概要
2016年5月2日に開催された期間限定イベント『開設!基地航空隊』より実装されたシステム。
それまでは空母娘のみが可能としていた航空隊の運用を自軍の陸上基地から行うものであり、ほとんどの航空機が使用可能。
更に本システムの実装に併せて陸上攻撃機などの大型機や陸上基地専用の局地戦闘機が実装された。
実装からしばらくの間はイベント限定のシステムとなっていたが、2016年10月5日のアップデートで追加された新アイテム・設営隊(特定任務の達成やアイテム屋から800DMMポイントで購入する事で入手可能)を使用すれば、通常海域でも(一部の海域に限り)基地航空隊が運用可能となった。
基地航空隊の編成や補給は艦娘と異なり、海域選択画面にある「基地航空隊」と書かれたボタンをクリックして行う。
運用可能な基地航空隊は最大で3つ(当初は1つのみだが、海域をクリアしていく毎に増えていく)。
1つの基地航空隊毎に4つの中隊(スロット)がある。
編成画面には妖精さんが表示されるが、これは第一中隊(画面一番上の中隊)に配備された航空機のものになる。
母港へ帰還後損耗した航空機を補充するには資源(燃料とボーキサイト)が必要となるのはこれまで通りだが、航空機を中隊に配備・機種変更するたびに一定量のボーキサイトを消費するほか、一旦機種を変更すると元の機種は「配置転換中」となり、中隊への再配備や艦娘への装備が一定時間(機種に関わらず約12分)不可能となる点に注意が必要。
航空機の配備は計画的に。
また、艦娘と同じく疲労度の概念があり、疲労による能力の低下が発生する為、航空隊を「休息」させて疲労を取り除いてやる必要がある(後述)。
海域によっては、基地が敵陸上基地から発進した爆撃機の空襲を受ける事があり、対策しないと資源や航空隊が被害を受けてしまうが、基地そのものが破壊されて使用不能になる事はないので安心して欲しい(それが後述する問題を起こした事もあるが…)。
演習では使用できないので、艦隊のレベリングに活用する事はできない。
配備可能な航空機
配備可能なのは、従来から存在する
- 艦上戦闘機
- 艦上爆撃機
- 艦上攻撃機
- 艦上偵察機
- 噴式戦闘爆撃機
- 大型飛行艇
- 対潜哨戒機
に加え、基地航空隊専用となる
- 中型(双発クラス?)の爆撃・攻撃機「陸上攻撃機」
- 大型(四発クラス?)の爆撃・攻撃機「大型陸上機」
- 陸上での対空戦闘を目的とした陸空軍の戦闘機「陸軍戦闘機」
- 敵爆撃機の迎撃・邀撃を目的とした海軍の陸上戦闘機「局地戦闘機」
- 大型の偵察機「陸上偵察機」(二式陸上偵察機が該当)
- 対潜哨戒を目的とした「大型対潜哨戒機」(東海が該当)
が配備可能。
陸上攻撃機は行動半径が広く、攻撃力も艦上攻撃機・艦上爆撃機と比べものにならないほど高いが、その分配備コストも高い。大型対潜哨戒機と通常の艦上爆撃機・攻撃機、陸上偵察機と艦上偵察機の差も概ねこれに準ずる。
大型陸上機は陸上攻撃機以上にステータスが高い代わりに、中隊あたりの機数が9機と半減している。
局地戦闘機は敵爆撃機の迎撃能力が極めて高い代わりに、行動半径が非常に短く設定されている。これは敵爆撃機の迎撃・邀撃が主目的である為、航続距離があまり重要視されていなかった事による。
陸軍戦闘機は機体によってまちまちで、隼は零戦、飛燕は雷電に似たステータスで設定されている。
スピットファイア等のイギリス空軍の機体は便宜上「陸軍戦闘機」の分類になっている。
運用
運用するには、編成画面右上の札を目的に応じて選ぶ(デフォルトでは「待機」になっており、「出撃」「防空」「退避」「休息」から選ぶ)必要がある。
出撃
「出撃」を選ぶと、特定のマスへ1つの航空隊につき2回航空支援が受けられる。
同じマスに1つの航空隊を2回分指定し、攻撃を集中させる事も可能。
艦隊出撃後に航空隊を派遣したいマスをクリックして指定し、進軍開始となる。
航空隊が運用する航空機は機種毎に戦闘行動半径(スタート地点から数えた海域のマスの数、と思いきやマップ上にある「AB」と書かれている場所を基準に計算されるので必ずしもスタート地点からとは限らない)が設定されており、戦闘行動半径以上の距離にあるマスへ航空隊を送る事はできない。
戦闘行動半径が異なる機種が同一航空隊に配備されている場合、その航空隊の戦闘行動半径は最も行動半径の短い機種に合わせられる(当初は最も行動半径の長い機種に合わせられていたが、『迎撃!第二次マレー沖海戦』にて修正された)。
後に大型飛行艇あるいは陸上偵察機を組み込む事で、行動半径を拡大する事も可能になった(とはいっても時代的に実用化されていない空中給油ではなく、あくまで誘導という位置づけ。この時代の航空機は現代ほど正確な航法ができず、飛び立っても敵を発見できないなんて事はザラにあったので、効率のいいルートで目標へ飛べるようにするという事なのだろう)。
また、航空攻撃は艦隊の攻撃よりも先に行われる(索敵→基地航空隊の攻撃→航空戦→支援艦隊→開幕雷撃→砲撃戦)ため、敵航空機が出現する場合は基地航空隊の戦闘機と交戦させる事で制空値を減らし、艦隊の制空権確保をサポートする事もできる(基地航空隊が制空権を確保してくれる訳ではないようで、制空権の判定は通常通り航空戦フェイズで行われる)。
基地航空隊による航空支援は空母航空隊による爆撃よりも強力で、それまでは特定の装備がないと攻略が厳しかった陸上型の深海棲艦にも大きな有効打となるというすさまじいものがあるが、1中隊毎の機数は18機(当初は12機。偵察機系の場合は4機、大型陸上機は9機)と空母の艦載機搭載スロットには及ばないため、相対的に損耗が大きくなりやすく全滅による熟練度のリセットが少なからずあり、過信は禁物。
なお、集中して攻撃させると全滅した場合一度補給してから再度出撃という挙動を取る為、全機健在なのに熟練度がなくなっているという事例が多々発生する。
防空
基地が敵爆撃機の攻撃を受けた時、防空」を選んだ航空隊がいると迎撃に発進して敵爆撃機を迎え撃つ。
ただし、敵爆撃機が大挙して襲い掛かってくる関係で、最高位の戦闘機をもってしても制空権の確保は困難。
中途半端に防空に充てても効果は薄く、攻略の際の打撃力が減るだけのため、「航空基地の守りを捨て、全航空隊を出撃させ敵艦隊攻撃に集中させる」という肉を切らせて骨を断つ戦術が結局のところ有効…という評価に落ち着いていった。
その後防空能力は『迎撃!第二次マレー沖海戦』にて上方修正され、幾分防空の効果は上がったものの、依然としてこの戦術をとる提督は多い。
もはや兵站もへったくれもあったものではない…
基地の守りを捨てるという兵站軽視もいい所な戦術はあまりよく思われなかったのか『発令!艦隊作戦第三法』では『防空』がテーマとなり1航空隊を防空に回す事が必須になり、全航空隊を出撃に回す事は不可能だった。
通常海域の中部海域でも最大で3航空隊を編成できるが、『空母機動部隊迎撃戦』(6-5)で2航空隊を出撃させられるのが最多で1航空隊は防空に回ることになる。
また、ギミック解除にも防空と制空権・此方の被害状況が絡むようになっていき「敵機をいくら撃ち落としても最初から資材の概念がない深海棲艦側には何ら影響・ダメージがない」批判への一つの回答にもなっている。
その批判を受けてなのかたまたまなのかは不明だが、『発令!艦隊作戦第三法』の次のイベントである『偵察戦力緊急展開!「光」作戦』では空襲が発生しなかった。
次回イベントでは、空襲が発生するのは後半海域だけとなり、空襲も控えめになった代わりに「防空の被害なし」がギミック解除の必須条件となった。
それ以降も防空が絡むギミックはちょくちょく実装されている。
退避
「退避」を選んだ航空隊には空襲による損害が発生しないが、殆ど使われていないようだ。
休息
出撃しない代わりに航空隊の疲労回復が早くなる。帰還後の疲労度抜きに使うのが得策だろう。
当初はボーキサイトの自然回復速度が半減するというデメリットがあったが、2016年10月5日のアップデートにて緩和されている。
もっとも、自然回復上限枠以上に備蓄している場合は実質的に影響がないのだが。
ただし、航空隊を休息させるという事はその分基地の守りが手薄になる事にも繋がり、空襲時の損害が増えるという報告もあるため、この状態のまま艦隊を出撃させないように注意。
余談
実装当初はもろもろの事情で打撃力が極端に低い状態になっていたなどの不具合が多く、緊急メンテナンスによる修正が多く出たシステムであった。
これについては、『開設!基地航空隊』の記事が詳しいので詳細は割愛する。
設営隊のグラフィックに映っているブルドーザーは実際に海軍設営隊によって用いられていた初の国産ブルドーザー「小松1型均土機」がモデルである。
これは如月らが散っていったウェーク島にて鹵獲されたブルドーザーを参考に「小松製作所」によって国産化にこぎつける事ができたものである。
勿論この後日本は劣勢となっていき、このブルドーザーが真価を発揮した期間はそれほど長くはなかったのだが…。
国産化に成功した意義は大きく、小松製作所は戦後D50ブルドーザーを完成させ、後にキャタピラー社と世界を二分する建機メーカーへと成長する。
そう、この「小松製作所」とは後の世界の建設機械メーカー「コマツ」そのもの。
『艦これ』世界においてもコマツのブルドーザーは活躍していたのであった。
行動半径の基点となっている「AB」地点は×印のようなもので示されているが、これは風向きの変化に備えて十字状に配置された滑走路を表していると考えられる。「AB」はおそらく「Air Base」の頭文字だろう。
史実の「基地航空隊」
ここまで読めば「このゲームは『艦隊』これくしょんなのに、飛行機ばっかりで艦隊関係ないんじゃね?」と思われるかもしれない。
事実、この機能が初めて実装された『開設!基地航空隊』では基地航空隊と航空支援の特効がダメージソースとしてのウェイトが大きく(航空隊・支援による随伴の戦艦棲姫・駆逐古姫の撃破が中枢棲姫撃沈のほぼ必須要件であった。場合によっては基地航空隊が中枢棲姫を破壊する事すらあった)、基地航空隊が敵主力艦隊を一方的に破砕・撃破していき自慢の艦娘達が活躍できる余地が減じていたため「基地航空隊これくしょん」「航空ガチャ」等と揶揄され、「無機質な飛行機では愛着が湧かない」「基地娘でもいたら印象も変わったのではないか」と言われる等、あくまで航空攻撃に徹しキャラクター性も皆無であるこのシステムに対しては批判的・否定的な意見も数多く見られた。
当然だが、基地にキャラクター性があってもゲームバランスが良くなるわけもなく、プレイヤーのプレイスタイル等と上手く噛み合っていなかった点も歓迎されなかった一因でもあるだろう。
深海棲艦側と異なり艦娘やそれに類するNPCキャラクターがいない基地航空隊は、提督達には艦隊と認識されていなかったのである。
だが、実は史実の帝國海軍でも基地航空隊を主軸とした『艦隊』があった。
代表的なものが第十一航空艦隊である。
この『艦隊』には第21・22・23航空戦隊が所属していたが、いずれも空母は持たない、地上基地の航空隊で、艦これにおける一航戦のような航空戦隊とは全く毛色が違う物だった。
艦隊のイメージで思い浮かぶ「水上艦」は、主に航空機運搬用の貨客船や、基地要員の移動のための駆逐艦である。
第34駆逐隊の羽風・秋風・太刀風が所属していたが、いずれも艦これ未実装の峯風型である。
ミッドウェー海戦後には第25航空戦隊が新編され、秋津洲も所属していた。
他、鹿島率いる第四艦隊の第二十四航空戦隊には千歳海軍航空隊(千歳の航空隊ではなく、千歳基地(旧千歳空港)の航空隊である)、横浜海軍航空隊の他に神威が所属していた事もある。此方も後に前述の第十一航空戦隊に加わっている。
基地航空隊も立派な艦隊の一員だったのだ。