して女性の服従を説き,女性を卑しめている本をほかに知らない(I know of no other books that so fully teach the subjection and degradation of woman)」と痛烈に非難している。

しかし彼女は同時にそのトーラー含む旧約、新約聖書を改訂し、再解釈する『女性の聖書(THE WOMAN'S BIBLE)』を同士たちと発表している。

聖書を作り直すようなこの著述に対しては同時代の他のフェミニストからはフェミニズム運動の妨げになると批判もされた。


アイルランドとアルゼンチンにおいて主流のカトリック教会は女性司祭に反対しているが、それに対しても抗議がある。司祭を男性のみに限る点は東方正教会や非カルケドン派においても同様であるが、フェミニズム運動の勃興以後、聖公会では女性司祭が実現されていき、プロテスタント諸派においても初期には居なかった女性の教役者が誕生している。

フェミニズムの背景を持つ「フェミニズム神学」は現代キリスト教神学における一大潮流となっている。

フェミニズム神学は担い手たちはスタントンらと異なり、聖書を改訂したりまではしない。ただ、一般的な古典や歴史書のように相対化し、現代的な価値観と合わない部分は支持しないという立場をとる。フェミニズムが発展していた間、聖書を批判的に研究する聖書学も発達しており、キリスト教社会においても「一字一句、神の言葉」という人々は限られる。

聖書の神を信じつつ、聖書の男女平等に反する箇所について「歴史的状況に縛られた人々の過ち」と解して退けることは今や不可能ではない。


異教主義(ネオ・ペイガニズム)においてもダイアニック・ウイッカのようにフェミニズムの背景を持つ信仰が存在する。


中絶をめぐる戦い

既存の保守的価値観、伝統宗教とは中絶避妊の扱いについても衝突する。フェミニズムにも中絶否定派はあるが主流ではない。

妊娠はひとたび起これば否応なく女性の人生設計に影響してしまう(例えばオフィス工場等で働いている場合、産休というブランクが生じてしまう)、望まぬ妊娠となるとなおさらであり、性犯罪による妊娠なら言うまでもない。こうした事態の回避、そして最後の手段としての中絶は、女性の自己決定権として多くのフェミニストによって求められた。

1948年に認められた日本と異なり、2018年において、アイルランドのように認められた、逆に法案として提出されたが否決されたアルゼンチンのような国々があり、意味でも現在進行形である。


性的少数者との協力

既存の伝統・規範に挑戦するという性質から、LGBT(同性愛者・両性愛者・トランスジェンダー)の人権を護持するクィア思想の担い手たちと協力する局面が多い。例えば、上記の宗教におけるフェミニズムを採用した立場の教会では、伝統的立場では否定される同性結婚が肯定されることがほとんどである。


性的表現に対するスタンス

フェミニズムにおいて、保守的価値観と同様に悪影響の原因として、ポルノグラフィー、性的表現がある。後者については胸や性器が隠されていても体の線が現れすぎていると認識された場合も「性的消費」として問題視されることがある。

主張される悪影響については男性に対しては「女性の人格を無視してただ性欲の道具とする」女性に対しては「それを受け入れさせる」のような形で説明されることが多い。

(所謂「(異性愛)男性向け」「萌え」とされるものが対象となることが殆どであり、批判対象として性教育、性生活などの啓蒙のための裸身の描写は含まれない。「異性愛者男性向けの萌え」の系列にない場合、R-18であってもBLは容認されることも多い)

ラディカル・フェミニズムにおいては、ポルノの撲滅のため、同じくポルノ否定派の宗教系、保守系、右派の勢力ともその局面においては共闘したアンドレア・ドウォーキンのケースがある。


関連タグ

性別 ジェンダー

男女平等 男尊女卑 女尊男卑

女性優遇 男性差別 カカア殿下

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