奴等が来る 島陰から颯の如く 群れ成す小鬼が襲い来る
概要
2015年秋イベント「突入!海上輸送作戦」より登場した新しい艦種「群」タイプの深海棲艦。
太平洋戦争時にアメリカ海軍が運用していたPTボート(Patrol Torpedo boat(哨戒魚雷艇))がモデルと思われる。
魚雷艇という軍用艦艇として明確に“艦”から外れた最少クラスの存在であり、現在“艇”に類するのは三式潜航輸送艇をモデルとするまるゆと彼女らだけである。
日本語で統一されていた深海棲艦で唯一、アルファベット2文字の名前を持つ。
『キャッハハ…キャハハッキャッ……キャハハ…』
見た目は赤子のような姿をしており、三体で一体分。
なんと専用ボイスも付いている(攻撃時と被弾時だけ、それも笑い声と悲鳴だけだが)。
その赤子のような姿をした敵と戦わなければならないことに、生理的な嫌悪感を感じる提督もいるようだ。
『イ゛イ゛ッ…!イ゛ィーッ……!』
ゲーム内の特徴
駆逐後期型並の22in.魚雷を装備しており、夜戦でのカットイン発生率も高めなので、侮ると手痛い損害を被る。
機関砲程度の武装も装備しているようで、砲撃戦にも参加してくるがこちらはあまり脅威ではない。
耐久値はまるゆに毛が生えた程度であるが…
- 攻撃が命中してもカスダメージになる(クリティカルヒットなら通る)
- 雷撃カットインを避ける(練度が極めて高ければ命中する事もある)
といった特殊な仕様があり、撃破するのはかなり困難。
例外は駆逐艦または副砲による砲撃で、当たりさえすれば普通にダメージを与えられる。耐久値は水上艦にあるまじき低さなので、当たりさえすれば撃沈は容易。当たれば。
また、航空支援は有効という検証結果が出ている。
但し素の回避率もかなり高く、最高レベル近くの艦にフル改修した砲と電探を装備でもさせない限り、たとえ駆逐艦や副砲装備艦の攻撃や航空攻撃でもかなりの高確率で回避されてしまう。
「駆逐艦や副砲での砲撃は有効(当たるとは言っていない)」
本家ダイソンが装甲盾なら、PT小鬼群はまさに回避盾と言ったところ。
その高い回避力でタゲを取って他の敵艦の損害を減らしつつ生き残り、雷撃戦フェイズと夜戦ではほぼ確実にこちらの艦をワンパン大破させてくる提督にとって恐怖の存在となっている。
その強さ(というか嫌らしさ)は、2015年秋季イベント『突入!海上輸送作戦』最終海域であるE-5『乗り越えろ!バニラ湾夜戦!』はボス艦隊の随伴に必ずPT小鬼群がいる難易度「丙」よりも、随伴艦に小鬼群が混ざらない可能性がある「甲」や「乙」の方がむしろ簡単だという声さえ上がるほど。
バグが修正されたり検証が進んだ現在では、道中の難易度の差等から「甲」が「丙」より簡単と言われることはなくなったものの、体感的な難易度の差は今までのイベントより遥かに小さくなっている。そして総合的に「乙」が一番簡単と言われるようになった。
バグなしでも艦娘側の水雷戦隊を駆逐するには十分足りえた性能で、修正後もなお水雷戦隊が半壊する被害が相次ぐほどであった。なお、史実において魚雷艇により撃沈された駆逐艦は多くはなく、PTボート部隊が日本の水雷戦隊に撤退を余儀なくされるほどの壊滅的打撃を与え「魚雷艇が駆逐艦を駆逐」した例はほぼなかった。PT小鬼群の特性と『艦これ』のゲーム性が、あまりに相性が悪すぎたのである…。
猛威を振るった為か、次回イベントに登場した際はステータスが調整され、当たりさえすればダメージが通るようになっていた。
再登場した際には戦艦の攻撃すら容易に命中する等流石に弱くされすぎたせいか、2017年夏イベントで久々に登場を果たした際にはステータスが再度調整され、大型艦艇による攻撃がほとんど無効(クリティカル判定時のみ命中する)となり、以前は有効だった航空支援・先制雷撃があまり有効でなくなる等、所々以前の仕様に戻されている。基地航空隊が実装され、手数が増えた影響だろうか?
その代わりに熟練見張員・小型主砲・副砲・機銃系・三式弾装備に対して命中補正が入るようになり、特に熟練見張員と機銃には特効級の補正がかかるようになった。
史実においては大発輸送の阻止等で猛威を振るったPTボートであるが、『艦これ』においてはその特殊な回避特性によって大型艦を主軸とした連合艦隊にとってすらも最大の脅威になるという、史実とはまるで違う方向性の脅威になるシチュエーションが続出。
西方再打通!欧州救援作戦においては戦艦夏姫と共にドーバー海峡を封鎖すべく登場。連合艦隊を足止めする最後にして最大の壁の一員となった。
抜錨!連合艦隊、西へ!では戦艦仏棲姫や飛行場姫と共に登場、提督達を苦しめる悪夢そのものと化し、ついに終身名誉畜生の名を戴冠するほどに…。
いくらPTボートが日本の魚雷艇より遥かに高性能だったといえども、所詮100トンにも満たない小型船舶。連合艦隊を追い払う程の脅威になった例はない。
後述するスリガオ海峡海戦では魚雷艇が大活躍しているが、これも魚雷艇の魚雷攻撃による直接的な被害は微々たる物であった。
逆に複数の魚雷艇が随伴駆逐艦の反撃により損傷、1隻(PT-493)が放棄されているのだ…。
現状の対策としては――
- 駆逐艦・軽巡洋艦を多く起用する。
- 空母系艦娘をはじめ、航空攻撃の出来る艦娘に攻撃してもらう。
- 上記艦娘に熟練見張員・機銃・副砲を搭載する。
- 開幕時の航空戦・基地航空隊の支援攻撃・支援艦隊の援護射撃で砲撃戦前に蹴散らす。
これらが有力な対策となっている。
そんなこんなで今日も提督たちは駆逐艦にPT対策を施しイベント海域へ出撃していく。
……戦艦や重巡たちが我先にPTへ殴り掛かってミスを連発した挙句、ただでさえ火力の下がった駆逐艦が大型艦を砲撃し、そうこうしているうちに無傷の敵大型艦から中破を喰らった挙句PTの雷撃でトドメという狙ったかの如く綺麗な流れがやたら多い気もするが多分気のせいだろう。
しかし2021年、事態は変化を見せた。
2月5日の更新で、「爆装一式戦 隼Ⅲ型改(65戦隊)」にPT小鬼群への異常なダメージが確認された。一時はバグかと疑われたが、公式からの声明はないまま迎えた「激突!ルンガ沖夜戦」にて小鬼群と並んで厄介者として名を連ねる駆逐ナ級との混成部隊が登場し、爆装一式戦に駆逐艦への特効も同時に確認された。
この狙いすましたかのような敵艦隊の編成から、「爆装一式戦にはPTと駆逐艦に特効がある」ことが仮定される。それを後押しするかのように、イベント直前の3月1日に曙改二の同時に実装された第七駆逐隊関連の任務で爆装一式戦が報酬として配布される大盤振る舞いが実施された。
以降、PT小鬼群とナ級に対して明確な弱点が出来たことで、出撃時の負担を軽減された。ただ「当たらなければどうということはない」は艦娘も深海も同じで、爆装一式戦が攻撃目標をナ級やPTに定めてくれなければ話にならない。また爆装一式戦の行動半径は【5】が限界と短く、6以上へは陸上偵察機や二式大艇の力を借りる必要がある。
そして2022年、事態は再び変化を見せた。
2月21日のアップデートで、PTボートキラーとでも言うべき特効を引っ提げてあのPTボートを真っ二つに引き裂いた駆逐艦の新たなる改装状態が実装されたのである。PTボートを優先的に、かつ高命中率で攻撃するという特効を、それも自分だけでなく艦隊序列が上下に隣接する艦最大2隻にも(控え目ながら)付与するという形で引っ提げて。
余談
チート化バグ
実装直後は駆逐艦の攻撃が当たらないという深刻なバグがあり、多くの提督を悩ませたが数日後に解消された。
この前日談としてRTA(即行攻略)組の提督が小鬼達に泣かされいる。原因は駆逐艦及び副砲による砲撃がまるで当たらず、当たってもカスダメが関の山という、運営Twitterの言とは全く合わない現象が多発したため。一部では「特別な装備で特効発動か?」と試行錯誤が繰り返されるも、どれも大きな効果を上げるには至らなかった。
一例として「爆撃能力のある艦載機」や「三式弾を積んだ艦の副砲」は効いていたため、殆どのRTA組提督はあたかも某RPGの金属生命体に対峙するかのような嫌な緊張感に晒され続けた。
そしてイベント実施開始からおよそ三日後、運営から急遽Twitterでの連絡が入り、これら一連の挙動が運営側の設定ミスだったことが発表された。
RTA組提督の憤懣が爆発したのは言うまでもなかった。
これに対し、運営側もイベント開催期間を数日延長し、12月7日に終了すること(結局トラック泊地サーバーのトラブルにより12月8日終了となったが)、イベント明けの12月8日メンテで特別家具「お詫び掛け軸」を配布することを決定し、復刻版と小鬼たちの人形がぶら下がった特別版の二種が家具屋に期間限定で実装された。ちなみに家具コインはどちらも無料なので、気兼ねなく受け取っておこう。
ちなみに特別版はギミック付きで、クリックすると……
『キュゥゥッ キュゥゥ…キュゥゥッ キュゥゥ…』
と悲鳴を上げながら揺れる。艦娘や提督に猫パンチでも貰っているのだろうか?
とりあえず、突いてストレス発散にどうぞ。
ここまで強いなら、味方にもPTがいればいいのに・・・
味方側には魚雷艇・水雷艇をモデルにした艦娘は存在しない為、幾度もPT小鬼群に苦しめてこられた提督達は、少しでもこう思った事があるかもしれない。
「此方がPTに類する魚雷艇を使えれば、敵からの攻撃をスイスイかわしつつ雷撃で痛打を見舞ってやれるのではないか」と。
だが、実は此方が使っても敵に対してはイメージほど無双とはいかない可能性の方が高い。
PT系ユニットは高回避と高雷装と引き換えに装甲は紙、火力が蚊ほどしかない為、砲撃で敵艦を撃沈・撃破するのは難しく、当然昼戦で攻撃を食らう回数は増える。
たとえ回避が極限まで高くとも、このゲームには『回避キャップ』が存在する為「100%回避」とはいかず、何度も攻撃されるうちにいつかは痛打・致命打を与えられてしまうのだ。
ボス級の深海棲艦は命中項に影響する『運』が高い上に装備命中が高いので、なおさらである。
むしろ、高練度の魚雷艇娘が演習におけるS必須任務を妨害する嫌がらせ要員として用いられてしまう可能性の方が、大いにあり得てしまう事だろう。
一部例外を除いて回復なしの連戦が前提となるゲーム性において、仮に此方がPT特性の高回避ユニットを使えても、敵が使う時ほどの優位性がないのである。高回避型ユニットの宿命といったところか…。
PTボートについて
米軍が太平洋での対日本軍戦線に投入した魚雷艇の総称。艇型・メーカーとも複数に渡るが、総じて全長20m弱・排水量50tそこそこという当時の駆逐艦の1/10という小さなカラダ、40ノット超の快速が特色であった。
過去、駆逐艦が戦術論的に駆逐してしまった「水雷艇」の性能向上型で、モーター化国家アメリカならではの小型ガソリンエンジンによってたいへん小型・高速なフネであり、水雷艇からはひとつ次元が上がった兵器と見てよい。ソロモン方面、ニューギニア戦線、フィリピン戦線に投入され、その名の通り哨戒活動に従事した。
当時日本海軍が行っていた蟻輸送(大発等の小型舟艇による輸送)の妨害や上陸作戦の支援に活躍したほか、スリガオ海峡海戦にてPTボート群が西村艦隊に先制攻撃を仕掛け、軽巡洋艦阿武隈への魚雷命中が確認されている。
直接戦果こそ微々たる物だが、彼らがもたらした情報は米軍による西村艦隊攻略のヒントとなったのは間違いないだろう。
このPTボートの乗員の中には、後に第35代アメリカ合衆国大統領となるジョン・F・ケネディもいた。
彼の指揮するPTボートは日本軍の駆逐艦「天霧」との遭遇時に「天霧」と衝突、踏み潰される形で沈められてしまった。(ケネディは後に米軍に救助された。なお、「天霧」側はこの時PTボートの回避に失敗して衝突に至ったという事情もあり、後に乗員は「魚雷が誘爆しなくてよかった」と語っている)
そんな縁もあってか、ケネディが大統領戦に出馬した際は、元天霧乗務員より激励の色紙が送られている。
後に艦娘として実装された天霧も、名前こそ出さないものの『大統領』たる彼の事をよく引き合いに出して語っている他、上述の通り天霧改二・改二丁はPTボート優先攻撃&高命中率特効という唯一無二の特徴を有している。
関連タグ
Schnellboot小鬼群:こちらはドイツ海軍のSchnellboot(Sボート)がモチーフになっている敵キャラ。