解説
2013年11月1日~20日開催(後に27日までに延長)。
「2013秋イベ」あるいは「鉄底海峡」などと略される場合もある。
2019年現在でも艦これイベントの中で最難関だったイベントは?と聞かれるとこのイベントを挙げる提督が少なくないほど、今もなお提督たちの間で語り草となっている。
仕様
全5海域の構成。
これらのうち2マップは、海域全体が夜戦から始まる「夜戦マップ」であり、本イベントの難易度を大幅に高める主因となっている。
ステージ | 海域名 | ボス | 報酬 |
---|---|---|---|
E-1 | サーモン諸島海域 | 戦艦ル級elite | 伊19 |
E-2 | ルンバ沖海域 | 泊地棲鬼 | 能代 |
E-3 | サンタクロース諸島海域 | 装甲空母姫 | 53cm艦首(酸素)魚雷その他 |
E-4 | アイアンボトム・サウンド | 飛行場姫 | 伊8 |
E-5 | サーモン諸島最深部 | 戦艦棲姫 | 武蔵 |
その他、11/20よりE-5での矢矧のドロップが追加され、これを求めてE-5を周回する行為が「E-6」と呼ばれた。
難易度
上述したように、艦これ史上最凶イベントと評されたこともあるように、当時の提督たちを阿鼻叫喚の渦に巻き込んだ。
その主な原因は、まず、敵味方双方が大ダメージの応酬となる夜戦を連続して行わなければならないマップが存在したこと。
現在こそ探照灯・照明弾・夜間偵察機などの夜戦補助装備や重巡洋艦の夜戦時ステータス上昇が存在するが、当時はそのようなものは一切なく、限られた装備を揃えた上で祈るのが基本であった(夜戦に強いとされる梯形陣も当時は調査が進んでいなかった)。
イベント開始前には夜戦マップである5-3が実装されてはいたのだが、当時は多くの提督が5-3まで辿り着いていない進行度であった。そのため、夜戦がどういうものか心構えが不十分な提督が多かったことも、この仕様への恐怖心を植え付けた一因と言えるかもしれない。
次に、ルート固定が不可能なランダムマスが多かったという点。ボスに到達する直前のマスでも当然のように逸れるため、それまでの準備が糸も簡単に水泡に帰すことが珍しくなかった。おまけに、ボス前で逸れた場合、待っているのは他のマスと比べても強力な敵艦隊群であり(通称:お仕置き部屋)、ボスに到達できないのにボロボロになって帰投するということも珍しくなかった。
そして、敵戦力ゲージが一定時間経つと回復していくという鬼畜仕様が挙げられる。これのおかげで、提督各々のペースに合わせた攻略が事実上不可能であり、場合によっては長時間PCに張り付いていないと攻略できないという事態が発生した。
この仕様は別に今回に限った事ではなく、前回、前々回のイベントも同様の仕様であった。が、上述の要素が組み合わさったことで、それまで以上の焦燥感を提督たちにもたらすこととなった。
これら数々の無慈悲な要素が特に強烈さを放っていたのが、マップ名「アイアンボトム・サウンド(通称:13秋E-4)」であり、当イベントの評価を決定付けた極悪マップと言っても過言ではない。
E-4について軽く説明すると、連続する夜戦と各マスに配置された重巡リ級、ボスまでたどり着いても超耐久の飛行場姫、支援艦隊が来るのも艦隊の機嫌次第(昼戦移行条件になっている敵艦を沈めなかった場合移行する)、とプレイヤーの濁る要素満載であった。
ちなみに、その次に控える、ラストマップの「サーモン諸島最深部(通称E-5)」もかなりの難易度ではあるのだが、E-4と比べると艦娘の錬度や充実した装備による効果が大きく、準備を怠らなかった提督からは「意外と簡単」と言われた。と言っても、あくまで「E-4と比較して」という話だが。
以上の内容をふまえて総括すると、すなわちこのイベントは、どれだけ資源を準備しようとどれだけ艦娘たちの練度を上げようと運の前には為す術がないイベントであったと言える。艦これというゲームは元々運要素の強いゲームではあるのだが、艦娘の練度上げ、艦隊編成、装備編成等々、アレコレ工夫することにより、その運要素をある程度減らすことができる。が、当イベントはそうした工夫によってどうこうできる余地が極度に限られる運ゲーと化してしまい、こうなると難易度が高い云々の次元ではない。
イベント完全攻略の報酬は、本作最強クラスの戦艦であり、その有無が今後の海域攻略にも影響しかねず、かつこれを逃せばいつ手に入るかわからない(実際建造入りまでに7ヶ月を要した)武蔵であったため、多くの提督がイベント完全攻略へ駆り立てられることとなった。この際、夜戦マップを踏破するために捨て艦戦法を採用するか否かでプレイ・スタイルをめぐる軋轢も生じた。(そしてアナルバイブ戦法という言葉も生まれた)
なお、これより後のイベントでは、通常海域も含めて夜戦を連続して行う海域は長らく存在せず、戦力ゲージの時間回復が採用されたこともない(※反撃!第二次SN作戦最終海域に施されたギミックの零時リセットを『時間回復の擬似的な再現』とする声もあるが)。艦これ運営としても、2013秋イベントのシステムは「やりすぎた」という認識であることが窺える。
回避できない連続夜戦が再び実装されたのは、同じくソロモン海における夜戦だったベラ湾夜戦をモデルにした突入!海上輸送作戦の最終海域「乗り越えろ!バニラ湾夜戦」である。此方は軽巡ツ級・重巡リ級や重巡ネ級といった巡洋艦系の厄介な敵や戦艦系の敵がいない(代わりに、PT小鬼群が猛威を振るっていた)上、夜戦装備も当時より充実していた為、このイベントほど阿鼻叫喚とはならなかった。
矢矧実装とその影響
まさに提督たちがイベントに悪戦苦闘している最中、非常にタイミングの悪い事態が生じた。予定されていたイベント日程が終盤に差し掛かった辺りで、イベントの1週間延長と共にE-5ボスドロップとして矢矧を実装することが運営からアナウンスされたのだった。イベント開始前にこれを匂わせる発表は特になかったため、いきなりの変更に対し、疲労とストレスを溜め込んでいた提督たちの不満が爆発。運営に批判が集中すると共に、新艦娘の矢矧に八つ当たりする輩まで現れるなど、艦これ界隈は空前の荒れ模様となった。運営の采配がそもそも悪手だったというのもあるが、当イベントがここまで理不尽な仕様でなかったら、あそこまで界隈が荒れたかどうかは疑問が残るところである。当イベントが今なお提督たちに強い印象を与え続けているのは、この事件もあってのことと言えるかもしれない。
…とは言え、さすがに今現在においてはその悪影響はほとんど残っておらず、当時を経験した提督たちも一種の思い出話として当イベントを語る余裕が出てきている。過去に固執するよりも、次に来るイベントに向けてあらゆる手を尽くすことの方が有意義であるのは言うまでもない。
新規BGM
- 「決戦!鉄底海峡を抜けて」# ※道中BGM
通常海域の戦闘テーマ『昼戦』をアレンジした、重厚で荒々しい決戦用テーマの決定版。
艦これにおいて「聴く脱毛剤」とも称されるみんなのトラウマBGM。
同時に艦これBGMにおいては「歴代の名曲」にも選定される人気BGMでもある。
聴くだけでトラウマをほじくり返される提督も多いが、前奏から機関全開の“熱さ”は歴代の艦これBGMでも突出したクォリティを誇る。
なお「反撃!第二次SN作戦」のE-4が鉄底海峡の再来だったことで、このBGMも2年の時を経て復活を果たしている。
メディアミックスでは
その最凶イベントぶりから、メディアミックスで題材となる事も多い。
ノベライズ『一航戦、出ます!』では1巻が、同じくノベライズ『鶴翼の絆』では2巻が本イベントを題材にしたストーリーになっており、いずれもゲームの最凶ぶりに恥じぬ激しい戦いが描かれている。
また、2016年11月26日公開予定の劇場版も「アイアンボトムサウンドが舞台になる」と第三回観艦式で発表されている。
艦これアーケード
第肆回期間限定海域として登場。
前段、後半に加えてオンラインマッチングでのEOが予定されている。
2018年3月22日作戦開始、5月6日終了予定。
期間限定で警戒陣を展開可能。(通常海域でも使用可)
前段作戦では伊8、磯風、後段作戦では時津風、照月、EO最終戦では武蔵を含めた全ての艦と邂逅可。
前段作戦のボス戦にて、ブラウザ版初期の頃の夜戦BGMが復活した。
ブラウザ版のサービス開始から僅か1、2か月で現在のBGMに変わってしまったので、
最初期から着任した提督以外はこれまで動画以外で聴いた事がないと思われる。
アーケード版でもブラウザ版同様悪夢の再来か、と言われていたが、
戦艦棲姫がボスであったE5がアーケード版提督にとってトラウマだろう。
E5のボス戦では戦艦棲姫擁する艦隊2つと戦闘することになり、
その2つを1回の戦闘で同時に殲滅せよという、無理難題を押し付けてくるものであったからだ。
ブラウザ版でいうならば、敵の連合艦隊の第1艦隊と第2艦隊のそれぞれの旗艦に戦艦棲姫がいて、そのどちらも撃沈しないと海域クリアにはならない、と想像してもらうとわかりやすいか。
尚、最低難易度の丙でも戦艦棲姫を含むが2艦隊出てくる。
倒す火力だけならまだ出せるため、戦艦棲姫の攻撃を回避できるなら…と思いがちだが、
戦艦棲姫の繰り出す攻撃サークルは非常に広く、しかも2隻分となると場合によっては絶対に回避できないくらいには難易度が高かった。
また、甲作戦の随伴艦には戦艦ル級改flagshipが2隻、もう片方には戦艦タ級flagshipもいたため攻撃判定が成立すれば1回の攻撃で艦隊が半壊以上することは免れない。
あまりの難易度であったため、戦艦棲姫の攻撃を一切受けない潜水艦を編成したり、マップ上で昼の間に空母の空爆を繰り返す戦法も編み出されたほど。
ただし前者は実装から2か月ほどでイベント開催だったため育成していた提督が少なかったのと、後者は最後の一押しがなかなか決まらないという場面があった。